『弁護側の証人』

 昨晩、味戸ケイコさんからメール。一部紹介。

《 とうとう全集の19巻が届きました。手に持てないくらい重い立派な本でびっくりです。
  作品図版はそんな大きくはありませんがきれいに掲載されていて感激ひとしおです。
  椹木さんの文章も素晴らしく、椹木さんらしい素晴らしい作者紹介でドキドキしてしまいました。
  確かにこれは越沼さんおっしゃるように、美術史を塗り替えるような内容の一冊ではないかと思いました。 》

 椹木野衣編集『日本美術全集 第19巻』小学館。早く本屋に届かないかなあ。
 http://www.shogakukan.co.jp/pr/nichibi/detail/detail_17.html

 小泉喜美子『弁護側の証人』を出版芸術社1993年初版で再読。以前読んだ時は小泉さんが元気だった 時だから、集英社文庫で読んだのだろう。巧いミステリだ。脱帽。集英社文庫青木雨彦の解説。

《 この小説は、愛だの、恋だのということがわかっていなくて読んでも面白いが、わかっていて読んだら、
  「空恐ろしくなるほど面白いのではないか」
  と思われる。 》

《 小泉さんの「弁護側の証人」は、昭和三十八年に、文藝春秋新社の「ポケット文春」の一冊として、 書き下ろしの形で出版された。女流作家・小泉喜美子の処女長編である。 》

《 結果は、じつにシャレた作品ができあがった。 》

 そのとおり。何も足すことがない。小泉喜美子さんの思い出話は見送り。さてさて、 天涯孤独な美人ダンサーが、財閥のどら息子に見初められ、結婚して……殺人事件。本文から。

《 あんたの灼けただれた胃袋が酒だとうなずくような飲み物は、もうこの地球上には生(き)の ガソリンぐらいしかのこっていないわよ。 》 40頁

《 いいじゃないの、どんな幸運が待っているかもしれない、はだかで踊っているからって夢まで ぬいじまうことはないわ。 》 52頁

《 彼らはそれから、おちついた、くつろげる感じの、品のいいバーへ行き、次に、おちついた、 くつろげる感じの、あまり品のよくないバーへ行った。 》 53頁

《 これでは、まるで、苦労してこわごわ家まで持ちかえってきたババロア・ケーキの箱の上に、 たくあん石を乗せるようなものではないか。 》 140頁

 集英社文庫の解説は道尾秀介に替わったのか。

《 巻末の解説を書いた道尾秀介が本書を「秘密の場所」にしておきたかったと書いているのが頷ける。 》

 ネットの見聞。

《 「これだけ政府側から説明がなされても国民の間では不賛成意見が多数」ということは 「政府の説明内容を充分に見聞きした上で、国民が同意も納得もしていない」のが現実であり、量的観点での 「説明不足」などではない。一年説明したのが「不足」なら、一体どれだけの年数をかければ「充分」になるのか。 》 山崎 雅弘
 https://twitter.com/mas__yamazaki

《 安保法制を支持してる馬鹿も、そろそろ気づけや。なんで安倍も中谷も「中国が攻めてきたとき、 アメリカが一緒に防衛してくれる」という説明をしないのか。麻生が殴るとか隣家のボヤとかホルムズ海峡とか 邦人を乗せたアメリカの船とか訳わからんものを出してくる理由を。 》 藤岡真
 https://twitter.com/fujiokashin

《 被災者支援の縮小を閣議決定した件。安倍政治の本質を見る思い。原発再稼働を許し、 原発事故被害者に対する補償は縮小。これ以上避難するのは好き勝手なのだから面倒を見ないということ。 安倍という人には政治家の資格がないと思う。安保法制以上に糾弾すべき問題。 》 山口二郎
 https://twitter.com/260yamaguchi

《 新本格前夜の僕が、何とか自分の書きたいものをそれに合わせようとしていた 「懸賞に通りそうな/本にしてもらえそうな推理小説」は、デビュー当時の島田荘司氏が 書くのを強要されたという内容にほぼ一致している。新本格バッシングは、 それまでのタブーを平然と破った若い作家への憎しみが作用していた 》 芦辺 拓
 https://twitter.com/ashibetaku

 ネットの拾いもの。

《 笠井潔が密林を切り開き、島田荘司が掘削した運河の上を、京大船がスイスイと渡っていく 〉日本新本格史 》

《 何から何までハミ出した新国立競技場の新プランは、
  今更!の脱構築の先をゆく未来へのヘルニア「脱腸構築」が相応しい。 》