栗本薫『ぼくらの気持』講談社1979年初版を読んだ。江戸川乱歩賞作『ぼくらの時代』の続編。 「あとがき」から。
《 「ぼくらの時代」でぼくは、二十二歳のぼく、バンドに入れあげて、毎日部室に行くのと 雀荘に行く以外なにもしなかったころのぼくと友達の肖像を書きました。 》
《 そして、次にこの「ぼくらの気持」でまた友達のきみに会えました。あのときから、 二年が経過しています。 》
マンガ雑誌の編集者になった友達が、担当の人気マンガ家が自宅で殺されているのを発見。 ぼくらがあたふたと証拠隠滅やアリバイ工作をしながら殺人犯を探す……。つづく惨劇。 ドタバタ具合がまあ愉快。
《 大学も出てりゃ、それなりの世間常識も、クリエイターの自覚みたいなもんも持ってるが、ほれ、 いま例の、少女マンガってホモ・ブームじゃんかさ。美少年、美少年ってさ。 》 27頁
《 かたぎってのは、殺人容疑がかけられて逃げ出さなくちゃならんときに、会社に欠勤届を 出さんといけないんじゃないかしら、って苦にするタイプの人間なんだ。 》 61頁
《 あたしたちの同人誌、『ソドムの群』ってんだけどちょいと有名なのよ、コミケット仲間ではさ。 》 70頁
《 それから口に指をあてて、沈黙(シカト)しろ、の合図をよこした。 》 92頁
《 ちょっとディスク・ジョッキーの渋谷陽一を汚なづくりにした感じ。 》 101頁
《 とにかくいい天気で、そして──地下鉄の駅を出て、教えられた区民会館への道をたどるあいだに、 まわりの風景はだんだん異様なものになってきていた。 》 148-149頁
《 長髪にジーパンの人混みをひらひらとかきわけてあらわれたのは、ピンク色の金魚だった。
いや──ちがう。ピンクのレースにフリルつきの日傘をこれ見よがしにかざした、でかい女だ。 髪はオスカルふうに黄色くそめ、その上にピンクのおリボンがヒラヒラと……そして服といえば、 フリル、レース、リボン、の洪水! 》 149頁
《 こんどはそのうしろからいきなり、三波春夫みたいなピカピカのキモノが登場しやがった。 その次はラメラメの紫お化け。 》 150頁
《 石づくりの入口にでかでかと「一九七九年度コミック・マーケット会場」の赤い字が踊っている看板と、 そしてすごくでかい、ガッチャマンとオスカルが左右に貼ってあった。 》 151頁
今とまったく変わらない光景だ。実況記録としても興味深い。それにしても、見事だ。傑作だろう。 第三作『ぼくらの世界』は、しばらく時を置いて。
ネットの見聞。
《 好きな新本格(1作家1作品縛り)
「誰彼」
「ROMMY」
「星降り山荘の殺人」
「迷路館の殺人」
「聖アウスラ修道院の惨劇」
「探偵映画」
「i-鏡に消えた殺人者」
「消失」
「13人目の名探偵」
「双頭の悪魔」
別格(非新本格枠)
「鉄鼠の檻」
「グラン・ギニョール城」 》 猟奇の鉄人
https://twitter.com/kashibaTIM
わ、読んでいるのは『誰彼(たそがれ)』『迷路館の殺人』だけ。本は全部持っている。ゆっくり愉しもう。
《 NHKの新造語「自席発言」←安倍首相のヤジ 》
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150826/k10010204631000.html
ネットの拾いもの。
《 ドラゴンズが勝った翌日に中スポ読みながらコメダでモーニングを食べるというささやかな幸せを満喫中。 》