木々高太郎『人生の阿呆』創元推理文庫2003年2刷を読んだ。昭和12年の直木賞受賞作。
《 日本に於いても、探偵文壇の歴史は、尚未だ、十年の余りには出でぬ。而も、既に逸早く、 行きつまったと言われるのは、コナン・ドイル、モウリス・ルブラン、ヴァン・ダイン、エラリ・クイーンの如き、 比較的日本人に親しまれた欧米作家の提出したものが、探偵小説の条件をそなえた、最上の形式であると、 早くも誤認して了ったことにあり、引いては、欧米の風潮のみが探偵小説発展の唯一の様式であると、 誤認して了った点から、来ている。 》 「自序」11-12頁
美術と同様のことが探偵小説界にも。作品は、探偵小説と志賀直哉に代表される純文学の結合を目指している。 それが成功しているかと問われれば、果敢な挑戦作だと言葉を濁す。北村薫の解説「三位一体の『人生の阿呆』」 は明解。
《 しかし、皮肉なことに『人生の阿呆』そのものは、本格としての組み立てがいかに小説的意図の実現を 困難なものにするか、そして小説として身構えた時いかに本格的要素が浮き上がってしまうかを示す失敗作と なっているのである。 》 246頁
北村薫は続ける。容疑者良吉は、嫌疑を知らずにシベリア鉄道でモスクワへ向かう。
《 さて続く一つの理由は、作中の白眉である良吉の紀行に、さらに写真を添えた着想と効果である。 これはまったく意識していなかったので、版画荘版を見て文字通りうなった。 》 251頁
《 そこでつまりは、『自序』とこの写真と小説と、三位一体となった版画荘版のかたちでこそ、 『人生の阿呆』は忘れ難い作品になるのだ。 》 252頁
版画荘版をそっくり文庫にしたのが、これ。
《 また、版画荘版で挿入された写真類はすべて復刻し、装丁も版画荘版の雰囲気を活かすように心がけてみた。 》 〈 編集後記 〉
ネットの見聞。
《 現場で中継してる奴らが、なにが起こったのか把握できていないのに、ニュース速報で可決だとさ。NHK。 》
与党、NHKはひどいな。
《 第4回「生物多様性 日本アワード」優秀賞
市民力を結集してドブ川を多様な生き物がすむ「ふるさとの川」に再生・復活
(NPO法人グラウンドワーク三島) 》
http://www.midoripress-aeon.net/jp/topics/topics_20150915.html
《 論理と膏薬はどこにでも貼り付くのであって、どんな意見にでもそれなりの理屈はつくんだ。だから、 議論ということも大事だけど、「直観的に納得できるか」ということも同じくらい大事で、説得された後に どこか騙されてるような感じが残るなら、本当に騙されてる可能性を考えていいと思うんだ。 》 DDC_violoncellista
《 本当は、芸術っていうのは、その直観の部分にまっすぐ直接訴えかける力があるもので、それができないなら、 芸術の存在価値はないと思う。(目や耳を楽しませるだけのための絵や音楽は、快であっても美ではないから。) 》 DDC_violoncellista
https://twitter.com/DDC_violoncelli
《 神奈川の公聴会で、日米同盟と集団的自衛権を意図的に混同して「日本単独では国を守れないのだから」 と法案を肯定している人がいた。中国の脅威は「個別的自衛権」の範疇で対処可能だがそれを集団的自衛権と意図的に 混同して法案を肯定する人もいる。採決直前ですら、こんな詭弁でしか正当化できない。 》 山崎 雅弘
https://twitter.com/mas__yamazaki
《 プログラマーが開発した「国の本当の大きさが確認できる地図サイト」で遊んでみた! 日本がやたらに長いことが判明 》
http://rocketnews24.com/2015/09/16/632429/
ネットの拾いもの。
《 成増の急病人救護とやらで東横線が遅れてて、「成増ってどこやねん!」とツッコミんだ朝 》