昨日の毎日新聞「今週の本棚」、高良勉・編『山之口貘詩集』岩波文庫への池内紀の評の結び。
《 いっさい無視されたのはどうしてだろう。なぜ一篇ごとに改ページとしなかったのだろう。 詩集は商品目録ではないのである。用語、措辞、構成、リズム、詩人が心血をそそいだ成果に対して、 あまりにも心ないことではなかろうか。 》
http://mainichi.jp/articles/20160710/ddm/015/070/010000c
買う気が失せた。この評の題は「詩集は詩人が心血をそそいだ成果だ」。詩は最初の詩集で読みたい。例えば 谷川俊太郎詩集/佐野洋子・絵『はだか』筑摩書房1988年初版。大きい活字と墨筆一色の挿絵が共鳴している。
松岡正剛『知の情報工学』朝日文庫2001年初版を再読。平明な言葉で書かれているが、内容は広く深く濃く、 じつに豊饒。再読して新たな発見が鈴なり。ある一文が閃光のように他者の言葉を照射、反響、波紋が広がる。
《 その中に新たに「意味の対角線」を見つけるわけである。対角線というのは、前章でもちょっと説明をしたが、 幾何学でいう補助線のようなもので、「折り返しの線」を見出すことにあたっている。だからこの対角線の発見は、 b〈情報の比較検討〉とはまったくちがっている。 》 190-191頁
《 大気の繊(ほそ)い折返しに
折りたたまれて
焔の娘と波の女が
たはむれてゐる 》 大岡信「少年」冒頭
これは8日に引用している。なんたる暗合。さらに、一行空けて松岡正剛は続ける。
《 ところが、まだここでは編集は終わらない。この対角線によって突き出してきた情報地図を、もう一度いろいろな メタファーやアナロジーなどの雑音的情報を加えることによって、上下左右にゆさぶる必要がある。これがg〈含意を 導入する〉にあたる。 》 191頁
上記に鼓舞され、詩集六頁にわたる「少年」へ分け入る。メタファー、アナロジーなどを頼りになんじゃかんじゃと 何度か読み返すうちに何かかすったような。きょうはそこまで。意味の固定はいけない。「意味の弾性」(佐藤信夫)、 「時間の再構造化」(ハイデガー)、「編集」「叙述性」(松岡正剛)そして「非線形」等の術語が浮遊する。ワクワク。 今回唸った記述、二つ。
《 それにしても主体性とはずいぶんつまらないものである。 》 282頁
《 しかし、歴史がけっして「安定」を求めるのではなく、つねに「混乱」をかかえこむ方向に進んできたことは、 そろそろ大議論の対象になってよい。 》 318頁
注文した本、宮下規久朗『闇の美術史 カラヴァッジョの水脈』岩波書店2400円を本屋で受けとる。
《 光だけではドラマは生まれない。
闇あればこその臨場感。 》 帯文
当然だが、味戸ケイコさんの絵を連想。しかし、彼女の「漆黒」は闇ではない、と思う。漆黒のその先へ。それは 異界への未知なる路。
EXODUS、エクソダス。出てゆくこと、大量の国外脱出をいう。昨日のDIASPORA、ディアスポラに 似ているが、かなり違う。エクソダスを援用した最近の意味は移住。東京からの脱出、地方への移住といった使い方。 東京はこのままでは、水を始めとする生活基盤を維持できなくなると思う。維持できたとしても、新たなる希望の地を 求めるのでは、と勝手に期待する。その地は三島。そうなればいいなあ、と思う。
ネットの見聞。
《 本にはいろいろの読み方がある。通読、熟読、注読、速読、散読、学読、いろいろだ。精読、半読、捨読、遊読、 沈読、残読などもある。そのつど読み方は変化する。だから一般的に「この読み方がいい」などという読書術はない。 その手のノウハウ本など参考にしないほうがいい。 》 松岡正剛の千夜千冊「1613夜」
《 作家は選挙の動向に影響するようなことを言うな、というある作家さんのツイートを読んだ。いろいろな考えたかが あるものだ。本人がそう思ってるのはかまわないけど、自分で作った規律で他の作家を批判するってのは筋が悪いねえ。 影響力のある者は選挙について喋るなというのはマジ言論の自由侵害だよ。 》 太田忠司
https://twitter.com/tadashi_ohta/status/752309414183313408
《 新刊の予約ページができました。大本営発表がデタラメになった理由を、1組織間の不和対立、2情報の軽視、 3戦局の悪化、4政治と報道の一体化の4点で読み解き、現在のメディア問題にも言及します。 /大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争 》 辻田 真佐憲
https://twitter.com/reichsneet/status/752337020618362881
ネットの拾いもの。
《 ♪ 投票へは もう何度も行きましたね...♪ 》
《 暑いっ!営業車から、降りたくない!(T ^ T) 》