『絵をみるヒント』つづき

 窪島誠一郎『絵をみるヒント』白水社2006年初版、後半は絵の見方から進んで、「絵の値段について」「『蒐集家』 というふしぎな人々」「『コレクター美術館』の魅力」と、業界がらみのなかなか興味深い展開。

《 だいたい、コレクターといわれる人々を大別すると次の三つのタイプに分けられるでしょうか。 》 145頁

  一  世に「名品」とうたわれている作品、または美術史上に大きな足跡をのこした画家の「傑作」ばかりを蒐集 しようとする人々。
  ニ  それほどの経済力を有さず、一般のサラリーマン程度の収入で、自分の好きな画家の小品やデッサンなどを こつこつと蒐集する人々。
  三  自らの好みよりも、世間の評価や関心度によって画家や作品を品定めし、あくまでも投機を目的として 絵をあつめる人々。

《 そして、こうしたコレクターのなかであんがい多いタイプが、実は「三」に属する人たちなのです。 》 146頁

《 そう、「蒐集する」という行為が最後までその純粋さを保つためには、蒐集した作品をどれだけ長いあいだ大事に 所有しつづけられるか、蒐集した者にその覚悟と信念があるかどうかにかかっているといってもいいのではないでしょうか。  》 148-149頁

 死ぬまでは手放さないつもり。しかし、遺族への負の遺産にはしたくない。

《 なにもかも○か×かで判断しない、その中間のどちらにも属さないものを大事にする心、それは、人間社会が円滑に 平穏に回転してゆくためのきわめて重要な要素です。そして、そうした人間の深層にあるグレー・ゾーンの価値を みのがさない感覚というか、直感力を育てる愉しみが、「絵」を鑑賞する営みにはあるといえるのです。 》 199-200頁

《 画家たちがどんな気持ちでその絵を描いたか、どんな動機をもってその絵を描いたか、そんなことはまったく かかわりなく、その作品はみる側の私たちの心をはげしくうってくるのです。 》 211頁

《 いや、そういう誤解や錯覚の歓(よろこ)び(?)を鑑賞者にあたえる力こそが、秀れた「絵」のもつ力であるように さえ思えるのです。 》 211頁

《 一人の人間が、愛する一枚の絵と出会ったときの緊張、沈黙、深い思索の時間と空間。 》 216頁

 そんな空間をK美術館で目指した。もっといい空間にしたかったが、自己資金ではあれが限界だった。資金が尽きて閉館。 当初から期間限定の予定だった。閉館後は作品を後世へ伝えるために保管……後世の評価を待つ。味戸ケイコも北一明も 意外と早く評価されはじめた。やはり時代は大きく転換しつつあるのだろう。面白い時代にやっとなった。

 昼前、用事が早く澄んだので三信ギャラリー善へ、鳥の巣の実物展示を見に行く。これは面白い。知人たちにメール。
 http://www.sanshin-zen.jp/exhibition/exhibition.html

 午後、食料の買い出しへ。自宅の東西徒歩三分圏内にイオン系スーパーがある。まずは西へ。東よりも安い同じ赤ワイン。 お、ウィスキーの富士山麓が消えて五割値上がりした富士山麓が。ついに来たか。
 帰宅して東へ。西よりも安い同じほうれん草、西では売ってないプライベート・ブランドのヨーグルトなど。おお、こちらも 高い富士山麓のみに。
 http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1046248563.html

 ネットの見聞。

《 電通は日本のメディアを支配しているのか? 》 内田樹の研究室
 http://blog.tatsuru.com/2016/05/15_0947.php

《 電通とメディアと自民党について書いたフランス語記事の@kazparisさんによる抄訳  》
 http://togetter.com/li/975101

《 米国民のほとんどは、西太平洋の局地戦に米国の核心的利益を見出すことはありません。日本人が理解すべきは、 その事実はトランプが勝とうがヒラリーが勝とうが変わらないということです。 》 山猫日記「トランプ大統領」 の世界―語られた孤立と平和
 http://lullymiura.hatenadiary.jp/entries/2016/05/09

 ネットの拾いもの。

《 ロシアは最強の警察官w 嘉手納の米軍追い出して、代わりにプーチン大帝のロシア軍入れよう。  尖閣のチャンコロなんざ、3日で追い払ってくれるだろう。 》

《 日本政府は「実績のある会社」と呼ぶ。確かに賄賂の実績がある。 》