『乾坤』

 雨のち曇り。一日違いでよかった。

 安井浩司句集『乾坤(けんこん)』冥草舎1983年を読んだ。気になった句をいくつか。

《   月光や沖では漁師濡れおらん

    雨の道蓑より覗く神が居る

    牛の眼の赤し赤しと往きにけり

    遊女と見あぐ骰子が夏の空中に

    歌人(うたびと)には地の極(はて)のみを与えんや

    ひるづきを宙吊りにして西行道(みち)

    定家葛ひそかに髑髏へ根を延ばす

    鴉は見落とす庇の深き古本屋

    一生一日として泳ぎおる奥羽の海

    早春うぐいすは通る神の指の間を   》

《 そのことを深く承認しつつも、しかし、詩は窮理において、遂に人間存在の根源的な部分を慰めることでは なかろうか。存在を慰め、そして魂をこそ救い果たすことではなかろうか。 》 「後記」より

 ネットの見聞。

《 いま「アート」はどこに現れるか 》 藪前 知子
 http://www.webchikuma.jp/articles/-/136

《 Giant Octopus Kite (大蛸の凧) 》
 https://www.youtube.com/watch?v=t9kzVcrgSXU

《  ロンドンの団地はすごい! 》 Daily Portal
 http://portal.nifty.com/kiji/160527196633_1.htm

《 ドグラ・マグラワンピースすごい、彼女に着てほしい…かな?…@ギャラリーアートスープ「文学の過去と未来展」  》 プチ文壇バー&ネコ文壇バー月に吠える
 https://twitter.com/puchi_bundanbar/status/736752658367713281

《 北村◆あれは泉鏡花賞(1990年に日影丈吉の短編小説集『泥汽車』が第18回泉鏡花文学賞を受賞)の祝賀会ですね。
  諏訪◆僕の先生の種村季弘もその時いたんです。
  北村◆あぁそうですか。中井英夫さんも駆けつけてね、かなり酩酊なさって(笑)。僕は若輩者でしたけど、 2階で祝賀会が始まる前に1階でちょうど『怪人二十面相・伝』の校正をやってたんです。奇遇ですよね。 僕は二十面相を二人に分けて、“丈吉”を二十面相の平吉の師匠の名前にしたんですけど、 それは日影丈吉さんから勝手に頂戴したんですよね。 》 劇作家・北村想&作家・諏訪哲史 スペシャル対談【後編】
 http://spice.eplus.jp/articles/32803

《 諏訪◆中井英夫とかも?
  北村◆『虚無への供物』は肌身離さず持ってました。きぐるみを着てバイトしながら、合間の時間に読んでました(笑)。
  諏訪◆(夢野久作の)『ドグラ・マグラ』もお好きですよね? やっぱり日本三大奇書は全部…。
  北村◆一応読みました。『ドグラ・マグラ』はみんな前半で投げちゃうんですよね。
  諏訪◆チャカポコでギブアップしちゃう。 》

《 北村◆それはね、2つあるんです。今の劇作家でも多く見られるのは、リアリズムでなくて“マス・リアリズム”で 書いてるんです。つまり、マス・コミュニケーションが操作してるのを現実だと思い込んで書いてる。 それと最近気になってしょうがないのは、シェア(共有)ということです。シェアハウスとかもそうですよね。 共有という言葉は、「分け前をもらう」という意味もあるんですよね。ということは、 共有しながらそこから分け前をもらうという集団幻想があるんですけど、私は全然共有できないんですよね。
  諏訪◆いやぁ、わかる。共有し始めてから僕らの時代になっちゃった。だから(想さん達は)共有しない時代なんですね。  》

《 恥ずかしい、と言うのは、全てを熟知している訳ではないこと、ではない。これだけ知の対象となる分野が 広がった今ではそんなことは不可能だ。そうではなく、明らかに抜けがある領域まで含めて、全てを知っている、 と主張することが、知的誠実さを欠くという意味において、恥ずかしいのよ。 》 tamanoir
 https://twitter.com/jenaiassez/status/735860193158799360?lang=ja

《 もし安倍首相が戦後政治の総決算を本気でしたいのなら、オバマ大統領にならって、首相在任中に真珠湾、 中国大陸、朝鮮半島、その他の悲劇の地へと足を運び、謝罪はしなくて良いから心からの追悼をしてくるべきだろう。 オバマは日本に来る前にベトナムに行っている。 》 森岡正博
 https://twitter.com/Sukuitohananika/status/736889891347300356

 ネットの拾いもの。

《 便りのないのはいい便り、買った馬券の結果をツイートしないのは悪い便り。 》

《 人生が並木道とは知らなんだ 》