『内田魯庵山脈』其のニ

 民俗学の大家柳田国男には辛辣な批評を向けている。

《 柳田の「田舎者」コンプレックスは複雑で、逆に田舎出身でも出世コースの頂点を極めれば、江戸前とか何とか 言いながら官製国家の末端にも繋がっていない連中より遥かに上だという優越感がちらついている。(中略)こういう 人物に限って、初めからヒエラルキーを受け入れて恭順の意を表しつつ近づいてくる人々には慈愛の眼差しを向けるのである。 柳田が農村を中心として民俗学をつくりあげていくに際して、退けたのは江戸前の街頭のアカデミーの自由人たちであり、 受け入れたのは地方の学校教師を中心とした恭順派だったのである。その結果、今日、農村が衰微し、民俗学者たちが 農民を見捨てて都市に逃げ込んで都市民俗学なるものを拵え上げようとするとき、江戸前の都市民俗学つまり遊興の具 としての学問的感性はとっくに柳田が滅ぼしているから、何から手をつけてよいのかわからなくなっているのである。 》  74-75頁

《 柳田は厳密な民俗誌の方法を打ち立てるために好事家の気ままな好奇心に基づく記述のスタイルを忌避し退けた。
  これは歴史的過去についての記述、つまり発掘物の記述分析を、政治史、風俗史、美術史、有職故実、珍品蒐集の 好古的な諸傾向の中にあって、「もの」そのものの考察の学問としてどう独立させるべきかという問題にかかわってくる。 明治期の政治史は維新の元勲の功績史に片寄る傾向があった。考古学者、民俗学者、随筆家の叙述の中から来るべき考古学の 「かたち」を探り出していかなければならない。 》 109-110頁

 ネットの見聞。

《 僕なんかよりずっと才能があって、でもいつの間にか創作をしなくなってしまったひとがいる。本当に惜しくて 「また始めてくれないかなあ」と思ったりするんだけど、そのひとにはそれなりの事情があるわけで無理は言えない。 でも自分自身はそのひとに向けて書き続けたいとも思うのです。 》 太田忠司
 https://twitter.com/tadashi_ohta/status/777439933032046592

《 江坂遊 選 『30の神品 ショートショート傑作選』扶桑社文庫9/29刊 》
  収録作品
  ヒッチコック「クミン村の賢人」
  和田誠「おさる日記」○
  スレッサー「最後の微笑」○
   阿刀田高「マーメイド」
  マシスン「一年のいのち 」
   半村良「箪笥」◎
  ブラッドベリ「みずうみ」○
   星新一「おーい でてこーい」
  F・ブラウン「後ろで声が」○
   眉村卓「ピーや」
  O・ヘンリ「賢者の贈りもの」
   筒井康隆「駝鳥」◎
  ビアス「アウル・クリーク橋の一事件」
   中原涼「地球嫌い」
  サキ「開いた窓」○
  かんべむさし「水素製造法」
  ボンテンペルリ「便利な治療」○
   都筑道夫「らんの花」○
  ジャック・リッチー「旅は道づれ」○
   赤川次郎「指揮者に恋した乙女」
  アシモフ「不滅の詩人」
   岸田今日子「冬休みに あった人」
  ジェイコブズ「猿の手」◎
   江坂遊「かげ草」
  ストックトン「女か虎か」◎
   城昌幸「ママゴト」○
  ロバート・ブロック「夫を殺してはみたものの」
   山川方夫「待っている女」○
  コリア「ナツメグの味」
   小松左京「牛の首」○  》

 ◎印は読んだ記憶がある。が、再読したくない。○印は収録本を持っているが、読む気がまだしない。 他の選者の本を見ると、同じ作家で違う作品。選者の好みか。この選集はホラーと奇妙な味が多いようだ。

《 すごいなあ(棒)。もんじゅと一緒に終わった方がいいよ、この新聞社も。少なくともパルプ資源の節約にはなる。 /【主張】高速増殖炉 「シンもんじゅ」を目指せ 核燃サイクルは国の生命線だ 》 Kawase Takaya
 https://twitter.com/t_kawase/status/777384427919777792

《 新ことわざ「三人(政官財)寄れば「シンもんじゅ」の知恵」

  30年かかっても全然動かないものでも,未来永劫,関係企業が安定収入を得られるようにすること

  名前に「シン」を加えるだけで,無知な国民は熱狂的に支持するはず。 》 岡口基一
 https://twitter.com/okaguchik/status/777685852277186560

 ネットの拾いもの。

《 半蔵門駅のアナウンスで「シン・ゴジラやに停まります」って何かと思ったが新越谷。 》

《 いつまでデフレから脱却しつつあるなんですかね 》

《 円安の物価高と賃金デフレはアベノフレーションって呼ばれるかも? 》