「本の夢」

 昨日の豊崎由美『ニッポンの書評』光文社新書で、やはり引用しようと思った箇所。巻末の対談相手、 大澤聡の発言。

《 雑誌もそうですけど、この八○年ずっと同じフォーマットでやってきた。さすがに制度疲労を起こすに 決まっていますよ。いいかげん根本的な組替えを考えていかないといけない。でも、長くやってきた形式ほど 変えにくい。 》 210頁

 美術評論で「根本的な組替えを考えて」やったのが、椹木野衣『後美術論』美術出版社2015年初版だ。

 中井英夫関連で、月刊誌『芸術生活』芸術生活社1980年11月号を取り出す。巻頭特集「本の夢」。特集は、 W・ウイザリング原作、中井英夫翻案「ブナ(木ヘンに無)館の殺人」で始まる。文章と中本徳豊の写真の配置が 見事に決っている。作品は単行本『夜翔ぶ女』講談社に写真とともに収録されているが、初出のほうがお洒落。
 『夜翔ぶ女』は「夜とブ女」と読めると、中井英夫氏は苦笑した。

 当時(もう三十五年前か)特集で気づかなかったものに「鉄箱に閉じこめられた詩集」吉増剛造がある。

《 十年前に彫刻家若林奮の手になる鉄箱深くに閉じこめられた詩集『頭脳の塔』がいま詩人自身によって 開かれようとしている。 》 写真・中本佳材

《 若林奮装丁による『頭脳の塔』は1970年4月に青地社より限定35部で出版された。 》

 当時(もう四十五年前か)未知の青地社へ赴き、『頭脳の塔』1971年1月30日限定千部を購入。 35部限定版は知らなかったが、知っていても買えなかった、というか問題外だった。今ならどうかな。 それはさておき。これには別冊子『「頭脳の塔」補完』(2頁〜19頁)が付いている。その時説明されたが、忘れた。

《 ミニ・ブックとは、通常タテヨコが3インチ以内のものをいう。 》 井関利明「ミニチュア・ブックの夢」

 魅力満載の革装丁本が綺羅星のごとく。ほ、欲しいなあ。7.5センチを目安に机上のモノを測る。郵便局でもらった パラパラメモがドンピシャリ。これに当てはまりそうな本はたった二冊。サンリオから1992年に出たミニ・ブックと 吉増剛造『老詩人』未来工房1983年800円。意外とない。二冊とも布装の堅牢本。私好み。

 「本は宇宙に匹敵する──造本家 杉浦康平の発想」が興味深い。その一部。

《 ◎「本」の中には一本の線がひそんでいる 》 後半部

《 日本の草書文字は手の触紙・跳躍運動がつくり出す一本の線だし、一枚のポスターには、視線の軌跡が 複雑な線となってしまい込まれている。
  一点から他点へ移動する道路や河が、一流れの線をたどるように、一編の小説にも、無数の傍流・乱流を 呑み込んだ一条の線が浮かび出る。
  「本」はいつもことばの巻き物なのである。 》

 線、なのだ。書家は筆で絵を描かない。画家は筆で書を書かない。いや、描けない、書けないのが本当か。 その隔絶を軽々と超えてしまう人がいる。書の筆による線描画はじつに魅力的。だが、誰もまだ気づかない。

 ネットの見聞。

《 客を乗せたままバスが回転する停留所、南善福寺 》 Daily Portal Z
 http://portal.nifty.com/kiji/151216195289_1.htm

《 津波に浸かった南三陸町の公立病院、台湾の義援金22億円で復活 》 The Huffington Post
 http://www.huffingtonpost.jp/2015/12/14/taiwan-minami-sanriku_n_8808616.html?utm_content=buffer420ca&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

《 2016年1月31日、展覧会の最終日をもって「神奈川県近代美術館 鎌倉」の公開を終了し、 3月末日をもって神奈川県立近代美術館は「鎌倉館」を閉館することになりました。 》
 http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/greeting_2015.html

 1970年のムンク展へ行ったのが最初か。それからピラネージ版画展。どちらも心に深く刻まれた。

《 南雲堂『本格ミステリー・ワールド2016』で、横井司氏が他人によって書き換えが行われている 角川文庫の横溝本や川島郁夫の短篇について言及していますが、光文社文庫高木彬光作品も著者の没後、 勝手に語句修正されており、これも今まで指摘された事は(たしか)ありません。 》 浪城甲斐
 https://twitter.com/Suite_Magica

 角川文庫の高木彬光を処分しないでよかった。光文社文庫・新装版はさて、どうするか。

 ネットの拾いもの。

《 本は人に貸してはならない。貸せば戻ってこないからだ。私の書斎に残っている本といったら、 そうやって人から借りたものばかりだ。 アナトール・フランス 》

《 ある対話。
  「神様、どうして人は殺しあうのでしょう?」
  「ごめん、ごめん。プログラムにバグがあってね」
  「修正できますか?」
  「いや、もう手遅れだ。まったく新しいのを作ったほうが早い」 》

《 オーストラリア首相「不法移民には断固として対処する、帰れ!」
  アボリジニ「え、マジで? お前ら何時帰るの?」 》

《 毎日こつこつと片付けたおかげで、数年ぶりに家のなかでカニ歩きしないで済むようになった。 》

《 昔近所にあったスーパーでは豚肉ブロックに「ローストビーフに最適!」という惹句をつけて売ってた。 》