「場所とリズム運動」

 晴天に透明な冷ややかな風。秋が深まった印象。と、にわかにかき曇り。肌寒い風。

 中村雄二郎『かたちのオディッセイ』岩波書店1991年初版、「第8章 場所とリズム運動」はまた興奮させる内容。

《 最後に第三に、この大宇宙はどうして音とリズムによって充たされているのだろうか? また、天体はどうして リズミカルな振動を発するのだろうか? 》 211頁

《 その問題について、永い間私は考えあぐんできたが、いろいろな領域での探求の成果から学び、考えていくうちに、 ようやく、宇宙のもっとも基本的な形態あるいは運動が〈フィードバックの働く非線形の系〉に特有な現象であることに 気がつくようになった。 》 211頁

《 ところで、コスモスと無の場所とを結びつける私の論拠は、以上のような、リズム振動と共振によるものだけに 尽きない。もう一つの重要な論拠、あるいは少なくとも有力な傍証になりうるものに、振動する場を媒介とした 量子論と新しい宇宙論との結合がある。 》 214頁

《 だが、物質的実在が場所であるというのは、一体どういうことなのだろうか? その場はなにかによって充たされて いるのだろうか? それとも空虚なのだろうか? 》 215頁

《 空間になにもないように見えるのは、このような量子の激しい創成と消滅がまったく短時間かつ短距離のうちに 行われているからである。 》 216頁

《 そしてこの真空は、あらゆる可能な量子を生み出す振動で充たされているのである。 》 216頁

《 まず第一には、なんといっても、場と粒子とが相異なる実体ではなくて、同一の事物であり、粒子は振動する場の なかで創成と消滅をくりかえすものであることが明らかになったことである。ここに、場とは振動する場であること、 および、粒子に対する場の一次性ということがはっきり示されたわけである。 》 217頁

 宇宙論量子論の入門書を読んでもなんだかよくわからなかった現象が、ここでやっと腑に落ちた。

《 ここに、無の場所あるいは場の空無性とは、決してなにもないのではなく、むしろ、振動に充ち、強度をもった 領界であることがはっきり示されたわけである。 》 218

 くわえて曼荼羅の分析など、じつに興奮させる一章だった。

 ふっと思い浮かんだ言葉。自己表出、自己主張、自己表現、自他表現。

 ネットの見聞。

《 時の流れ(レール・デュ・タン)終(つひ)の一滴馨りたち掌上輕し一壜の虚無

  照屋眞理子 》 林由紀子
 https://twitter.com/PsycheYukiko/status/801229675569639424

《 思考力、創造力、行動力の三位一体。 》 木下斉
 https://twitter.com/shoutengai/status/800964787068801024

 私なら、観察力、構想力、行動力、かな。