『現代思想の断層』ニ

 徳永恂(まこと)『現代思想の断層──「神なき時代」の模索』岩波新書2009年初版を少し読んだ。

《 その場合、何よりも「無神論」というコンセプションが無規定に使われているのが問題だし、さらに「有神論」と「無神論」、「一神教」と「多神教」 (もしくは偶像崇拝)とを二項対立的に設定して、一方の否定を直ちにその反対項へ帰属させる手続きは、論理的暴力と言わないまでも短絡であり単純に過ぎる。 そこでは、一方の否定が反対項に移行する心理的プロセスが無視されている。 》 「フロイトと『偶像禁止』」 74頁

《 半ば無意識のうちで語られる神経症患者の、連想とともに流れてゆくとりとめのないモノローグのうちに、隠された抑圧と抵抗、トラウマの痕跡を 聞き落とすまいとする分析者の研ぎすまされた集中力をもって、彼は作品そのものの無意識の根を探り出そうとする。そして最終的にフロイトが突きとめたのは、 怒りが爆発する「嵐の前の静けさ」の瞬間ではなく、怒りの爆発を抑止した後の「嵐の後の静けさ」、跳びかかる寸前に自制された瞬間こそ、ミケランジェロの モーゼ像の作品が表しているものだということだった。 》 「フロイトと『偶像禁止』」 86頁

 昨夜風呂上がりに山口雅也・編著『奇想天外 21世紀版 アンソロジー』南雲堂2017年初版を何気なく手に取りパラパラと開いた。巻末近く、北村薫・撰 「ミステリ宮中歌会始の儀」に目が留まった。

《   そこで山口(雅也)氏が、ミステリ短歌の召喚にかかったのも頷ける。その心ある歌は数知れない。戦前、前川佐美雄(さみお)の『植物祭』からは、
  ■床の間に祭られてあるわが首をうつつならねば泣いて見てゐし
   現代の松平修文、『原子の響き』からは、
  ■床下に水たくはへて鰐を飼ふ少女の相手夜ごと異なる
   これは、ほんの一例。 》 503頁下段

 23日に亡くなった松平氏への追悼のよう。なぜ昨日、衝動買いしたのか、これが呼んでいたのか。 しかしなあ、『原始の響き』だよお。

 ネット、いろいろ。

《 北朝鮮のミサイルって、やっぱり胴体にスローガンが書いてあるのかなあと、ふと思う。 》 赤城毅
 https://twitter.com/akagitsuyoshi/status/935878124989947904

《  データ改竄:三菱マテリアル東レ旭化成神鋼三菱自動車、タカタ
  粉飾決算東芝オリンパス
  他にもあったかも知れないけど、別の意味で「日本すごい!」 》 ROY
 https://twitter.com/royhoshino/status/935795342334816266

《  テレ東に任せようぜ

  もんじゅのナトリウム全部抜いてみた 》