『灰色の眼の女』

 神西清『灰色の眼の女』中公文庫1976年初版、表題作と「雪の宿り」を読んだ。ふと手にした安原顕・編『ジャンル別 文庫本ベスト1000』学研M文庫2000年初版を 開いて最初の堀江敏幸・編「現代小説(日本篇)ベスト50」を見ると、49番に神西清『灰色の眼の女』中公文庫。

《 「灰色の眼の女」は、灰碧色の眼を持つイリリヤその人よりも、埴生十吉が勤務する商務官に集う人物の寸描にきらめきを見出すべき散文だ。 》

 商務館の誤植だろう。昭和初期、東京白金のバルカンのJ国商務館の事務員に就職した埴生十吉が目にする人間模様。三島由紀夫の解説から。

《 あまりにチェホフ的な、スラヴの憂鬱にみちた変人たちのデッサンと、「未来」のモティーフのくりかえしにすぎぬようなものになった。 》

 同感。続く二部、三部(未完)を読む気が失せた。それは措いて。クロアチアが出てくるから、セルブ語とはセルビア語のことだろう。昨日リンクした歌手 Sladja Allegroはセルビア人。また、小沼丹(おぬま・たん)『黒いハンカチ』創元推理文庫を連想。
 三島由紀夫が”氏の最高傑作ではないかと思われるもので”と絶賛の「雪の宿り」を読んだ。応仁の乱で京都が炎上する様を一人称で生々しく描写している。 引き締まった文章で一気に読ませる。若い時だったら、「灰色の眼の女」も「雪の宿り」も途中で投げ出していたかも。今だから楽しめる小説だ。

 雨なので昨日の続きの草刈り作業は延期。久しぶりの筋肉痛。体カタカタ。

 ネット、いろいろ。

《 GOOD DESIGN|グッドデザイン賞  受賞対象名小冊子 [日本国憲法] 》
 http://www.g-mark.org/award/describe/44769

《 今回の「国宝」展には土器・土偶が四件出展されますが、これらの国宝指定はいずれも90年代以降。実は縄文の土器・土偶類は長い間、考古遺物以上のものと 考えられていなかったのです。 》 山下裕二(京博「国宝」展セミナー)
 http://souda-kyoto.jp/blog/00236.html

《 ところがこの“縄文”にいち早く反応した人がいました。それが岡本太郎です。旧来「日本の美」といえば「縄文的」ではなくて、むしろ「弥生的」なものとされ、 お茶の文化や禅に代表されるような「侘び寂び」的なものこそ、日本の美意識の根幹だと思われていました。 》 山下裕二(京博「国宝」展セミナー)
 http://souda-kyoto.jp/blog/00236.html

 昨日書いたが、陶芸では”それから四百年余。美意識は固着したままのように見えるが。”

《 僕は学生時代、戸田禎佑さんという中国美術の先生に、穴が空くほど中国絵画を見せられました。 》 山下裕二(京博「国宝」展セミナー)
 http://souda-kyoto.jp/blog/171011_1.html

 東京大学東洋文化研究所教授戸田禎佑は、北一明の陶芸作品を高く評価している。北一明への言及の一節。

《 作者の意図を忠実に表出するために、偶然の効果は極限まで排除されねばならない。このことは芸術の一回性を否定するものではなく、貴重な一回を統御する 能力をいうのである。氏の”耀変”は厳しい訓練のすえに、難技を軽々と踊りこなす舞踏家の自信に満ちた微笑にもたとえられよう。 》 「魂と技術の統合」

《 静嘉堂文庫所蔵の《曜変天目茶碗》は高台周りにトロっと溜まった釉薬の、「トンカツソース」みたいな感じが好き。 》 山下裕二 (京博「国宝」展セミナー)
 http://souda-kyoto.jp/blog/171011_1.html

 11日にとりあげた「釉溜まり」。北一明の「乳頭」。

《 もうひとつ、多宝塔には朱が塗られており──これは実物を見ないとわからないんだけど──ちょうど絵のど真ん中、絵を折りたたんだら線対称の 位置になるあたりに、ぽつんと朱が付いている。これは多宝塔に塗った朱が乾く前に、雪舟自身が乱暴に絵を折り畳んだため、色が移ったのだと考えられます。 》  山下裕二(京博「国宝」展セミナー)
 http://souda-kyoto.jp/blog/171013_1.html

《 昨日観た愛知県立美術館の芦雪展、個人的には緻密な絹本着彩より、断然墨絵の方に軍配が上がった。筆遣いや構図が驚くほど自由で解放感がある。 見ていて気持ちがいいのは、筆の動きや圧力の強弱がパフォーマティヴに伝わってくるから。アクションペインティングみたいなのもあった。やっぱり書に近い。 》  大野左紀子
 https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/918997944497446912

《 重要なのは、結果を残すことです。結果がでれば、評価は後からついています。特に評価は、大抵の場合、地域内ではなく地域の外から高まります。 外が評価する事実をもとにして地域内での評価も高まるという構造です。この順番を常に意識しなくてはなりません。 》 木下斉
 http://toyokeizai.net/articles/-/82553?page=5

《 セックスについて書く動機その3.日本型組織はリーダーシップに秀でた人より禁欲的な人をトップに選びたがります。すると、 その禁欲的指導者により近いと思いたい人が禁欲性において劣る人を生贄にして自己PRします。こうして「忖度」の滝が出来上がり、 性の抑圧から政治の抑圧が生まれるのです。 》 鹿島茂
 https://twitter.com/_kashimashigeru/status/918469144827150338

《  娘「お母さん寝る前のお話して」
  母「『こぶとりじいさん』」
  娘「教科書風に」
  母「『耳下腺部腫瘤の診断』」
  娘「学会発表風に」
  母「『耳下腺に生じた多形腺腫の一例』」
  娘「それがいい」
  母「63才 男性。左耳下部に約35mmの可動性良好で弾性硬な無痛性の腫瘤を認め
  娘「zzz」 》 ルンペルシュティルツヒェン
 https://twitter.com/minamina19951/status/918631801110720512

《 イエス「水をワインに変えられます」
  税務署「こんにちは。税務署です」 》 スドー
 https://twitter.com/stdaux/status/918041559295070208

《 すべての政党は経済政策を自民党と同じにしたらどうだろう 》