『34 評論随筆集 II 』

 昨日ふれた昭和文学全集『34 評論随筆集 II 』小学館1989年初版の目次を見て何気なく吉田秀和『クレーの跡』 を読んだら意外と面白い。クレーにはすごく惹かれる絵と敬遠する絵が混在している。ここで論じられている三点のうち 『悲しみ』1934年とアルファベットが散りばめられている『詩のはじまり』1938年にはさほど興味を覚えなかったが、 最後の線描画『忘れっぽい天使』には俄然興味が湧いた。簡潔な描線の開始から終結までを十二線に分割して辿る。

《 ただ、最初にかいたように、彼の絵が生成の過程を生命としてかかれている以上、その追求は、クレーの絵の理解、 鑑賞に不可欠だ。 》

《 円に対し、下に、11、12の小さな線が加えられる。
  これで、この絵は、造形的にほとんど完成した。 》

《 私に分かる限り、彼の絵は非常に鋭く、ほとんど辛辣である。強いていえば北斎漫画のようなもので、滑稽ではあるが、 ユーモラスではない。(中略)そういう暖かみよりは、むしろ、直観の力強さと、知的に極度な洗練があるのではなかろうか。 この絵も、そういう芸術家だからこそ生まれたのである。 》

 同感。北斎を苦手な理由がわかった。『忘れっぽい天使』は検索ですぐ出る。この絵に遭遇。暗合。
《 1914年の今日はアメリカの漫画家・イラストレーター、ソール・スタインバーグが生まれた日です。主に「ニューヨーカー」 で活躍し、知的で洗練されたスタイルの一コマ漫画で一世を風靡しました。日本の漫画家にも大きな影響を与えました。 》  愛書家日誌
 https://twitter.com/aishokyo/status/742856748676067330

 弾みがついて美術関連の評論随筆を拾い読み。岡本太郎『伝統とは創造である』、宮川淳ルネ・マグリットの余白に』、 高階秀爾『近代美術における伝統と創造』。どれも長くはない評論だが、じつに深い。得した気分。高階秀爾の評論から 岡倉天心のエピソード。

《 彼が大観、春草とたちといっしょにアメリカを訪問した時、一同が和服姿でぞろぞろ歩いているのを見て、アメリカの 若者たちがからかい半分に、
  "Which -neses are you,Chinese or Japanese?"
  「お前たちはチャイニーズ(中国人)かジャパニーズ(日本人)か、どっちのニーズなのか?」
  と聞いたのに対し、天心は即座に、
  "Which -kees are you,Yankees,monkeys,or donkeys ?"
 「お前たちはヤンキーか、モンキー(猿)か、ドンキー(ロバ)か、いったいどのキーか?」
  とやり返し、呆然としている相手をそのままにして悠然と立ち去った 》

 朝雨が止んだので昼前、源兵衛川下流、水の苑緑地から一本松までの石垣などに新しく生えてきたヒメツルソバを抜く。 すっと軽く抜ける。こりゃ楽。土のう袋一袋。一汗かいたので一風呂浴びる。うーん、心地良い。晴れたので洗濯。

 近くの本屋で注文した本、仲正昌樹『〈ジャック・デリダ〉入門講義』作品社2016年初版2160円を受け取る。

 ブックオフ三島徳倉店へ自転車で行く。昨日の『昭和文学全集』小学館は別巻まで全巻あるようだ。姫野カオルコ 『昭和の犬』幻冬舎2014年3刷帯付、尾崎左永子『源氏の恋文』文春文庫1987年初版、計216円。

 ネット遊覧すると知らない言葉がひょいひょいでてくる。「UN−GO」とかゼリーフライとか。検索一発で わかるけど、いつかそう遠くない時期に忘れられ消えてゆくのだろうな。ネット死語辞典は膨大な量になりそうだな。

 ネットの見聞。

《 心がフッと軽くならない言葉を募集した結果を発表します
  金賞「日曜日の夕方」
  銀賞「ノー残業代デー」
  銅賞「パンケーキのカロリー」
  高齢の住職賞に
  「檀家やめたいんですが」です!おめでとうございます!卒塔婆マドラーか葬らんバー送ります。 》  坊主バー(四谷)
 https://twitter.com/vowzbar_yotsuya/status/741832226686410753

《 地方をダメにする ふるさと納税不都合な真実 》 WEDGE Infinity
 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6386?page=1

《 「地域ブランド化」が失敗に終わる3つの理由 》 東洋経済ONLINE
http://toyokeizai.net/articles/-/104375

《 某大臣の一声で商店街活性化に資する取り組み100の事例集を作ろう、という指示が出て、色々と探し歩いたけど、 どうにも紹介できるのが77しかなく、あまり成功でもないから、結局のところ「がんばる商店街77選」 となったという悲劇を忘れずに。 》 木下斉
 https://twitter.com/shoutengai/status/742349838172315649

《 成功事例でさえなく、「がんばる」という全くもっていったもん勝ちな事例集。見ると単に補助金つかって イベントやったとか、空き店舗であれこれやったというレベルものばかりで、まぁ確かに「頑張った」のかもしれないけれども、 それで許されるのは子供でもないよな的な・・・。 》 木下斉
   https://twitter.com/shoutengai/status/742350125633130496

 ネットの拾いもの。

《 「俺も都知事辞めるけど東京オリンピックもナシじゃ」くらいの卓袱台返ししてくれていいんだよ。 》

《 さて、働く都知事が出てくるのか50億かけてガチャを回す時間がやってまいりました。 》

《 「気をつけよう、甘い言葉と安倍首相」 》

《 クラシックは究極の懐メロなのだろうか 》