読みたい本

 丸谷才一鹿島茂三浦雅士『文学全集を立ちあげる』文春文庫2010年初版から。

《  丸谷  僕はヨーロッパの音楽家だって、トランプすると思うよ。でも、彼らにはヨーロッパ的社会が背後にあるわけだよ。こっちはないんだもの。だから、 やっぱりヨーロッパ文化を勉強するしかないわけですよ。
  鹿島  彼らの教養を何が支えるかというと、社交界とかサロンでしょう。だからヨーロッパでは、音楽家だって、かなりの程度、文学がわからなきゃいけない んですよ。ところがいまの日本の小説を書きたいという連中はひどくて、無知であることを少しも恥ずかしいと思っていない。信じているのは自分の感性だけ なんですよ。だからこそ、今、こういうものを知らないと恥ずかしいよ、という文学全集を作りたい、作らなきゃいけない。
  三浦  その話の延長上で考えてみると、昔と違って、今の日本では音楽家、小説家だけじゃなくて、政治家にしても、官僚にしても、教養というものが 必要とされていないんだね。 》 90頁

 この本でデーブリーンベルリン・アレクサンダー広場』を知り、本を購入して読んだ。アレッサンドロ・マンゾーニ『いいなづけ』も知り、古本を購入。これは 未読。『賢い血』ちくま文庫フラナリー・オコナーもこれで知った。先だって購入した『シュルツ全小説』平凡社ライブラリーブルーノ・シュルツも。わあ、 読みたい本が目白押し。愉しい。

 朝、ネットを何気なく巡っていて、ビックリ、覚醒。

《 『震美術論』- 静岡県、三島にあった知る人ぞ知るK美術館の館長さん。新刊が出るたび丁寧なお便りが届く。僕はK美術館で初めて 味戸ケイコの原画の凄さを知った。『震美術論』についても4回に分けてブログで書いて下さった。ありがとうございます。 》 椹木 野衣
 https://twitter.com/noieu/status/919016508797284352

 以前にも固定ツイートしてくださったもの。驚く〜嬉しい〜励まされる〜元気になる。ありがたい。
 昼の用事がキャンセルになり、午後の用事がドタキャンになって、さて本でも読もうかと思ったところに、絵を描いている年配の女性が予告なく来訪。先だっての 沼津市美術展に出品した絵の感想を求められる。率直に話す。そうなんですと相槌を打たれる。味戸ケイコさんの小さい絵、上條陽子さんの画集と線描画を出して、 描くことのあり方を語る。喜ばれる。『震美術論』、三島市立図書館で購入してくれると言う。「買ってあればいつでも読めますね」と。そうですよ。

 ネット、いろいろ。

《 日本列島では、その水気から廃墟が十分に乾燥せず、従って「廃墟」になれない。そのかわり、湿気を帯びた「風流」を受け入れ、内と外を無化し、 廃墟ではなく吹きさらしの「廃屋」となる。しかし廃屋は「風景」ではない。だから絵にはならない。それはむしろ言の葉であらわとなる。 車中メモ・震美術論 》  椹木 野衣
 https://twitter.com/noieu/status/929122076945817600

《 月報は『ドグラ・マグラ』仏訳者のパトリック・オノレ氏と、『少女地獄』スペイン語訳者のダニエル・アギラル氏。夢野久作のグローバルな受容の可能性を 垣間見る。仏訳『ドグラ・マグラ』(2003)は初版3500部、ペイパー版をあわせて1万部に達しているという。 》 藤原編集室
 https://twitter.com/fujiwara_ed/status/928897489670770688

《 オノレ氏の寄稿には、『ドグラ・マグラ』仏訳の読者は、従来の日本文学の三種の神器であった川端、三島、谷崎との対比ではなく、『サラゴサ手稿』や 『ヴァテック』と同じ土俵で読んでいる、という嬉しいくだりも。 》 藤原編集室
 https://twitter.com/fujiwara_ed/status/928903621353259008

 『サラゴサ手稿』も『ヴァテック』も本棚にあるが、未読。この『夢野久作全集』国書刊行会は、一冊一万円ほど。復刻版『ドグラマグラ沖積舎1988年は6800円。 現代教養文庫1976年初版だと560円。ブックオフなら角川文庫で200円。ま、好みだなあ。私は1969年初版の三一書房版の新刊で当時読んだ。これは980円。

《 『湖中の女』は『水底の女』へ。村上春樹訳チャンドラー完結。 》 藤原編集室
 https://twitter.com/fujiwara_ed/status/929175128155418624

 島尾敏雄監修『イメージの文学誌 水底の女』北宋社1978年初版を取り出す。アンソロジーはいいなあ。

《 活字がパブリックなもの、手書きはプライベートなものというイメージを持っていたのは、自分の世代(1960年前後の生まれ)までかもしれない。 今、活字はカジュアルなもので、手書きに方にスペシャル感が生まれている。ごくたまに手書きの手紙など貰うと、ものすごく嬉しい。 》 大野左紀子
 https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/929134412855259136

 印刷機(プリンター)を所持していないので、葉書も手紙も手書き。それが笑うしかない下手な字で……恥をしのんで書いている。

《 流行語大賞、近年は完全にずれていると思うけど、いっそのこと「プレミアム・フライデー」を受賞させて賞自体を終わらせてもいいんじゃないか? 》  山下ゆ
 https://twitter.com/yamashitayu/status/928602630946938882