『非線形科学』つづき

 蔵本由紀(よしき)『非線形科学』集英社新書2007年2刷、後半も読了。平易に書かれているが、学者の言葉はわかりにくい。

《 分子が互いに独立して運動している気体を考えます。マクロなサイズの気体の目安として一モルの気体を考えてみますと、 それはアボガドロ数すなわち6×10の23乗個の分子を含んでいます。これに中心極限定理を適用しますと、たとえばマクロな 体積中の分子数は一兆分の一程度の相対的ゆらぎしかもたないということになります。 》 「第六章 ゆらぐ自然」 208頁

《 ランダウの見方は、乱流に限らず、地上に見られる複雑な運動に対する伝統的な見方を代表しています。複雑な振る舞いは 多数の規則的な振る舞いの一種の合成にほかならない、という見方です。そこには、「複雑なものも単純な要素に分解できる。 それは単純な要素の合成として理解できる」という根強い見方が潜んでいるように思われます。 》 「第五章 カオスの世界」  165頁

 近現代美術を語っているよう。「エピローグ」へ。

《 このように、主語的不変性と述語的不変性の両軸があり、いずれを欠いても認識は成り立たないわけですが、特にここで 注目したいのは述語的不変性です。 》 247頁

《 さまざまな実体が一つの述語的不変性によって互いにつながること、これはまさに非線形科学がカオスやフラクタルという 概念を通じて、モノ的にはまったく異質なものを急接近させるという構造に酷似しています。とはいえ、これは単なるアナロジー ですから、ほどほどのところで満足しておかなければなりませんが。 》 247頁

 中村雄二郎への嫌味のようにも感じる。

《 非線形科学で見出された現象横断的な不変構造は、単に述語的というよりも比喩、とりわけ隠喩に近い働きをもっているように 思います。隠喩とは、たとえば「玉虫色」とか「氷山の一角」という表現に見られるように、元来何の関係もない異質な二物が突如 結びつくことで新鮮な驚きを誘発する表現方法です。それに似た意外性が、非線形科学における現象横断的な不変構造にはあります。  》 248頁

 非線形科学と複雑系科学は違うのだろうか。

《 どの程度に粗い記述がそれぞれの時点で意味をもつかということについて、非線形科学、複雑系科学の研究者はつねに鋭敏な 感覚と的確な判断を求められます。 》 「第六章 ゆらぐ自然」 233頁

 松岡正剛蔵本由紀非線形科学』集英社新書について論及していた。
 http://1000ya.isis.ne.jp/1225.html

 昼前、本屋で加藤周一『「日本文学史序説」補講』ちくま学芸文庫2016年2刷を受け取る。日本茶のムックが並んでいたので、 帰宅後お茶を淹れる。旨い。
 加藤周一『日本文学史序説』で気づいたことの一つに、文化芸術という分野は、時の政治経済状況に浅くも深くも影響を受け、 それから免れることはありえないということ。畢竟人の精神的生産物だから当然だが、うっかり忘れてしまう。数百年後には、 明治〜平成の時代には油彩画という画法が隆盛したと記述されるだろう。
 午後、静岡ガスの定期点検。三階の台所の業務用ガスコンロ、今はご家庭には販売できないので、丁寧に使ってください、と。 それは知らなかった。いい時に来た、と電気契約を東京電力から静岡ガスに変更。

 ネット、いろいろ。

《 いやはや、これは予想外でした。こんな逃げ口上が閣議で通るなんて。 》 毎日新聞
 http://www.mainichi-kotoba.jp/2017/05/blog-post_13.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter&utm_campaign=mainichi_kotoba

《 ロケで群馬にいったらドリルで破壊されたはずの小渕優子のハードディスクを見つけてしまうTOKIO。 》 urbansea
 https://twitter.com/urbansea/status/863694394465042432

《 私たちは,若い世代に,異次元緩和のリスクや大借金を押しつけて,今だけの好景気を維持させていただきますからっ! 》  岡口基一
 https://twitter.com/okaguchik/status/863660048123174912