「リズム/汎(はん)リズム」

 リズムがずっと気になっている。中村雄二郎『人類知抄 百家言』朝日新聞社1996年初版、「9 空海」の項。

《 この汎リズム論というのは、私が『かたちのオディッセイ』(一九九一年)を書いている過程で次第にはっきり してきたものである。それによれば、ものの形態もリズムもすぐれて生命的なものの表現であるが、いっそう根源的なのは リズムである。そして、リズムとその共振こそ芸術や文化はもとより、あらゆる人間活動の源泉であり、そこにおいて、 科学も宗教も芸術も出会うということになる。この凡リズム論の考え方をいっそう推しすすめ詳しく展開することが、 現在も私の最大の関心事である。 》

 中村雄二郎は何冊か読んで親しんでいたが、この本は知らなかった。高価だから見過ごしていたのだろう。今頃読みたく なるのだから、知らなくてよかった。で、彼のリズム論は、二十世紀にすごく気になっていた用語だけれども、内容が 深まらなかった。そのリズムが、山崎正和『社交する人間』「第九章 社交と文化、文明」でぐうんと身近に接近。 全文を引用したいくらい。でないと理解が片手落ちになるおそれがある。ちょっと引用。

《 リズムは人間を一拍ごとに立ちどまらせ、そのたびに行動の全体と行動する自己を眺めさせる。リズミカルな行動は 一面で自己を「見る」行動であり、刻々に自己自身を他者に変える行動だといえる。それは逆にいえば、自己を他者の目にも 見えるようにする行動であり、自己を見る目を他者と共有する行動にほかならない。 》 243頁

 身体リズムの構造分析を基点に文化、文明の再定義へと論を進めてゆく見事な手際に感嘆。

《 行動のリズム化という観点を導入することによって、いまや文化と文明の関係が示唆されるとともに、社交が 厳密な意味で文化そのものであることがほぼ明らかになった。 》 246頁

 ネットの見聞。

《 SHOPオープンしました 》 ひるのつき
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《 あれから16年(ああ、もうそんなに!)。 》 ひるのつきブログ
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 もうそんなに、と同じく感慨。荻窪の二階に開店していた海月書林へお邪魔して本を買った。彼女の力でそれまで 雑本扱いだった女子どもの本、フォア・レディース・シリーズなどが脚光を浴びた。古本の価値を変えてしまった 彼女の功績は計り知れない。彼女の紹介で宇野亜喜良の装丁による雑誌『新婦人』を知った。
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 雑誌『モダンジュース modern juice 』別冊「宇野亜喜良の世界」2002年にはその市川慎子さんからのお礼状。後半。

《 海月は今後もがんばりますので、また遊びに来て下さったら、うれしいです。 》

《 厳密な模倣とはオリジナル以上に考え抜いてやらなければならない。プロセスを解析し、再現しないといけない。 そこを考え抜き、模倣をするからこそ、オリジナリティのポイントも掴める。地域での取り組みも同じ。 》 木下斉
 https://twitter.com/shoutengai/status/748684876459626496

 北一明は曜変を解析しそれを突き抜けて耀変茶碗を創造。

《 天文台職組:「国立天文台における軍事研究禁止の方針」教授会議で決議 》 全国大学高専教職員組合
 http://zendaikyo.or.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=journal_view_main_detail&post_id=2621&comment_flag=1&block_id=3175&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter#_3175

《 『女性自身』の電話取材。参院選の争点は何でしょうというご質問でしたので「改憲の可否」ですとお答え。 与党は3分の2を取ったら必ず「改憲を求める国民の信認を受けた」と言い出します。そして、英国の国民投票に倣って 「憲法があるせいで不当に受益しているやつら」を叩き始めるでしょう。 》 内田樹
 https://twitter.com/levinassien/status/748414958350663680

 ネットの拾いもの。

《 カボチャ帽子の女、SNSでの呼びかけで即日身元が判明♪
  #名作をいきなり終了させる 》 tokyo-zodiac
 https://twitter.com/machodolagon/status/748097677015932928

 (ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』)

《 月末の長いトンネルを抜けるとそこにはもう次のトンネルが……(..;) 》