『古書街を歩く』つづき

 紀田順一郎『古書街を歩く』新潮社1979年初版、後半を読んで読了。

《 美術誌は日本美術専門誌が高価で、一八八九年(明治二十二年)いらいの『国華』などは、 ごく稀に大揃いが出るが、現在の相場は二百万円を超すであろう。 》 108頁

 何年前だろう、『国華』創刊号から150号までの一揃いを購入した。七十万円強だった。 欲しかったのは160号くらいまでだったから、満足。挿絵の多色刷り木版画が目当て。 彫り、摺りの技術に目を見張る。
 http://kanagawabunkaken.blog.fc2.com/blog-entry-31.html

《 古雑誌の魅力の第二は、そこに過去の一定のある時間が封じこめられていることだ。 学術誌などにはそうした趣きが薄いかもしれぬが、小説誌、芸能娯楽誌などというものには、 写真や挿絵、広告等の醸し出す効果もあって、失われた過去の時間が、ストップモーションのように 定着されている。つまり、一九○○年二月号なら、そこには「一九○○年二月現在」が生々しく 存在しているのである。 》 109頁

 手元に1907年(明治四十年)発行の雑誌『文藝倶楽部』博文館がある。読者投稿、都々逸。お題、 盃。

《  盃さすにも心がひける、切れて久しい仲ながら  》

 端唄。お題、芍薬

《  思い侘び。待てども主は小ぬか雨。胸の曇りも晴間なく。蝶さへ姿見せぬ日の。辛気くささか 気晴しに。からりと開ける連子窓。アレ見やしやんせ中庭に。濡色ふくむ芍薬も。重い姿を遣瀬なく。 垣に凭れて居るわいな。  》

 広告も面白い。

《 最良化粧料 高等「キレー水」 色白くつやを出す 羽二重の如き皮膚(はだ)となる 》

 最終18章「大いなる志を小さな本に」は豆本の話題。

《 文化出版局編集部編『自分で仕立てる本』(一九七六年)に触発されて、文庫本などの改装を はじめた。 》 226

 この本の1976年2刷を買って読み、本の改装は無理と判断、三十年以上本棚に鎮座している。 ハードカバーの豆本には惹かれる。手元にはサンリオから出た豆本、ミニブック。 8×7センチほど。ハードカバーで布装。80ページ。きたのじゅんこ『愛・詩画集』1992年初版は 新刊で購入。660円。もう一冊『サンリオキャラクター ミニ図鑑』1992年3刷はブックオフで100円。
 市販された他社の本では、角川 mini 文庫。11×8センチほど。森村誠一『ラストファミリー』 1997年初版、横溝正史『女怪(じょかい)』1996年初版を持っている。講談社からはプチブックス。 13×9センチほど。石坂洋次郎『霧の中の少女』1978年初版。角川、講談社は文庫本を小さくしたよう。 どれもブックオフで100円。即席カップ麺のオマケの豆本、『ビッグコミック小学館の復刻豆本は、 9×6センチほど。七冊持っている。何冊出たのかな。6.5×4.5センチの復刻『平凡』1972年7月号は どこから出たのだろう。記録しておけばよかった。

 雨があがったのでブックオフ函南店へ自転車で行く。大原まり子岬兄悟編『SFバカ本』ジャスト システム1996年初版帯付、泡坂妻夫『恋路吟行』集英社文庫1997年初版、同『11枚のとらんぷ』角川文庫 2014年改版初版、江藤淳『作家は行動する』講談社文芸文庫2005年初版、高木彬光『神津恭介密室に挑む』 光文社文庫2013年初版、『富岡多恵子好色五人女集英社文庫1996年初版、計648円。
 『SFバカ本 たわし篇プラス』廣済堂文庫1998年初版のオリジナルが『SFバカ本』かあ。

《 原始、SFはバカ話であった。 》 『SFバカ本』帯文

《 1996年から、十二冊が刊行された「SFバカ本」シリーズ。 》 大原まり子岬兄悟編『笑壺』 小学館文庫2006年初版

 本棚にはソフトカバーの単行本『SFバカ本 人類復活篇』メディア・ファクトリー2001年初版と五冊の文庫。 六冊あるのか。全部を集めたくな……ってはいけない。

 ネットの見聞。

《 ユーラシア大陸を90度回転させてみると、ユーラシア大陸はパチンコ台に見立てることができる。 日本はパチンコ台の受け皿だった。 》 坂井直樹
 http://sakainaoki.blogspot.jp/2015/11/90.html

 ロラン・バルト『表徴の帝国』ちくま学芸文庫の「パチンコ」の章を連想。

《 したがって、その手は(日本風の)芸術家の手であり、この芸術家にとって、(書の)線は、 《規制された偶発事》なのである。つまり線は断乎として一気に引かれるべきであって、紙とインク そのものの性質からいって、線は決して矯正されえないものであるということを、根源的(アラ・ プリマ)絵画の原則そのものを、パチンコは機械の世界のなかに、あらわに示すものなのである。 (中略)パチンコの玉の進路は、はじくときの一瞬の稲妻によって宿命的に決定される。 》 50頁

《 数十円のもとでで、遊び手は象徴的にだがお金のしぶきを一身にあびることになる。 》 51頁

 ネットの拾いもの。

《 お風呂上がりでホカホカ。湯上がりタマゴ肌。ただし殻を剥く前。 》

《 実家から、『東京防災』を大量に送れ、との指令がきた。 》