『趣都の誕生』

 森川嘉一郎趣都の誕生 萌える都市アキハバラ幻冬舎2003年初版を読んだ。一気読みの面白さ。参りました。 先の柄谷行人日本近代文学の起源』が明治・大正の近代文学の「起源」を扱ったのに対し、森川嘉一郎趣都の誕生』は 昭和前期を助走とし、昭和後期〜平成、主に1660年代から2000年代初頭の、秋葉原オタク街の「誕生」までを辿っている。 「起源」と「誕生」。文体といい、じつに興味深い関係だ。
 趣都の誕生。源兵衛川を考えた。源兵衛川の、どうも特異らしい川の様相、特徴がこの本で浮かんできた。想定外の収穫。 源兵衛川をもっともっと違った視点からとらえられるのでは。以下、気になったくだりから。

《 景観や都市ビジョンとしてマクロな貌を喪った〈東京〉は今や、日常の海の中で極私的な波を引き起こす他者のペルソナを 憑代(よりしろ)として、マンガの中で召喚され続けているのである。 》 155頁

《 表面上は国家に接収されたようにみえるこの前衛の撤退は、実は国家や諸制度そのものの権威の失墜を大きな要因としている。 あらゆる権威が失墜すれば、それらの権威のアンチテーゼたる前衛も、その存在基盤を著しく弱められるからである。そして この失墜は、建築のデザインにもっとも壊滅的な打撃を与える。まさにその結果を、「お祭り広場」と「太陽の塔」は体現していた のである。 》 166頁

《 秋葉原は八○年代末期以降、家電需要を郊外の量販店に奪われた。後に秋葉原をオタクの趣都へと変貌させたこの凋落には、 二重の〈未来〉の喪失が絡んでいた。一つは家電製品が、未来的な生活をもたらす「神器」としての光彩を失ったこと、もう一つは 東京という首都自体が、高度成長期の頃のような進歩的な活力を失ったことである。 》 190頁

《 こうした技術観は、ベトナム戦争に反対したヒッピーたちを中心とする、体制に頼らずに自分たちの手で何でも作ろうという 主張を掲げたDIYムーブメントを反映している。国家が天文学的予算を投じてその威信を誇るための中央集権的技術から、 個人のための技術へという変革である。ベトナム戦争の泥沼化にともなうアメリカの失墜がもたらしたこの新しい技術観こそが、 実は現代の情報技術の基盤を成している。 》 219頁

《 かつて栄えた電気街からオタクの趣都へという変化には、〈未来〉の喪失によって中央集権から個人化へと移り、さらには 個人化から非社会化へと向かう技術観の変化が、鋭く映し出されている。 》 229頁

 朝、昨日源兵衛川中流部で見つけてしまったヒメツルソバを抜きに行く。水量が増えて自前の長靴では水没するのでサンダル。 お、冷たい。しばらくする気持ちいい。JR東海主催のさわやかウォーキングで川を下る人が切れ目ない。とあるご婦人から 三島梅花藻の花を見たいけど、と訊かれたのでそばの雷井戸へ案内。石垣の高い所にあるヒメツルソバを抜くために雷井戸の上の 知人宅で脚立を借りる。やれやれ。脚立を返すと呼び止められ、ご夫婦と四方山話。正午帰宅。
 http://walking.jr-central.co.jp/course/detail/876.html

 ネット、いろいろ。

《 「談志は極楽落語は死んだ」なる数年前に作られたという回文が某落語ファンからもたらされた。誰が詠んだものか、 今や古典と言われる「談志が死んだ」に匹敵する傑作ではないか。談志、落語、死、極楽とキーワードがすべて入っていて無駄がない。 弔意も充分だ。しかしどっこい、落語は生きているのだ。 》 立川談四楼
 https://twitter.com/Dgoutokuji/status/868300974871281665

《 制作を媒介に神話的世界へ。 上妻世海インタビュー(前編) 》 美術手帖
 https://bijutsutecho.com/interview/2862/

《 特別リポート:東芝傘下のWH、破たん招いた新型原子炉の誤算 》 ロイター
 http://jp.reuters.com/article/toshiba-accounting-westinghouse-nuclear-idJPKBN188059?pageNumber=1

《 前川喜平はウソつきか? インタビューで答えた“総理と加計の関係” 》 AERAdot.
 https://dot.asahi.com/aera/2017052600095.html?page=1

《 前川前事務次官の記者会見について、某全国紙からコメントを求められたのに、記者が原稿を出した後「上から」 掲載見送りにされた件。本日朝刊に載るはずだった私のコメントを読んでいただけると幸いです。 》 寺脇研
 https://twitter.com/ken_terawaki/status/868302744557191168
 https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=874471639358037&id=100003856271097

《 原則を言えば、公文書は官僚や役所のものではなく、ましてや政権を担う政党や議員のものでもありません。 それは国民のものなのです。簡単に廃棄したり、隠したりすることはできないはずです。「公」というと「お上(かみ)」 というイメージが払拭されませんが、それは「われわれ」だということです。 》 住友陽文
 https://twitter.com/akisumitomo/status/845847355895169024

《 なぜ必要がないの?と聞くと「必要がないから」と答える。
  なぜ問題がないの?と聞くと「問題がないから」と答える。
  なぜ資料が確認できないの?と聞くと「確認できないから」って答える。

  おバカなコダマですか。
  いいえ。自民党です。 》 Hyo Yoshikawa
 https://twitter.com/HyoYoshikawa/status/868309412598890503

《 バクシン(爆心)の友──原爆ドーム前で知り合ったとか。 》

《 アベは本当日本語不自由なんだな。ひらがなにもフリガナが必要だな 》