『草府にて』

 大岡信詩集『草府にて』思潮社1984年初版を読んだ。「あとがき」から。

《 私は自分の詩が「箴言」と「うた」という二つの大きな詩のテーマによっていやおうなしにしぼりあげられて いるのを感じる。 》

 そのような印象を受けた。最初の詩「詩の原理」、冒頭と結びの連。

《  「光」と「影」は概念ではない。
   原理だ。  》

《  「陰」と「陽」は概念ではない。
   積乱雲をみちびく原理だ。  》

《  一羽でも宇宙を満たす鳥の声
   二羽でも宇宙に充満する鳥の静寂  》 「ライフ・ストーリー」全篇

《  《「運動」であるおれが なぜ
   「位置」の捕虜になりはてたとき

   観客どもははじめておれをあんなにも心安く飾つたのか
   「歴史的とか「傑作」とか 言葉の泡の花束で?》  》 「彫像はかく語つた  ポッチョーニ作 『空間における単一連続体』(一九一三)」より

《  槌と鏨でつくるのは
   かたちないもののきはみのかたち

   言葉と息でつくるのは
   かたちなきもののはじまりのかたち  》 「外は雪」全篇

 あと「人生論」も興味深かったが、省く。どの詩も理知的だ。感情をせき止め、伏流させ、露呈させない。 オーケストラの指揮者(詩人)の指揮棒(詩篇)に導かれて様々な音(象徴)が交響するような。 どれだけ深く受け留められたか。まあ、かすったくらいだろうな。意味を超えて象徴の深みまでは届かない。 理知のあやとり。先月28日に引用した三浦雅士の文が浮かぶ。

《 概念的に明晰であると いうよりは、肉感的かつ多義的である。 》

《 大岡さんにとって言葉はむしろ物(触り触られる対象)なのだ。 》

 触り触られる対象であるからこそ肉感的かつ多義的。掬っても鑑賞の指間から言葉が零れてゆく。

 熊本の被害を見て、地震対策の必要性と不可能性を感じた。家具を金具で留めたくらいでは効果なし。 大事な物は床に置くのが一番か。某蔵書家は本を床に敷いていた、という話があるが。床に置いても ずれる滑る倒れる家具──コンポーネント・ステレオ、机、椅子がある。壊れたら困る物の対策だけ考える。 金具を買いに行きたくも、この強風では自転車じゃ無理。洗濯しなくて正解。のんびりしてたら友だちから電話。 お買いものに付き合う。ニトリじゃ金具は売ってないわ。

 ネットの見聞。

《 着物の査定立会い。70点くらいの着物のうち、値段がついたのが着物6点、帯3点。計4000円。 着るものの相場は、買った時の百分の一とか。着物は財産にならん。 》 ストラングル・成田
 https://twitter.com/stranglenarita/status/727355915628740608

《 「働いたら負け」を上回る名言を募集した結果応募が来過ぎてリプ規制になってしまいました。 ファボしているのでそこをご覧下さい。
  金賞「30歳で魔法使い」
  銀賞「童貞も守れない奴に大切な人を守れる訳がない」
  銅賞「自宅警備員
  高齢の住職賞「先っぽだけでいいから」おめでとうございます! 》 坊主バー(四谷)

《 ナカニシヤ日本一の画噺 》 国立国会図書館デジタルコレクション
 http://dl.ndl.go.jp/search/searchResult?searchWord=%E3%83%8A%E3%82%AB%E3%83%8B%E3%82%B7%E3%83%A4%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%B8%80%E3%81%AE%E7%94%BB%E5%99%BA&featureCode=all&viewRestrictedList=0

 『カチカチヤマ』なんか、すんげえ面白い。

 ネットの拾いもの。

《 昨日の朝送った仕事メールで「〜の方が楽だと思います」という箇所を「〜の方が駱駝と思います」と 書いていたのを発見し、「連休で駱駝に乗る休暇を過ごしていて思わず間違えました」という返信を送るかどうか 迷っている。 》

《 アヘノミクスは福島第一原発事故並みの災いで終わる 》