『偶然性と運命』

 木田元『偶然性と運命』岩波新書2001年初版を再読。こんなに読み応えがあった(難解)とは。以前なにを読んだのか。 メモ。

《 (ニ) ハイデガーの時間論のもう一つの特質は、彼が〈現在〉〈未来〉〈過去〉をそれぞれ自立した単位と見た上で、 それらが集まって時間を構成するといったふうに考えるのではなく、これらの単位は一つの全体(現在)のうちにズレが生じ、 それが内的に分化することによって成立したものだと考えるところにある。したがって、これらの単位はそれぞれが その存立根拠を自分のうちにもってはいない。それぞれが他に依存して存立しているのであり、たがいに緊密に運動しあって いる。当然、一つが変われば他も変わる。ハイデガーは、これらの単位を〈脱自態(エクスターゼ)〉という、これまた 妙な言葉で呼んでいる。 》 25頁

《 先ほども言ったように、めぐり逢いの意識にともなう不思議なほど強烈な明証性、つまり確かだと思う意識は、 過去の体験の再構造化が完了したことの反映にちがいない。 》 36頁

《 様相とは、ものごとが〈何であるか〉という意味での〈ある〉ではなく、そのものごとが〈いかにあるか〉という 意味での〈ある〉、つまりそのあり方についての規定を言うが、それは当然われわれがそのものごとをどんなふうに 捉えているか、どんなふうに認識しているかという認識の様相とも密接に結びついている。 》 77頁

《 こんなふうに〈将来〉〈既在〉〈現在〉という三つの次元を統一的に開きながら存在しているのが、 人間に特有な存在の仕方なのである。 》 78頁

 はたと気づいた。絵画における〈将来(未来)〉〈既在(過去)〉〈現在(今)〉。凡庸な絵画は〈現在(今)〉= 描いている時間しか表現できない。その現在から拡がらない。優れた絵画は〈既在(過去)〉=時間性、歴史性等(の 再構造化)を描きこんでいる。そして傑作は、〈将来(未来)〉=後世の鑑賞にも耐える構造がある。

 絵画は、人間存在の様相のありのままの反映なのだ、と考えるに至った。

 昼前、用事を済ませブックオフ長泉店へ寄る。文庫本を四冊。杉浦日向子『合葬』ちくま文庫2015年23刷二重カバー、 中島誠之助『骨董屋からくさ主人』角川ソフィア文庫2005年初版、プルースト失われた時を求めて1』光文社古典新訳文庫 2010年初版、池内紀ほか編『日本文学100年の名作 第7巻 1974-1983 公然の秘密』新潮文庫2015年初版、計一割引388円。
 午後、灰塚川(松毛川)川岸に密生している放置竹林の伐採作業に参加。今回は沼津市側。一汗かく。
 晩,NHKテレビの取材でグラウンドワーク三島事務局へ。

 ネットの見聞。

《 【危険外来植物ナガミヒナゲシのちらし】可憐な花だけど駆除して! 生態系を壊しているナガミヒナゲシ  》
 http://togetter.com/li/977149

 家の前に一輪。根から抜いた。

《 「ウチの生活が大変だから給料上げて」という儚い夢は絶対に叶わないですが「国家が金を使いすぎたから増税」 はよくあります。ご立派な政治家や優秀な官僚の皆様が大勢いても「金が無くなるまで使って、無くなったらまた集めよう」 ってその精神構造が問題。飲み会の幹事がこれやったら罵倒の嵐。 》 清水 潔
 https://twitter.com/NOSUKE0607/status/733527495157256192

《 (´-`).。oO(祝!「ワイセツって何ですか?」英訳版がAmazonランキングノンフィクションコミック部門、 カナダで1位、アメリカで2位!かたや日本のtwitterでは今日も見知らぬ人から石を投げられる(^o^)/ 》  ろくでなし子一審一部無罪!
 https://twitter.com/6d745/status/733396382812266496

《 世界の本質は "運動" であって、それはアリストテレスダ・ヴィンチが気づいて書き残していることであり、 世界の本質をミーメーシスするのが芸術の目的だとすれば、当然、芸術はまず "運動" を捉えるものでなければならないんだ。 》  DDC_violoncellista
 https://twitter.com/DDC_violoncelli/status/732837019458670592

 ネットの拾いもの。

《  ついさっき送信したのは、いつもお世話になります、が、〈いもつお世話になります〉になっていた。 「い」のあとに「ち」が入っていなくて本当によかった。 》

《 そんなに若冲に興味がある人が大勢いたことに驚いたよ。 》