『光とその影』

 木々高太郎『光とその影』(『光とその影│決闘』講談社大衆文学館文庫1997年初版収録)を読んだ。 1956(昭和31)年刊行の長編。日下三蔵が解説でうまくまとめている。

《 本篇では、ある弁護士が殺される。容疑者は、彼の恋敵と、彼に脅迫されていた男たち。事件を思い切って シンプルに設定した分、心理的な探偵法が効果をあげている。初期に見られた医学的トリックは影をひそめ、 探偵役にも科学者ではなく外国人の神父が起用されている。/ あせらずに、淡々と事件を描写しながら、 息詰まるようなサスペンスを醸し出していく手腕は、流石にベテランの境地に達した巨匠という観があるが、 中でも圧巻なのは、第十四章「影の論理」以降の展開だろう。否定に否定を重ねて肯定の答えを導き出す、 この奇妙な論理の面白さは、そのままタイトルの由来となっている。 》

 これに足す言葉は要らないなあ。巧みな本格ミステリだ。この本にはあと九篇の短篇を収録。

《 もちろん、これで木々の秀作が網羅されたわけではなく、まだまだ再評価に値する作品は数多く 残っているが、とりあえず、押さえておくべき作品は、かなりフォローできたと思う。 》

 他の作品が気になるが、全集を買うまではしない。画家でもそうだが、その作家のエッセンスで充分。 それ以上は望まない。それは味戸ケイコさんの絵でも同じ。選びに選んで購入。そんなにたくさん集めて どうするの? だ。だが、一作家の作品数は多くなくても、興味を引く作家が、特に物書きには多いのだ。 本は増える。

 午後、知人に誘われてMOA美術館へ。常設展、桃山時代宗達派の『鶏頭図屏風』ぐっとに惹かれた。 すごい熱気。唯一の収穫。しかし、保管は手に余るな、とつまらぬことを思った。

 ネットの見聞。

《 今後安保法制が広報されることはない。法律は成立したら施行あるのみが原則。 国民の理解など全く必要としない。 》 藤岡真
 https://twitter.com/fujiokashin

《 大事なことだから何度も言うけど、
  ラグビー日本代表は「日本国籍のみ」ではありません。
  レギュレーションがあるので、
  「日本代表」を選択した多国籍、多人種集団です。
  最高だと思います。 》 Masayuki Kusakabe
 https://twitter.com/pfd1212

 ネットの拾いもの。

《 ゴールデンウィーク シルバーウィークと来たわけだから、
  次の大型連休があるなら、金、銀、銅ということで、
  ブロンズウィークと呼ぶのだろう。 》