デカければいいという思い込みが現代アート界に蔓延している気がする。実物大ガンダムとかはさておき、巨大な 黄色いアヒルとか。それは街並みをも背景として取り込んだパブリックアートと称されている。
http://www.hetgallery.com/rubber-duck-project.html
ならば巨大キティはできないだろうか。それこそシン・ゴジラとは対照的だ。んなおバカなことを夢想した。
昨日の小原古邨の手にして鑑賞できる美術作品とは対極にある、大きければ崇高でスゴイという思い込みが、 岡本太郎から村上隆に至るまで、日本でも蔓延している気がする。メキシコの巨大壁画など、納得できるものもあるが、 たしかに見上げたもんだぜ、と褒めるのか、揶揄するのかわからない感想が、つい口に出る。それは超高層ビルにも言える。 人は、巨大なものにはまず感心する。しかし、ネパール人が富士山を見て低い〜と笑った話があるように、巨大を競えば キリがない。極小を競っても同じこと。器具で計測できる大きさ小ささの自慢較べには関わりたくない。
掌に乗る小型の美術作品でも正当に評価しているのが、何度も紹介してきた椹木野衣・編『日本美術全集 第19巻 戦後〜一九九五 拡張する戦後美術』小学館2015年だ。収録されている中西夏之『コンパクト・オブジェ』1962年は、 高24.0cm 幅15.0cm 奥行16.0cm。沢山遼の解説によると、持ち運び可能な「ポータブル・オブジェ」として考案されたという。
http://search.artmuseums.go.jp/gazou.php?id=53510&edaban=1
時代はこういうコンパクト作品へ向かっている、と感じる。個人住宅もそうなる予感。豪邸は、私から見れば小さなホテル。 これみよがしの巨大建造物は、二十世紀のお荷物遺産あるいは平成の無駄遺産と、二十二世紀からはみなされる予感。話は戻って、 巨大キティ像が建造されたら、参拝客がひっきりなしになるかも。私は何をおいても行くが。しかし、巨大だと、観る角度で 印象が変わる気がする。ただそのままの尺度で巨大にすればいい、というものでもない気がする……気がする気がする…… 何を気にしておるのか、オレは。
こんな駄弁を弄したのも、中村雄二郎『述語的世界と制度』の「第1章 序論」を再読して。主語的表現から述語的表現へ、 を拙いオツムでアーダコーダと考えを巡らしているなかでの副産物。以下の記述が気になる。
《 また、私に言わせれば、デリダの〈脱構築〉の戦略は、言述を〈述語的世界〉の方向に自由に解体することによって、 主語同一性の硬直化から救い出すことにあった、と見なすことができるのである。 》 46頁
言述が幻術のように見えてくる。そしてあらためて視界が開かれる叙述。
《 この述語的同一性による思考は、主語的同一性にもとづく通常の論理によって統一されている現実を問いなおし、惰性的に 統一された総体に亀裂を与え、それをばらばらに分解する力をもっている。ハイデガーの始原の存在を回想するときのことばに しても、デリダが脱構築の方法において駆使していることばの戯れにしても、それらは、このように〈述語的世界〉に解放された 言語表現にほかならないだろう。 》 40頁
叙述的世界の美術には小原古邨の絵の他に、近現代美術ではジャコメッティか。そしてその分水嶺にいたのがポール・セザンヌか。 すなわち、主語的世界表現の桎梏からの脱却に苦悩していた画家。晩年に至って述語的世界表現にやっとたどり着いた。主語的世界と 述語的世界との間で引き裂かれたのは、マーク・ロスコか。ま、これは妄言ということで。
昨日は時間ができたので再びクラーナハ展へ、と意気込んでいたが、一昨日から左足が不調。自宅静養。午後二時間も 昼寝してしまった。夜は九時間睡眠。足は少し回復。やれやれ。家こもり。昼前に届いた『2017 新春版画目録』、神保町の六店舗が 共同で出しているものを舐めるように見る。小原古邨が一点、小原祥邨が五点。欲しくはない。古邨、祥邨の木版画は二百点以上を 現物で見ているが、購入したものは十点あまり。自分が良いと思うものしか要らない。祥邨の木版画は一点。
2007年春に開催した「版画の誘惑展」をたまたま観にいらした中国美術家協会の十八人はえらく感動され、口角泡を飛ばしていた。 そのことが中国の美術雑誌四誌に紹介された。日本人は初紹介。中国で最大発行部数を誇る美術雑誌の記事の翻訳。
《 尊敬すべき人生追及 》 『読者 欣賞』2007年10月号、張得蒂「芸術人生・達人」
http://web.thn.jp/kbi/tyou.htm
そのページには味戸ケイコ、北一明。小原古邨そして高橋松亭の作品が掲載されている。
K美術館のような私設美術館で無料なのだから、中国の公立の美術博物館は無料にすべきという運動が起こって、無料になった、 という中国の記事を後日目にした。北京で蝶々が羽ばたけばニューヨークは嵐になるという複雑系の科学の例え話みたいだと思った。
ネットの見聞。
《 2度目のクラーナハの後、牡丹苑。水盤に散らした寒牡丹。 》 林由紀子
https://twitter.com/PsycheYukiko/status/819408308289187840
わ、いいなあ。
《 「ヤフオクに塚本邦雄が50冊ぐらい出てた!」ので、私に読ませたくて買ってくれたらしい。たまーにしかヤフオク見ない奴は これだから。未読塚本4冊はまあいいけど、積ん読の山を築くのに亭主の手を借りる必要は全く無い。 私に読ませる本を勝手に買うな、と言っておいた。後で「茴香変」見せてやる。 》 林由紀子
https://twitter.com/PsycheYukiko/status/819142226844401664
私にとって塚本邦雄の三冊なら、『塚本邦雄歌集』白玉書房1970年、『夕暮の諧調』人文書院1971年、『悦楽園園丁辞典」』 薔薇十字社1971年かな。番外として『清唱千首』冨山房1983年、塚本邦雄・選『千歌燦然』書肆季節社1984年。
《 【謹告】拙著『日本会議の研究』、この度、平成29年1月6日付東京地裁の仮処分決定により削除を命じられた 三十数文字を墨塗りしたバージョン、出来決定!!!墨塗りのkindle版も好評発売中!ぜひご注文ください!!! 》 菅野完
https://twitter.com/noiehoie/status/819123391953154048
《 うむ。これがホントの「お墨付き」 》
《 去年は海外の投資家が日本の株式を売る一方、日銀が大量に買い入れることで株価が支えられた、 いわゆる『官製相場』だったと言える。 》 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170111/k10010834831000.html
ネットの拾いもの。
《 インスタント・ラーメンで編み物――シンガポール美術家 》 BBC
http://www.bbc.com/japanese/video-38579544
《 すごいものができた。このスピーカーにbluetoothで繋いで好きなサウンドを鳴らすことができる。カラオケ鳥居というそうな。 》 Daisuke Motohashi
https://twitter.com/tenguyasiki/status/819069070070796289
《 病院の待合室でNHKのニュース見てたら「カリビアンコム」って言ってて、私と数人の男性だけが三度見くらいした 》 SHIRAKOちゃん.【非公式】
https://twitter.com/kokoropinpin/status/819021355974725632