「死ぬまでにこの目で見たい西洋絵画100」

 雑誌『BRUTUS』6月15日号を買う。特集「人気作家・山口晃の死ぬまでにこの目で見たい西洋絵画100」を読んだ。 オランジュリー美術館で開催の「ブリヂストン美術館の名品展を見終わって。 」山口晃から。

《 会場の西洋絵画と比べてみますと、洋画のほうが形態感が弱く見えまして、これは青木(繁)の絵でもやっぱり足りなく見えました。
  これは日本で画学生をやると必ず言われる事で、絵の具のつきの悪さ、ひいては形態感の弱い事をよく聞きました。本場と比べて 何処そこが違うからダメなのだと云う言い方は、美術のみならず文学や演劇でも言われた事のようです。学ぶ者の態度としては真摯な ようにも見えますが、要はあちらの評価軸に合わせようとしているだけで、真に自分達の作品を評価できる軸を打ち立てようと云う 知恵も気概も無いだけの事かもしれません。 》 62頁

《 西洋絵画のコレクションも立派なもので、里帰りした作品達をパリの人々が熱心に見ていました。
  私としてはセザンヌが素晴らしくよくて、絵の前で鼻息を荒くしておりました。 》 62頁

 全く同感。ブリヂストン美術館の西洋絵画は充実している。そのセザンヌの絵は凄いと直観するが、未だに言葉にならない。 新装開館が待ち遠しい。
 山口晃が選出した絵、「抽象」の81頁の三点、89番フランティセック・クプカ「宇宙の春 I 」、90番アンリ・マティス「かたつむり」、 91番パウル・クレー「鳥」に目が止まった。彼の寸評。

《 寡聞にして学生の頃はクプカを知らず日本でのクプカ展は見逃してしまいました。この絵は作者が消えて絵が絵を生み出す様な生成原理が 顕著です。それが作者の生理を通して行われる訳ですから全く消えてしまう訳ではないのですが、我が消えて境地だけ残るという事でしょうか。 良い作品にはどれも其(そ)う云う所があります。 》
  http://uchuronjo.com/cosmo/fig_cosmo/kupka_printemps_cosmique_1913_14.html

 1982年日本橋高島屋で開催された「プラハ国立美術館秘蔵名画展・II 」図録を取り出す。グスタフ・クリムト「ユディット」、 アルフォンス・ミュシャ「百合の中のマドンナ」ほか印象深い絵が並んでいたが、心に最も深く印象づけられたのが、クプカの油彩画 「ピアノの鍵盤─湖」1909年だった。つづく「創造」1911-20年は、上記「宇宙の春 I 」1913-14年に近い。
 この図録にはチェコスロバキア版画も掲載。エミル・オルリクの木版画「娘と柳」1900-1901、ヴォイチェフ・プライシグのエッチング 「青い鳥」等に、竹久夢二への影響を感じる。十九世紀末のユーゲント・シュティールの画家ハインリッヒ・フォーゲラーの銅版画は、 言うまでもない。彼らから竹久夢二は影響を受けただろうと、私は推測している。

 昼前、ギャラリー・カサブランカを再訪。牧村慶子さんから届いた絵葉書を見せる。つい先日絵を依頼されて某出版社へ送った、と。 嬉しい。

 ネット、いろいろ。

《 鍵があれば。 》 林由紀子
 https://twitter.com/PsycheYukiko/status/871019965570203648/photo/1

 購入した林由紀子さんの銅版画。先月26日の日録「ギミックの鍵穴」。
 http://d.hatena.ne.jp/k-bijutukan/20170526

《 「美術館及び博物館」の廃止について 》 大阪市
 http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000399116.html

《 公益の「公」には、いまだ存在しない人々(後代)も含まれているが、私益には、せいぜい百年しか生きられない現代人の、 現代的欲望しか反映されていない。 》 中島 智
 https://twitter.com/nakashima001/status/870887848706138112

《 中電が隠し続けてきた真実。浜岡原発活断層の巣の上にあった。我々が暴いた全貌がここに。原子力規制委員会への申入書全文です。 是非ご覧ください。http://www.lighthouse-lo.com/news00013.html 》 青山 まさゆき
 https://twitter.com/my_fc1/status/870840206638829568

《 ベネズエラから日本が今学べることがあるとすれば、嫌いな権力者をレッテル貼りで罵倒することや揚げ足取りばかりで、事実の検証や、 現政権支持者を取り込む努力をしないと、権力の暴走を止められないどころか、本当に痛い目にあうということだと思う。 》  Kanako Noda
 https://twitter.com/nodako/status/870822902291206144

《 『うんことちんこの哲学』という強力なタイトルを思いついた。これは中身は真面目でラディカルな話を書けるな。 》   千葉雅也 『勉強の哲学』発売中
 https://twitter.com/masayachiba/status/870976201031991297

《 ジーンズにほころびを見つけた。若者ならダメージドジーンズもかっこいいが、僕の年齢ではただのボロだ。 》 太田忠司
 https://twitter.com/tadashi_ohta/status/871210734113271808

《 黒船のペリーのことを、なぜペリー艦長ではなくペリー提督と呼ぶのかなあと思って考えてたが、そうか、 ペリー艦長だとペリカン鳥になってしまうからなのだ。 》 いかふえ
 https://twitter.com/ikafue/status/871206847323054081

《 結婚当時、嫁が作る味噌汁が味噌の味しかしないから結婚当時、嫁が作る味噌汁が味噌の味しかしないから ジャンクフードの食い過ぎで味覚おかしくなったと思ったけど、ダシ取ってなかっただけだった 》

《 ミイラ少年コナン 》