『増補 二十世紀を騒がせた本』つづき

 紀田順一郎『増補 二十世紀を騒がせた本』平凡社ライブラリー1999年初版を読了。 論評されている本は、フロイト『夢判断』、ヒトラー『わが闘争』、ロレンス『チャタレイ夫人の恋人』、 ミッチェル『風と共に去りぬ』、ルィセンコ『農業生物学』、アンネ・フランクアンネの日記』、 ボーヴォワール第二の性』、カーソン『沈黙の春』、ソルジェニーツィン『イワン・ デニーソヴィチの一日』、毛沢東毛沢東語録』そしてラシュディ悪魔の詩』の十一冊。

《 「二十世紀を騒がせた……」という題を与えれたとき、一冊の本がいかに人々を、社会を 動揺させたか、さらにはグローバルな影響をもたらしたかという点から整理してみるのも、 また一興ではないかと思ったのである。 》 「平凡社ライブラリー版へのあとがき」

 草森紳一は「解説」で書いている。

《 『沈黙の春』は「良書」であるが、他の十本はみなはずれる。ましてや「好きな本」 ということからすれば、みなはずれる。 》

 じつに興味深い言い方だ。次の段落。

《 いまや誰もふりむきもしない『毛沢東語録』も『わが闘争』も、当時のドイツや中国では 「良書」だったのである。良書と信じこまされたというよりも、これを持たずには生きて いけなかったというのが正しい。 》

《 みるからに「良書」といえそうで、そのように推薦され、世界のベストセラーとなった 『アンネの日記』も紀田氏の文章を読めば、一筋縄ではいかないしろものであることが、 たちどころにわかる。 》

《 「騒がせた本」とは、紀田順一郎の創りだした概念である。 》

《 その規準は「大衆」というキーワードである。「二十世紀」は「大衆」があたかも 存在しているかのように偽造された前代未聞の時代である。 》

《 それ故に氏の選んだ「騒がせた本」とは、二十世紀の「大衆」が読んで騒いだ本ではなく、 むしろ読まれなかった本だというべきである。たとえ題名を知り、評判につられて買った としても、少し覗いただけで読むのをやめた本である。 》

 見事な読みの解説だ。私が読んだ(読了した)本は『チャタレイ夫人の恋人』だけ。

《 「二十世紀」の怪物であるマスコミのみならず、時の権力がどのように関与したかも 記されている。だからこそ「騒がせた本」になるのだ。 》

《 私が最も興味深く読んだのは、遺伝子の山師ルィセンコの章で、この場合、スターリンの お墨付きを貰ってから狂っていく彼の運命のむごさというより、彼の学説に反対した学者たちの 運命(粛清)が熱をもって語られる。 》

 私と同じだ。これは私にとって「良書」である。

 携帯電話と財布をポケットに入れて外出。この二つがあればまず安心。と、思いきや、電池も 金もカラ。なんてことがないように確認。

 ネットの見聞。

《 「私たちは“ド素人”でした」…海老名でも開館したツタヤ図書館、大騒動の舞台裏 》  「『海老名TSUTAYA図書館』“ゴタゴタ”オープンルポ!」より
 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151013-00054818-playboyz-soci

《 日本国民は、自民党が、主権を脅かす敵だという認識が足りない。 自民党改憲草案は、国民から主権を取り上げ、基本的人権すら葬ろうとしている現実から目を背けるな! これから何をすべきか優先順位はわかる筈だ。  》 売国有罪〜売国自民党不都合な真実
 https://twitter.com/summer777666/status/653726872648286208

《 先の戦争が終わった後も、こういう人間が山ほどいた。「内心では反対だった」 「しかしああするしかなかった」「しかたなかった」と、ひたすら保身と責任回避を図るが「では、 あなたはなぜ重要な場面で常に、反対しているはずの戦争指導部の方針に賛成・加担したのですか?」 と問われると返答できない。 》 山崎 雅弘
 https://twitter.com/mas__yamazaki/status/653798905709092865

 ネットの拾いもの。

《 体力がないのは昔からで、若いころに二〇三高地に登ったときも、「なんて急坂なんだ、許せん!」と、 誰にともなくブツブツ言っていた。 》

《 いやもうホント、アウシュビッツ世界遺産登録にドイツが反対したら世界はどう見るか、とか、 逆に今回のシベリア抑留の記憶遺産登録の件でロシアが文句言ってきたらどうすんの、とか、 想像力ないんかとしか言いようのない醜悪な姿を我が政府が晒していて見るに耐えん。 》

《 南京無視という妖怪がアジアを徘徊している。 》