『実在への殺到』再び・二

 清水高志『実在への殺到』水声社2017年初版を読み進める。昨日は加熱気味だったので、きょうはゆっくり。

《 全体と部分は、このとき対立的なものと見做されているが、一方では持続=全体があるからこそ、諸部分も生み出されてくる。ベルクソンの例でいえば、 諸部分どうしは有名な逆円錐の各断面ごとに、縮約の度合いを変えつつ並存しあっており、それらを分化させるダイナミズムはあくまでも持続=全体によって 導かれるのだ。全体と部分は、相互に違反するものとしてあり、背反するものであるあからこそ、お互いが成りたち、生成してゆく。ホーリズムはこうした二極の 差異をあくまで重視する立場である。 》 「第6章 非・ホーリズム的転回」 133頁

《 『差異と反復』におけるドゥルーズもまた、ベルクソンの強い影響下にあって、アラン・バディウもつとに指摘しているように、この種のホーリズムの影響を 強く帯びている。 》 「第6章 非・ホーリズム的転回」 134頁

 昨日書いた”千葉雅也『動きすぎてはいけない』を読んでいて、なぜか『実在への殺到』が気になった。”は、このことか。

《 極端な対立物の一致、たとえば《一=全体》という形でもっとも背反的なものを一致させる思考は、むろん典型的なホーリズムであるが、個体的な現働性を ただ互いに分化していく断片的なものとして捉えることも、またホーリズムの特徴である。個体的で部分的な通常のものどうしが、そのまま相互しあう状況を 考えることが、むしろ非・ホーリズム的なのであり、後に詳論するようにそこにおいてこそ断裂の問題も露呈するのである。 》  「第6章 非・ホーリズム的転回」 註(9)251頁

《 全体と部分の関係を、前者への後者の包含関係において捉える欧米的、かつメレオロジー的な全体/部分に対し、ストラザーンはメログラフィック ( Merographic )な関係を考察することが重要であると述べている。 》 「第6章 非・ホーリズム的転回」 134頁

《 メレオロジー( Mereology )とは、全体に抱合される部分、および部分相互の関係を形式論理的に考える学問のこと。一方、ここでストラザーンが メレオグラフィー( Meleography )と呼んでいるのは、部分と全体の相互包摂の状況を指している。 》 「第6章 非・ホーリズム的転回」 註(10)251頁

《 民族誌の研究には、その対象の《どちらをどちらの部分として見るか》というパースペクティヴの、相互的な切り替えが重要だというのだ。そしてこの 切り替えが行われるとき、ある部分と他の部分はそれぞれに相互包摂的になるのである。 》 「第6章 非・ホーリズム的転回」 135頁

《 今日の哲学が自覚しつつあるのは、主客関係、一対多関係といった対立する二項は、従来の相関主義的な思考においては、不可逆的、かつホーリズム的な プロセスのうちにおいて捉えられるのみであり、そこでは客体、主体、また一なるもの、多なるものは、それ自体端的なものとして捉えられていなかったということ である。 》 「第6章 非・ホーリズム的転回」 150頁

《 デューリングによれば、芸術作品はなによりも一つの《プロトタイプ》を示すものでなければならない。(中略)このように、解釈に先んじてまずオブジェクト として完結して成立するのが、芸術作品でなければならないと彼は主張するのだ。 》 「第6章 非・ホーリズム的転回」 150頁

 続く論述は美術・芸術を考究するうえでじつに示唆に富み、大いに励まされる。私の読解はあるいは誤読、勘違いかもしれないが、例えば白砂勝敏さんのいくつかの 作品から直感される美術・芸術の未来への予感を、それは予兆だと私を身震いさせる。
 http://shirasuna-k.com/

 早春、源兵衛川大好きな横浜の女性から恵まれたネック・ウォーマー(首周りを温める輪)を昨日から初使用。これがじつに効く。いいわあ。
 今朝、友だちから「大きめの帆布の重いトートバッグを使う?」と電話。「いただいます!」と即答。傷んだバッグの替えを探しているが、見つからなかった。 ありがたい。しばらくして受け取る。
 寒々しい雨の朝。音楽をかける。昨日とりあげた『 Transition 』ではない。何度も紹介しているCD『 UMALALI 』。昼前には晴れてくる。三嶋大社近くの 食のイヴェントを見て回る。食欲をそそるものはないなあ。腹が空いていないせいか。知り合いの店で地物のホウレンソウを購入。
 午後、集まりの後、いただいたトートバッグを持って買い物へ。日が沈むのが早い。

 ネット、いろいろ。

《 代官山蔦屋書店では12・15(金)19時よりクラフト・エヴィング商會のイベントを開催。トークのみの券は1000円、当店で11・21発売の吉田篤弘さん 『金曜日の本』付きでサイン会も参加の券は2500円。ご予約は03−3770−2525(代表番号)へどうぞ! 》 代官山 蔦屋書店
 https://twitter.com/DT_humanity/status/931651514497511424

《  【EVENT】開催決定!!!

  《EVENINGS #後美術から震美術へ、そしてこれからの話を。》

  出演 : 椹木野衣(美術批評) × 岩渕貞哉(『美術手帖』編集長)
  日時 : 12月15日[金] 20:00−21:30 (開場 19:45)

  詳細・ご予約はこちら
  http://www.nadiff.com/?p=8027 》 NADiff
 https://twitter.com/NADiff_apart/status/932965244799815681

 重なっている。困った(……行けないけど)。

《 繰り返すが、まるでシュルレアリスム宣言の原型を読んでいるようである。ノーデの思想は新しい、あまりにも斬新にして奇矯な思想である。 伊藤敬さんが「図書館創設のための提言」を選んだ理由がなんとなく理解できる。 》 伊藤敬さんの翻訳 | 一考
 http://www.despera.com/bbs2/2017/11/post_2298.html

《  米国による北朝鮮へのテロ支援国家再指定をめぐる反応

  ・日本:歓迎「安倍外交の成果だ」(外務省幹部)
  ・韓国:平和解決に期待(韓国外交省)
  ・中国:不支持「対話に逆行」(中国外務省・陸慷報道局長)
  ・ロシア:「ばかげた決定」(モロゾフ下院外交委員会委員)

  日本政府の態度が突出。 》 かまやん
 https://twitter.com/kama_yam/status/933229424035577857