『蠅男』

 満六十六歳の誕生日を迎えた。ホントかい、だ。こんな歳まで生きるとは考えなかった。未知の領域。だから、 ワクワク、とも言えるが。歳をとればとるだけ未知の世界が開けてくる。いや、すぐに忘れてしまうから、世界は広い、 といつも感じている。いいじゃないかい、世界が狭くてはつまらない。で、ネットの一部で話題の新刊、海野十三『蠅男』 創元推理文庫。本棚の『蠅男』講談社大衆文学館文庫1996年初版には付箋がついている。既読だ。読んだ記憶はある。が、 内容はすっかり忘れている。結末が意外、との書き込みにそそのかされて再読。開巻一頁。

《 しかし世の中というものは広く且つ深くて、かずかずの愕くべきものが、誰にも知られることなく密かに埋没されて いるのである。 》

 こんな文言に早速出合うとは。再読終了。いやあ、これほどに面白いとは。読む時の気分によって読後感は異なるのだろう。 一大活劇。デュ・モーリアレベッカ』と違って『蠅男』は物語が心理を飛ばして軽快、明快に展開する。まさしく娯楽小説。 『レベッカ』より一年早い一九三七年の発表。

 読了して上記を書いていたら電話。なんと、六月九月と川掃除に横浜からいらした女性お二人が、十二日に川掃除をしたい、と。 その日は遠出の予定。では、二人で勝手に掃除します、と。なんというありがたくも愉快なことだろう。雨が止んで晴れてきた。

 ネットの見聞。

《 「ほりだし砂絵」を買ってから「さかしま砂絵・うそつき砂絵」の存在を知って、へええ、そうか、 そんな本が出てたのか、と感心している程度の都筑道夫ファンです。なんでここまで見事にスルーしていたのかね、 と思って出版日を見て少し納得。2011年3月10日。ああ、そうか、そういう事か。 》 猟奇の鉄人
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