『闇の美術史  カラヴァッジョの水脈』

 昨夜集まりから帰宅すれば、天皇生前退位の意向というニュース。
 バカ暑い午後、三島駅近くの浅間神社境内でボイスキュー(FMみしまかんなみ)の生放送に出演。 給水塔などを十分ほど話す。ディレクターの知人女性が地面の一センチほどの穴を蛇の穴?と訊く。それはねえ、 セミの幼虫が夜抜けだした穴、と教える。地面一帯に穴穴穴。木を見ればそこら中に抜け殻。大きな声を出して 驚く彼女。これが一児の母かい。若いなあ。昨夜の三島文化会館大ホールのフォーラムにも参加したという。 子連れなので声をかけられなかった、と。そうかあ。

 宮下規久朗『闇の美術史  カラヴァッジョの水脈』岩波書店2016年初版を読了。気になった箇所から。

《 カラヴァッジョ様式の特徴はまず、モデルを直接写したかのような迫真性や静物画的な事物の質感描写や 細部描写を備え、理想化を排した自然主義にあった。 》 70頁

《 こうした現実的な光と大気の表現は、一九世紀の印象派を予告し、すでに乗り越えているようだ。 》 81頁

《 三○○年後にマネや印象派画家たちがそこから多くを学んだが、彼らはベラスケスの境地にはとうてい 近づけなかった。 》 84頁

《 ラ・トゥールほど見事に光と闇の象徴性を表現した画家はいなかった。 》 106頁

《 この後、風俗画に転じたフェルメールは、こうしたカラヴァッジェスキの様式から脱却するが、そこでは、 部屋全体に差し込む光は人物だけでなく、空間全体を満たし、物語もドラマ性も排除されて、空間全体がひとつの ドラマになっていく。 》 146-147頁

《 そして、絵画の造形的な自立性を追求したモダニズムの美術では、光と闇の表現は、絵画の重要な構成要素では なくなった。 》 166-167頁

《 日本の絵画は夜を愛しながら、長らく闇の表現とは無縁であり続けたのである。 》 176-177頁

 味戸ケイコさんの絵を愛でながら、夜、闇を描いた絵画ばかりを集めてきたなあ、とあらためて思う。井上安治、 小原古邨、川瀬巴水、高橋松亭らの木版画、荒木哲夫、坂東壮一、深澤幸雄、利渉重雄らの銅版画などなど。
 http://web.thn.jp/kbi/obuje.htm

 ネットの見聞。

《 昔から、弱い者が守られたことなどない。守られるのは、いつも権力者、金持ち、威張ったやつらだ。 黙っている者、泣いている者、何も持たない者、女たち、傷ついた者や子どもたちが、守られたことがあるか。 》  澄田喜広 古本よみた屋
 https://twitter.com/sumida01/status/752903657205534720

《 何度でも書いておきますけれど、緊急事態条項というのは「憲法を停止できる場合についての規定」のことです。 総理大臣は「特に必要があると認めるとき」はいつでも好きなときに緊急事態を宣言して、憲法を停止することが できます。「認める」だけで立憲政治が未来永劫に停止できるのです。 》 内田樹
 https://twitter.com/levinassien/status/753379345054375937

 ネットの拾いもの。

《 トマソンって知ってる人いない?昔は何かに使われてたんだろうけど工事とかの関係で階段とか扉が そのまま残されちゃうやつ。この異世界に繋がってそうな独特なこれが堪らなく好きなんですけど誰か 》 はかじま
 https://twitter.com/itozima/status/753206225588723712

 そうかあ、トマソンもはるか昭和の話題だからなあ。今だにトマソンを探している。これが若い人に受けるんだなあ。