『自己の探求』つづき

 中村元『自己の探求』青土社1987年新装初版の再読を終える。

《 自然界における生命現象を、どこまでも対象的なものとして詳しく研究することは、自然科学者の 仕事である。しかし生命という問題に関していかなる態度をとって生きるべきであるか、ということは、 自然科学それ自体からは出て来ない。われわれはこの問題を以下において追求したいと思う。 》 119頁 「生命の概念」

 第一部「自己」には多くの付箋を貼ったが、第二部「生命」第三部「運命」には今回も殆ど貼らなかった。 最終章「運命の共感から愛上へ」では、水木しげるやなせたかしの二人を対比して思った。

《 人間としては何の変りもないとしても、戦場に駆り出された男は、幾人も人を殺す。たまたま後方に おかれた男は、人を殺さない。ただそれだけの差異である。 》 286頁

 水木しげる(1922年〜2015年)は南方で悲惨な目に合い、左手を失う。やなせたかし(1919年〜2013年)は、 従軍中は戦闘のない地域にいたため、一度も敵に向かって銃を撃つことはなかったという。この戦中体験の 違いが、その後の作風にも表れているように思う。

 昨日書き忘れていた出来事。近所のスーパーへ食料買い出しに行ったら、レジのおばさんたち皆、 サンタの赤い帽子をかぶっていた。顔見知りのオバサンと目が合い、互いに苦笑。だよなあ。で、夜は 例年通り、故浅川マキ「前科者のクリスマス」を聴いた。シビレル。晩、雨が降ったせいか、夜の街は 先週とちがってじつに静か。今夜は甲斐バンド「かりそめのスイング」を聴く。
 https://www.youtube.com/watch?v=VgPE-ndCdpU

 昼、造形作家白砂勝敏氏が、収めに行く注文制作の木彫椅子二脚を見せに来る。椿だったか、 花道家の庭木を椅子に、と頼まれて二年ほどかけて完成。樹木の生成に沿ったすっとした立ち姿が、 木のいい流れを形作っている。気持ち良い造作だ。元の木からの変身=再生に感動されるだろう。 いい仕事をしている。
 http://shirasuna-k.com/

 午後、ブックオフ三島徳倉店へ自転車で行く。軽装でも汗ばむ陽気。夏の雲のよう。田中彰明治維新と 西洋文明』岩波新書2003年初版帯付、原武史保阪正康『対論 昭和天皇』文春文庫2004年初版帯付、 計216円。

 ネットの見聞。

《 高浜原発再稼動容認の裏に裁判所と原子力ムラの癒着! 原発推進判決出した裁判官が 原発産業に天下りの実態 》 LITERA
 http://lite-ra.com/2015/12/post-1822.html

 ネットの拾いもの。

《 いずれ日本はラマダンも夜の宴会部分だけ取り入れるだろうよ 》