『擬( MODOKI )』ニ

 松岡正剛『擬( MODOKI )』春秋社2017年初版を読み進める。

《 歴史を考えるのはかなりアクロバティックなことである。われわれは巨大な時空の袋のどこか片隅のくぼみにいて、その袋の全体の歴史的形状を云々しようと するのだから、これは身の程知らずが歴史の「身の程」を論じるようなものなのだ。 》 「第十綴(てつ) アーリア主義」 120頁

《 こうして、一部の民族や部族によって生じた歴史観は市場の介在とともにその価値観が「交換」されるものになった。これは歴史観が歪まないための修繕 (ブリコラージュ)のひとつの方法だ。しかし、修繕や編集(エディティング)の方法は市場交換だけではなかった。それでは商品と貨幣が別のアーリア神話に なるだけである。 》 「第十一綴 猫の贈与」 130頁

《 お裾分けとは、貰ったものや贈られたものの一部を親しい者や近隣の者に再配分することをいう。再分配ではあるけれど、裾で分けるだなんてなんとも日本的で、 なんとも互酬的な贈与感覚をあらわしたものだ。 》 「第十二綴 お裾分けの文化」 138頁

《 石牟礼道子は『はにかみの国』で、私にはどうも「持ち重り」というものがありますと書いていた。われわれは「持ち重り」を忘れてしまったようだ。 こんなことでは日本がうまくいくはずがない。 》 「第十三綴 カリ・ギリ・ドーリ」 160頁

《 そうこうしているうちに、ゆらゆらと浮上してくるものがあった。「日本する」とは、これまで散らばっていた「日本という方法」を可能なかぎり束ねて 編集的に取り出すことであろうという確信だ。そこに西欧型の「合理」を打ち砕く方法が、アナロジカルな表現力として、メディエーションのしくみとして、 浮上したのである。 》 「第十四綴 ケンタロスの罪」 173-174頁

《  日本の画人たちは魂をむきだしに描きたいわけではなかった。魂の代わりの何かを描いたのである。肖像は「魂」ではなく「影」だった。何かとは影だった のである。いまでも撮影・影響・御影などという言葉があるように、すぐれた画人は「影」を映し出し、写し出そうとした。この映し出てきたものを「面影」とも 「影向(ようごう)」ともいって、そこに気韻が生動すると見た。
  この手法こそが和魂漢才のルーツのひとつだろうと思う。このことがわからないと、日本の絵画に長らく陰影がなかった理由がわからない。そもそも「影」の 起源は「たましひ」の動向にあるのだから、陰影の描写など必要がなかったのだ。 》 「第十五綴 「なる」と「つぐ」 179-180頁

 今朝の最低気温−0.2度。午前八時で1.6度。寒いはずだ。寝具は真冬仕様なのでぐっすり寝られたが、起きてからが困る。ずっと寝ていたいけど、そうはいかず。 体を慣らして午前十時からの源兵衛川の月例清掃へ。
 午後、長年暮らしていたペットの猫の死の悲しみに打ちひしがれている知人女性から気遣いのメールをいただき、思わず落涙。
 中井英夫氏の命日。寺山修司の誕生日。往事茫々。

 ネット、いろいろ。

《 「かたいぶんこ」 》 竹尾
 http://takeopaper.com/special/kataibunko/index.html

《 木下直之を全部集める 》 キノゼン編集室
 http://www.a-quad.jp/kinozen/index.html

《 以前、修正版を作りかけたまま忘却の彼方へと行ってしまっていた「フィールドワーク系趣味マップ」の修正版を作りました。随分細かくなってしまいましたが、 みなさまのお陰でいろんな趣味人がいることを改めて知ることができました。ありがとうございます♪ 》 うるう
 https://twitter.com/u_ru_u/status/938808529493803009

《 現生人類、「出アフリカ」は一度だけではなかった 研究 》 AFP
 http://www.afpbb.com/articles/-/3154637?pid=19621285

《 哺乳類の社会性はかなりの程度嗅覚によって規定されているようだが、人間も無意識レベルで他人の匂いに反応しているらしい。 世界の中で他人と共に生きるということを、非常に原始的なレベルで(知性が気づかないような仕方で)規定しているのが嗅覚ではないか。 》 shigeru taguchi
 https://twitter.com/ShigeruTaguchi/status/939776244089896961

《  とにかく、今僕の両親が不当に勾留され続けている。
  こいつはまた許されへん事なんや。
  これで全うな判断やとほざく奴のドタマをかち割ってやりたいぐらいの衝動に駆られる。まぁ、言ってみたらそれだけ日本人がボケとるんやろうね。
  不適切発言かなぁ?心情的にはあるよこれ。これも本間の話。 》 籠池佳茂
 https://twitter.com/YOSHISHIGEKAGO1/status/939312263579672576