「すぐり」

 王紅花さんから個人誌『夏暦』四十五号を恵まれる。なかの一首

  林檎の苗木植ゑて空を仰ぐ 十年待つのかあるいは二十年待つのか

 に堀江敏幸『河岸忘日抄』新潮文庫の一節が浮かぶ。チェーホフの晩年の短篇『すぐり』にふれている。

《 ニコライは十九歳のときから税務監督局につとめていたのだが、退屈な事務仕事に絶えられず、少年時代を過ごした 田舎屋敷にもう一度住んでみたいと夢見るようになった。(略)ニコライの脳裏に描かれた領地には、きまってスグリの木が 出てきたのだという。身を落ち着けるべきお屋敷の庭には、なんとしてもスグリの木がなければならない。 》 127頁

 ついに彼は広大な土地を買い取った。

《 そして、彼の理想郷になくてはならないスグリの木をさっそく二十株ほど取り寄せ、辛抱づよくその成長を待った。 》  128頁

 チェーホフ「すぐり」を『愛蔵版 世界文学全集 25 チェーホフ集英社1974年初版で読んだ。

《 それは買ってきたものではなく、株を植えてからはじめて取れた自分の庭のすぐりでした。ニコライは笑いだすと、しばらく 無言のまま、涙をうかべてすぐりをみつめていましたっけ──感動のあまり何もいえなかったんですね。(略)
  実は固いし、酸っぱかったのですが、プーシキンの言う通り、『われわれを高めてくれる嘘は百の真実よりも尊い』ですからね。  》 訳・原卓也

 『河岸忘日抄』ではこの短編の解釈を巡って二人の男性が異なった見解を交わす。そこが要。

 朝、食パンの買い忘れに気づく。バナナ二本で間に合わせる。
 午後一時近くまで三島にある日本大学国際関係学部の学生たちの、源兵衛川を中心にしたフィールドワークのお手伝い。
 午後一時、画家夫妻が自宅に来訪。談笑の後、カフェ・リトルノへ場所を移して歓談。午後四時過ぎ見送る。すぐに自転車に乗り、 SORA へ。途中しばらく会っていない知人から声をかけられたが、返事だけ。版画の代金を払い、林さんに挨拶。折り返し帰宅。 ご飯を炊く時間がなかったので蕎麦を茹でて夕食。ベジタリアンになった気分。それから食料を買いに。慌ただしい一日だった。 緑茶で一服。ふう。

 ネット、いろいろ。

《 何もかも放りだして、人間としていかがなものかというレベルまでナマケたい……………………すみません、 言ってみただけです。 》 赤城毅/大木毅
 https://twitter.com/akagitsuyoshi/status/865099976858193921

《 金田法務大臣不信任決議案趣旨説明 山尾志桜里自民党の皆さん、政権が間違った方向に進んでいるなら、誤りを修正することも 役割。共謀罪の完成度の低さ、テロ対策としてのリアリティーの欠如、法務大臣の能力の低さを感じている方がいらっしゃるなら、 この議場で自らの意思と良心を示してほしい」 》 市民連合
 https://twitter.com/shiminrengo/status/865067032965808131

《 突然歌を歌いたくなった人のために路上に電話ボックス利用したカラオケボックス作りたい
  ↑こんにちは、JASRACです 》