「正月二日」

 家の前を車も人も列をなして東へ三嶋大社へ。私は家の排水管の清掃。といっても洗剤を注ぐだけ。 築35年のこの家、排水で困ったことがない。管自体は古くなっているとは、水道屋さんが秋の検査で。 我が身体と同じ。体力維持のためブックオフ函南店へ自転車で行く。国道136号線、東駿河湾道路は ノロノロ運転。東京へ行くんだろうけど、高速道路は拘束道路だね、こりゃ。函南店で文庫本を四冊。 萩原葉子『天上の花─三好達治抄─』講談社文芸文庫1996年初版、藤原新也『東京漂流』朝日文庫2010年 4刷、南伸坊『笑う街角』ちくま文庫1993年初版、『ちくま日本文学 017 森鴎外ちくま文庫2008年初版、 計二割引346円。

 松浦寿輝『明治の表象空間』新潮社を少し読む。

《 たとえば戒厳令下の非常事態で独裁者の下す決定のように、例外状態に関する決定においては 現実への規範の適用は一時的に停止され、ひいては規範自体が無化される。だが、規範の停止において 問題となっているのは、実は規範の適用がふたたび可能となるような状況を新たに創出することである。 》  307頁「例外──システム(三)」

《 安倍政権は、大規模災害を想定した「緊急事態条項」の追加を憲法改正の出発点にする方針を固めた。 》  毎日新聞
 http://mainichi.jp/articles/20160101/k00/00m/010/070000c

 元日の毎日新聞の記事が、「例外──システム(三)」の論述に照応する。規範を憲法に読み替える。

《 規範と実践、ラングとパロール、「啓蒙」イデオロギーと「剥き出しの生」との間に繰り広げられる 終りのない抗争の賭け金となっているものは、いったい誰が「主権者」なのかという問いなのである。 》  310頁「例外──システム(三)」

《 ネーションという集団単位の統一性を表象し、内部を外部から切り分けてその輪郭をくっきりと明示し、 そのアイデンティティの持続を保証するものは、その起源からその現在までの時間軸を一貫して跡づける 歴史の物語以外にない。(中略)日本の場合、明治二年の「修史の詔」に発する政府主導下での正史編纂事業こそ、 そのもっとも露骨な試みであったことは言うまでもない。 》 334-335頁「不徹底──進歩史観(三)

《 さらに、歴史記述がそのネーションの「今・ここ」の正当化というモチーフによって動機づけられている以上、 当然と言えば当然のことながら、時間的に現在に近くなればなるほどそのネーションの姿は「より良く」 「より優れたものに」整えられていったという「進歩=進化」の図式が説得力をもって浮かび上がってくることが 要求される。 》 355頁「不徹底──進歩史観(三)

 二十二世紀から観た現在の政治状況でなければいいが。

 ネットの見聞。

《 正当な文化の基盤が揺らぐとカウンターカルチャーも矛先が鈍ってグズグズになると思う。 アナーキーでアバンギャルトな文化が生き残れるのは、文化、教養が広く浸透している国、地域だけだと思う。 》  林由紀子
 https://twitter.com/PsycheYukiko

《 2016年元日にパブリックドメイン入りした(著作権が消滅した)著作者をまとめました。  》
 http://togetter.com/li/919886

 ネットの拾いもの。

《 これ、ビルにあたったら即死ですからね。個人的には絶対やりたくない。 》
 http://www.gizmodo.jp/2016/01/151220nfly.html?utm_content=buffer56ace&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

《 そのうち「リストラ」とか「依願退職」などの言葉を使うのを避けたい日本企業が「卒業」 っていう言葉を使いだすかもしれん。 》