「私信・私心」

 先だって東京に住む、故北一明のファンの老婦人に東京新聞の7月31日夕刊の記事「戦禍の土で 反戦デスマスク」「異端の陶芸家 北一明さん 業績に光」「知人ら 記念館設立計画」のコピーを 送ったが、その礼状が届いた。

《 ものたりない記事ですね
  一般の方々にもっと知って頂きたいものです。
  越沼さん 別の新聞に書いてください。 》

 問い合わせなど私にはどこからも来ていない。まず来ないだろう。十五年ほど前だったか、北氏から 茶碗が送られてきた。百万円で買ってくれ、と。新作だろうが、如何せんつまらぬ作で、後日送り返した。 北氏の片腕の女性が電話で怒鳴り込んできた。保険を掛けずに送り返すとは何事だ、と。私は破損したら 弁償する心づもりだったが。あまりにひどい怒鳴り声なので、周囲の人に気兼ねして電話を切った。

 その数年後、彼女は東京駅八重洲口の北一明経営の居酒屋で支度中に急死。後日、私の古い知人女性が さりげなく店を訪問すると、北氏は一人で店を切り回していた。北一明の作品集の装丁を手がけた彼女を、 北氏は言われるまで気づかなかった、と。その彼女から北一明のぐい呑みなど数点の販売を依頼された。 二点をニ万円で購入された遠方のかたからのメールがある。2009年。長いので一部を。

《 お送り頂きました北陶工の作品、あくまで氏の片鱗や創作の一端でありながら、
  予想していたより遥かに素晴らしく、
  個人的にはもう陶器収集の最後を感じさせるほどのお品で御座いました。
  小品といえあれだけの技量、とりわけ隠しおおせない稀有のセンスを持ちながら、
  一方で昨今の氏への評価を対照させるにつけ、
  尚一層、現今の我が国陶芸界の水準を推して知るべき状況、
  仕方が無いと言ってしまえばそれまでで、
  現今どころか、深くは人の性にもその根源ある顛末、
  なんとも言葉の無い心境に御座います。 》

《 見事なまでの対称的の二品、私にはまるであつらえて貰ったかの様です。
  二品とも大満足のお品で御座います。 》

 代金二万円を、彼女は美術館の運営に当てて、と。有難かった。

 三島市の知人の奥さんが東京・新橋で買いものをしていた時、彼女が三島の人だと知った北一明は、 一面識もない彼女に私の悪口をこれでもか、と言い放った。彼女は呆れて私に訊いた。何なの、 ボームレスみたいなあの人、と。私への罵詈雑言をいろいろな人に言っていたようだ。だから、 問い合わせは来ないのだろう。18日のブログに北大路魯山人の記事を転載したが、北一明を重ねて 感慨を覚えた。

 一昨日、味戸ケイコさんからお返事の手紙が届いた。

《 とてもうれしい感想をいただいてこれ以上の喜びはありません。 》

 有難いお言葉。

 ブックオフ長泉店で文庫本を三冊。樋口毅宏民宿雪国祥伝社文庫2013年初版帯付、ジル・ チャーチル『八方破れの家』創元推理文庫2013年初版帯付、ヤンソン『たのしいムーミン一家』 講談社文庫2011年初版、計324円。

 ネットの拾いもの。

《 セーラームーンの化粧品が発売されるたびに「ごめんね 素直じゃなくて」が時を経て 「ごめんね 素顔じゃなくて」になったんだなって思う。泣きたくなるようなムーンライト。 残業しているミッドナイト。 》

《 大駐車場を2時間探しても見つからなくて
  俺の車何処行ったんだと泣きそうな気持ちになった所で、
  自転車で来たのを思い出した。
  で、今度は自転車見つけ出すのに1時間掛かった。
  自分のクルマまでのナビがいるな。 》

《 幕張で真夏に1時間さまよった。
  確かに3階に停めたのに車が見当たらない。
  2回3階の全車を確認したけど無い
  それからもしかしたら勘違いしてたかもと思い2階3階4階を確認しても無い
  疲れて途中の階段の自販機で飲み物を買おうとしたら目先に自分の車があった
  中3階ってなんだよ!バカヤロー! 》

《 雨の日に駅まで家族迎えに行ったら、知らないオバサンがいきなり車に乗り込んでくると 同時に悲鳴あげて降りて行ったことならあるけどなw 》