『トゥオネラ』

 松平修文歌集『トゥオネラ』ながらみ書房2017年6月23日初版を恵まれる。栞には福島泰樹、伊藤一彦、穂村弘ら 名の知れた歌人に交ざって私の拙文。

《   「異化なる万華鏡」  越沼正

    本を手にするとき、私がまず注目するのは装幀である。
   装幀は本の内容を端的に表していると考える。松平修文さんの
   歌集『トゥオネラ』には深沢幸雄さんの一九六一年の銅版画
   『笑いの底』が使われている。私は一入ならぬ感慨を覚えた。
   深沢さんから元日に届いた年賀状にはこう記されていた。

     永らくお世話になりました
     以降の年賀状はご遠慮させていただきます
     ありがとうございました

   あくる正月二日に深沢さんは逝去された。享年九十二歳。
   一九五○年代後半の深沢幸雄さんの銅版画は、背後の無意識に
  向かって行なう深い自己集中の果てに頭脳の奥底からわいてくる
  不思議な幻像を描出、定着させている。その「悪戦苦闘」の創作行為は、
  一九六二年に突破・転回を迎えたが、その分水嶺に位置する作品群の
  ひとつがこの『笑いの底』である。その作品群には一九六一年の『底』
  『久遠の歌』、一九六二年の『内在する磁極』『生』があるが、それらは
  題名も作品も、松平修文さんの『トゥオネラ』に半世紀を超えて照応
  しているように私には思える。また『笑いの底』から私は、ダンテ『神曲
  「地獄篇」の地獄の底を連想した。なお深沢さんには連作銅版画
  『地獄篇』一九五六〜一九五七年がある。『トゥオネラ』では笑いの底を
  踏み抜いた作品が私の目にとまる。

    向日葵は丈夫な茎で天辺の焦げた頭を支へ、
     乾涸びた葉つぱをぶら下げて立つ        (不在)

    形見としてあなたにぼろぼろの燕尾服を、あなたに底の抜けた
     水甕を、あなたに褪色したドライ・フラワーの緋薔薇を  
                         (夏うた─真昼の怪)

   黒い笑い─ブラックユーモアと解する向きもあろう、が、私にはそこから
  逸脱する、笑いの底が抜けたその先を直感する。しかしその先になにが
  あるのか。あるいはないのか。

   処女歌集『水村』は、エキセントリックな幻視と幻想が不穏の予兆を
  感じさせ、危険なまでに甘美な毒を有していたが、『トゥオネラ』では
  現実の底を抜き、深い裂け目を見せている。それは『水村』『原始の響き』
  『夢死』『蓬』の此岸から、『トゥオネラ』の彼岸の際へ、という立ち位置の
  移動に表れているように感じられる。よって情景光景はガラリと異なる。
  とはいっても、『水村』からの遠いこだまのような歌も当然見られる。

    水底に沈みし道がみえてをり 墓場へつづくそのくらき道  (星の厠)

    黒き桜花充ち充ちる夜の公園で少女らは老婆らとすれちがふ 
                               (夢のあとで)

   そして『トゥオネラ』の特徴を示す歌はこれだろうと私は思う。

    僕が視てゐるものをあなたも視てゐるのだが、
     しかし同じものを視てゐるのではない    (夏うた─真昼の怪)

   なにげない歌だがここには深い断念と異化がさりげなく表現されている。
  なにげなく直截であるゆえに一際心に沁み入る。『トゥオネラ』は多様な
  読み方が可能なゆえ、読者をさりげなく惹き込む「異化なる万華鏡」
  の歌集といえよう。 》

 装幀を話題にしたのは、私一人だった。

 処女歌集『水村』に解説を書いた歌人福島泰樹は栞に書いている。

《   窓外は暮れ、青炎のごと燃ゆる薔薇
     幾つ風に揺れてくづれて
      (略)
  とまれ、第五歌集『トゥオネラ』四百八十五首を前に、
  「窓外は暮れ、」の一首が燃えながら立つ。 》

 手紙、葉書を投函。松平修文氏、上條陽子さんら。
 http://tagawa-art.jp/exhibition/29year/20170629-01.html

 掃除しているところへ電話。リサイクルショップが出張買い取りをするという。処分したいものはありますか?と訊くので、 処分したいのはバアサンと応える。

 ネット、いろいろ。

《 なにはともあれ、いつでも順応性のある素人のように、映画の全体の性格を理解し、そのなかに素直な気持で入ってゆくこと以上に 大切なことはない。そして自分が感動することと、他人を感動させることとは、はっきり別のものであることを理解することも必要である。  》 高峰秀子
 https://twitter.com/HidekoTakamine/status/872756487981940736

《 小坂流加(こさか・るか)
  7月4日生まれ。静岡県三島市出身。第3回講談社ティーンズハート大賞で期待賞を受賞。本作の編集が終わった直後、病状が悪化。 刊行を待つことなく、2017年2月逝去。 》 ダ・ヴィンチ ニュース
 https://ddnavi.com/news/376031/a/

 主人公の名は茉莉(まつり)。なんと意味深な…高橋まつり。

《 東海村臨界事故 》 NHKテレビ2001年放送
 https://www.youtube.com/watch?v=gnRRWwbYPSI

《 2006年12月22日、安倍晋三内閣総理大臣は「原発の全電源喪失はあり得ない」と言った。その1540日後に東日本大震災が起きた。 福島第一原発の事故は国のトップによる人災。
  人災にしては被害がとてつもなく大きい。 》 umekichi
 https://twitter.com/umekichkun/status/872664385709252608

《 人間はミスをする、ずさんにもなる。完璧なんてありえない。だから、完璧じゃないと扱えないような危険なものを扱ってはいけないんだ。 プルトニウムとか。原発があることが間違い。 》 寮美千子
 https://twitter.com/ryomichico/status/872855481252847616

《 義家弘介・文科副大臣「私が確認していないものは行政文書じゃない」 加計問題めぐる再調査拒否 》 HUFFPOST
 http://www.huffingtonpost.jp/2017/06/06/yoshiie_n_16978410.html

《 森ゆうこ議員「藤原審議官、あなたが内閣府今治市の職員と会ったんでしょ?会ったのか会わなかったのか、 YESかNOでお答えください!」
  藤原審議官「私が会わなかったかどうかも含めて確認できません」www 》 poo
 https://twitter.com/pookumapoo/status/872692719801344000

《 「官邸の最高レベル」ってのは、
  「日本の最低レベル」の人たちだったようだ。 》 清水 潔
 https://twitter.com/NOSUKE0607/status/872841477570707456

《 巨人が13連敗したのは確認できないと閣議決定 》

《 <閣議決定菅義偉官房長官は、東京新聞 望月衣塑子に虐められてはいない。 》