「水の呼吸」

 昨日話題の竹西寛子『水の断章』、「突堤の春」。敗戦の翌年、著者は宮島線沿線にある海に突き出た細長い突堤へ 級友とよく行った。

《 堤に寄せては返す波の音が、音というよりも水の呼吸のように感じられてくる。 》 「突堤の春」120頁

《 時間によっては、土も水も全くない宙に、自分は鼓動としてだけ在るのだと思い込むような状態にもなった。 》  同 120頁

《 人間の生死。物のありなし。すべてはこの自分の鼓動まで整えてくれているような律動の外の現象ではないのだろう。 焼跡から逃れるように度々この突堤に来たいと思うのは、友達との相談や議論のためだけではなくて、水の呼吸にひそむ 宇宙の大法則に、他の何物からも得られない勇気を得ようとしているのかもしれぬ。 》 同 121頁

《 戻ってくる律動は、地球のしんから、いや宇宙のしんからゆっくりと、厳かに伝わってくるように思われた。 》  同 121頁

 白眉ともいえるこのくだりに加藤郁乎(いくや)の俳句を連想。

《   冬の波冬の波止場に来て返す   》

 加藤郁乎『球体感覚』の冒頭句。十代の末この俳句に出合って俳句の魅力に開眼。いろいろな解釈が開陳されてきたが、 竹西寛子のこのくだりが、私を最も頷かせる。水は流れるばかりではない。寄せては返すばかりではない。

 昼前、もっと暑くなる前に自転車でブックオフ長泉店へ。畠中恵『さくら聖・咲く』新潮文庫2016年初版、矢崎存美 『学校のぶたぶた』光文社文庫2015年初版、計216円。
 天気図の台風情報がわかりにくいなあと思っていたら、三個接近しているんだ。あらあら。
 午後、造形作家白砂勝敏氏から新作の木彫椅子を見て欲しいと電話。自宅前で彼の車に同乗、隣町長泉町の倉庫へ。 枯れた桜の樹幹から造形された背の高いスリムな椅子の内側には豹柄のような無数の斑点。舞い上がる炎舞のよう。 これはまた、いい。制作を依頼した飛騨の人はとても喜ぶだろう。他に焼きものの楽器を拝見。長い首の瓶のようなモノ、 球体上部にいくつもの管が伸びているモノなど、ちゃんと音が出るから不思議。その表面に浮き彫りにされた独特の文様。 い仕事をしているわ。
 http://shirasuna-k.com/

 ネットの見聞。

《 展覧会レポ「The Keeper ザ・キーパー」テディベアと3000枚の秘蔵写真。ナチス、同性愛、神智・幾何学、 自然の神秘まで、20世紀の裏歴史とその収集記録@ニューミュージアム  》 アメリカぷるぷるアート観光
 http://www.amepuru.com/entry/2016/08/19/083603

《 表彰台での勇気ある行為が原因で、母国で生涯を通して除け者扱いされ続けたオリンピックの銀メダリスト  》  イミシン
 http://www.imishin.jp/peter-norman/

《 リピーター続出「シン・ゴジラ」そろそろ名台詞について語らせてくれ 》 エキレビ!
 http://www.excite.co.jp/News/reviewmov/20160819/E1471537467919.html

 ネットの拾いもの。

《 関西ゴジラにありそうな展開って補助金が激減して悲観した老文楽師が海に失踪したあと、 文楽の動きをするゴジラが現れるのでは 》 汀こるもの
 https://twitter.com/korumono/status/766625370783162368

《 第二形態で匍匐前進してきても、まだ道幅に余裕がある。
   #名古屋ゴジラにありそうな展開 》 安達裕章
 https://twitter.com/adachi_hiro/status/766611641580396545

《 ネットのシンゴジラ感想見てると、どこでも「恋愛要素を排除したから面白く出来た」って論が すごく当然の理論として語られてるけど、その理屈で行くと僕の人生は最高のエンターテイメント性を 発揮してる事になる 》 ニユリム
 https://twitter.com/niyulym/status/764810174175391745

《 プレイヤーもファンも、高齢化してんなぁ〜(笑)
  ライブハウスも、なんか考えて欲しいよね。
  おくすり手帳を持って来たら、梅こぶ茶 一杯サービスとかね(爆) 》 デーモンまぐれ
 https://twitter.com/Demonmagure/status/766257208015265792

《 「差別と搾取はかっこ悪い」 》