結城昌治『ゴメスの名はゴメス』光文社文庫2008年初版を読んだ。元本は1962年刊。1961年10月の ベトナム・サイゴン(現ホーチミン市)が主な舞台。一と月ほど前に失踪した日本人駐在員を探して、 夜の道を歩いていた後任の〈わたし〉の後方で男が銃で撃たれた。男は死に際に「ゴメスの名は……」 と謎の言葉を残した。翌日未知の男から〈わたし〉に電話がかかる。
《 「そうですね、仮の名をゴメスと憶えてもらいましょうか。いつか、お会いできるかもしれません。」
「ゴメス?」
聞き返した途端に、電話がプツンと切れた。 》 66頁
巻頭から一気に熱気と硝煙が渦巻くサイゴンの只中に読者はいる。暗闘の渦中へ巻き込まれる語り手。
《 絶望が遅すぎるということはないのだ。 》 231頁
ふっと目が留まってこのミステリを読んだ。そして以下の文。
《 新しい人生なんてものは、煙草の吸殻のように転がっているものではないのだ。 》 247頁
《 すべてに絶望し、何も信ずることがなく、それ故に何かを求めずにいれれなくて烈しい行動の中へ 自分を投げ込む者がいる。しかし冷えた心は冷えたままで、結局はまた絶望し、むなしさを他人の夢に託し、 他人の情熱に加担することによってようやく自分の存在を意味づけようとする。 》 191-192頁
《 しかし、たとえそれが幻想に過ぎないとしても、生きていくには何らかの幻想を信ずることが必要なのだ。 》 247頁
昨日話題にした洲之内徹を思う。
午前中はさいたま市からの五十余人を、グラウンドワーク三島の小松理事長と楽寿園〜源兵衛川を案内。 最上流部では数メートル先の枝にカワセミが留まっている。皆さん喜ぶ。昼帰宅。
ネットの見聞。
《 辺野古容認 地元2区長が否定 基地移設で政府説明と食い違い 》 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201511/CK2015111802000120.html
《 安保法で自衛隊リスク増 PKO参加国の戦闘死者446人》 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201511/CK2015111902000119.html
《 男女平等、日本101位 今年も先進国で最低水準 》 47NEWS
http://www.47news.jp/CN/201511/CN2015111801001853.html
ネットの拾いもの。
《 イスラエル国旗の前で、イスラムテロと闘う、なんぞと宣言したものだから、 これからは貧乏神、疫病神につづいて死神のお役目も務めることになりそうです。 》
《 世の中に 対話あるこそ うれしけれ とはいふものの お前とはイヤ 》