「明・暗、宙・空、虚・無」

 13日の日録から。

 『日本美術全集 第19巻 拡張する戦後美術』、味戸ケイコさんの絵への椹木野衣の解説。

《 そしてこの漆黒の闇。その底はいったいどこへ続いているのだろう。 》

 上記椹木野衣の一文が心に残っている。未明から明け方、うつらうつらの眠りの合間に浮かんだことを朝、 整理する。

 描写力・表現力=明・暗、構成力=宙・空、構想力=虚・無。

 西洋絵画の名作では、描写力、表現力、構成力、構想力の四つがかみ合っている。描写の技術は あっても表現力が弱い、表現力があっても構成力が弱い、構成はいいが、構想までは至らない。厳しい眼の 階梯を上って、名作は生まれる。日本の絵画の場合、構想力の弱さは否めない気がする。絵画に そこまで求められなかった気もする。というか、構想力についての考えが、西洋とは違っている気がする。 気がするばかりで、論証がないのは恥ずかしいが、描写力・表現力・構成力・構想力という分類にどうも しっくりしなかった。今朝方思いついた「明・暗、宙・空、虚・無」という自己流の分類のほうが、 自身で考えだしたゆえ、今はしっくりくる。まだ深く詰めていないので、これ以上は論述しない。

 ついでに。美術作品を鑑賞するときの三要件は「知識、経験、直観」と言われている。同感。

 昼前、ブックオフ長泉店で文庫を五冊。泡坂妻夫『砂時計』光文社文庫2000年初版、黒田研二『ふたり探偵』 光文社文庫2010年初版、沢村浩輔『夜の床屋』創元推理文庫2014年7刷、松尾由美『ハートブレイク・ レストラン ふたたび』光文社文庫2015年2刷、ヒヨコ舎・編『作家の本棚』アスペクト文庫2012年2刷、計 二割引432円。『夜の床屋』は贈呈用。

 午後、知人女性の店に行き、太田忠司『レストア』光文社文庫田中啓文『こなもん屋うま子』 実業之日本社文庫を贈呈。しばらく見ないうちに痩せているので訊くと、弟さんが亡くなってゴタゴタして気苦労で三キロ痩せた、と。 難しい人間関係に同情。その後、三島中央病院の職員たちによる源兵衛川の清掃のお手伝い。

 ネットの見聞。

《 「あなたの描く絵は、抽象的過ぎて私は理解できない」と、言ったジャーナリストに対し、ピカソは 「あなたは、鳥の鳴き声の意味を考えながら鳥の鳴き声を聴きますか?」と、やり返した。芸術の理解を 人間社会のルールだけに置き換えれば、もちろん理解不可能です。 》 大野純一 
 https://twitter.com/ohnojunichi

《 それにしても、警察の仕事とはいったい何なのか? 前から分かっていたことではあるのだけれど、 警察官個人の思いがどうあれ、警察という組織にとって守るべきは、「国民」ではなく「権力」 なのだということがよく分かる体験でした。現場にいて、肌でそれを感じることができましたのでした。 》  ガラクタ風雲「大丈夫日記」16日
 http://homepage2.nifty.com/GARAKUTA/diary/diary.html

 ネットの拾いもの。

《 ここ数日、ニュースあまりチェックできてなかったのだけれど、「新しい3本の矢」とか 「1億総活躍社会」とか「秋の臨時国会開催しない」とか全部悪い冗談ですよね? 》

《 そもそも三本の矢って、束ねると折れないって話なので別々に射てばダメに決まってるのに。 》

《 一億楽隠居社会をつくってくれるのなら、安倍総理を熱烈支持する。 》

《 来月、ドイツのフランクフルトに出張なので、ついでに紙屋さんとかあればいきたいなーと思って 検索してみると、常に「フランクフルト(ソーセージ)用の紙」ばかり出てきてどうにもならない。 》