『人間科学の哲学』その三

 山口裕之『人間科学の哲学』勁草書房2005年初版、「第4章 知覚と意味」から。

《 そして、デカルト的・自然科学的な枠組みでの議論は、知見を研究しようとする心理学者の知覚的世界に現われた 何らかの対象に対する秩序づけ・意味づけによって構築されるに他ならないのであるから、「私」の意識における 秩序づけ・意味づけのプロセスを考察することは、そうしたデカルト的枠組みを取り込んでしまう射程を持っている。 》  126頁

 「そして」以降傍点付き。引用、間違っていないよな。書き写してもよくワカラン。

《 そしてその中に、飛躍や断絶や明確に自覚されていない前提を見出すことができたならば、知覚の成立についての よりよい理論を作るためのよすがとなるだろう。 》 126頁

 はいはい。

《 「私」は自らの知覚的世界については直接的に知っているが、それを成立させているはずの自らの脳の 処理過程については知らない。「私」の脳は「私」にとってひとつの他者である。自らの脳の活動している様子を 映像で見せられたとしても、そうした活動の様子を「私」は自らの知覚器官を通じて、つまり外的対象として観察 することができるだけである。 》 134頁

《 我々は、知覚可能な現象をもとに、さまざまな知覚不可能なものについての知識を生産していく。知覚的世界における 質の類似性についての判断が現象の反復についての認識を可能にし、さらには「現象の背後にある実在」についての推定を 可能にする。そして、「実在」が確信された後で、翻って知覚的質の類似性を実在によって説明するという説明仕方が 成立するのである。 》 150頁

《 知覚の成立過程と意味づけの過程について、それらを同じ過程であり同時に起こるものであると考えてしまうと、 創造の可能性や、意志や意識といったものが失われてしまうことになるだろう。 》 155-156頁

 内容は深く、理解に苦労するが、文章は平明で明解。足りないのはこちらの理解能力。繰り返し読んでやっとワカル。 しかし、他の人の著作との相違の指摘には程遠い。半分を過ぎたほどだが、いい本だ。

 ネットの見聞。

《 安倍政権がなぜ放送法を誤って解釈し、放送局という言論機関に当たりまえのように介入できているのか、 その理由がよくわかるやり取りが、今週、国会であった。 》 ビデオニュース・ドットコム
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160220-00010000-videonewsv-pol

《 欧米社会と比較した際に日本社会が際立っているのは、それが並立する「ムラ社会」のあつまりであるという点です。 ムラとは会社であったり、業界であったり、地域であったりします。ムラ同士が交わることは少なく、個々人にとって 「ムラ社会」の存在は圧倒的です。 》 山猫日記
 http://lullymiura.hatenadiary.jp/entries/2016/02/16

《 メディアと政治の関係と、それを支えていたムラ社会の崩壊はどこまで及ぶか 》 池内恵
 http://ikeuchisatoshi.com/%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%81%A8%E6%94%BF%E6%B2%BB%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%A8%E3%80%81%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%82%92%E6%94%AF%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%83%A0%E3%83%A9/?utm_content=bufferdcfd8&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

 昨夜、椹木野衣・編『日本美術全集 19 1945-1995 拡張する戦後美術』小学館2015年初版を何度目かの鑑賞。 美術団体というムラ社会は……。

《 一方、石森章太郎は60年代から70年代は傑作ばかりを描いたが、80年代には駄作という程ではないが、 凡作ばかり描くようになっていった。 》 カマヤンの燻る日記
 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20160220/1455979774

 石森章太郎の漫画『魔法世界のジュン』(1978-79)が、上記 椹木野衣・編『日本美術全集』に収録されている。 その前作とも言える、1969〜71年に大部分が発表された『章太郎のファンタジーワールド ジュン』メディアファクトリー 2001年初版を開く。30頁の少女の吹き出し

《 なぜ かけないか わたしは しっている 》
《 あなたが そのヒトや ドウブツや モノの「心」 を理解しな いから… 》

 ああ、003、フランソワーズ・アルヌール。まず映画女優に一目惚れ。いかんいかん。

《 どれくらいで来るかなと試しに図書館で予約した『火花』がついに届いた。昨年5月21日に申し込み、 来たのは今年の2月20日。たしか予約当時は400〜500人待ちで、所蔵数は38冊(途中で増えたかも)。 これで約9カ月。さて、いまはどうなのか見てみたら……1626人待ち。ひえー。 》 龍の字
 https://twitter.com/dragon_boss/status/701051473983967232

 ネットの拾いもの。

《 特に用事がなかったのですが思いつきで久しぶりに実家に電話してみました。父が出ました。 母はご近所さんとの飲み会へ行っているようです。父に定年後、毎日何してるの?と聞いたら、ゴルフやって〜、 母とウォーキングして〜、ランチに出かけて〜。僕が楽しそうだねと言うと「楽しくねえよ」。 》

《 「おれが昔松下電器担当やった頃」
  「Panasonicやな」
  「電気屋さんいう言葉は不可やった」
  「なんて言うね」
  「電気店さん」 》