短篇小説の豊穣

 昨日読んだ泉鏡花『薬草取』は、『日本短篇文学全集 第6巻』筑摩書房1970年初版で読んだ。この短篇、1969年に初刊が出た『豪華版 日本現代文學全集4  泉鏡花集』講談社には収録されていない。一巻本には収録されず、坪内逍遥尾崎紅葉広津柳浪とともに『眉かくしの霊』が収録されたこの巻で読まなければ 知らなかった作品。また、折口信夫死者の書』は『ちくま日本文学 025 折口信夫筑摩書房2008年初版で読んだが、このシリーズの『011 泉鏡花』にも 『薬草取』は未収録。作品との出合いはなんとも奇遇というか奇縁というか。
 http://www.chikumashobo.co.jp/special/nihonbungaku/lineup/2.jsp
 ついでに。その文庫版『ちくま日本文学』だが、まず『ちくま日本文学全集』全60巻が文庫版ハードカバーで出て、好評だったため、ちくま文庫で全30巻の 『ちくま日本文学』(「全集」が抜けた)が出て、その25巻が折口信夫で、その後10巻が追加されて全40巻になったようだ。『折口信夫』では「全30巻」。
 『ちくま日本文学全集』60巻→『ちくま日本文学』30巻→『ちくま日本文学』40巻。
 消えた二十人は、中勘助石川淳島崎藤村白井喬二大佛次郎佐藤春夫渡辺一夫海音寺潮五郎中野重治中野好夫木山捷平花田清輝長谷川四郎大岡昇平武田泰淳富士正晴梅崎春生深沢七郎島尾敏雄福永武彦
 ついでにもうひとつ。新潮文庫の『日本文学100年の名作第1巻1914-1923 夢見る部屋 』に始まる全10巻も興味深い。これがいまのところ最新の短篇小説選集か。 上記全集に収録されていない短篇が数多く収録されている。

《 文学史上で評価されていても、時代が変わると読むに堪えないものがあった。大正時代を例に挙げ「新感覚派」「プロレタリア文学」「私小説」「白樺派」 あたりはほとんど漏れてしまった、
 と語り、「新感覚派」の某大作家なども入らなかったといいます。 》
 http://www.shinchosha.co.jp/bunko/blog/2015/05/20.html

 収録された作品は全部で145編。
 さらに北村薫宮部みゆき編のちくま文庫『名短編ここにあり』に始まるシリーズを見ると、短篇の豊穣を実感。
 http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480424044/

 十二月になって陽の光の低さを例年になく実感。太陽は毎年同じ時期に同じ高さにあると思うのだが、この冬は以前よりも日の低さをひしひしと感じる。 そして深い色の長い日影。生命力の旺盛な時期をとうに過ぎ、我が身に衰えがひたひたと打ち寄せているゆえだろうか。しみじみ人生の初冬を思う。暦を見れば冬至。 あれ、そうか。
 友だちも言っていたが、この冬は未だにジングル・ベルを耳にしない。静かな歳末だ。甲斐バンド『かりそめのスウィング』をCDで聴く。
 https://www.youtube.com/watch?v=rV0lpYUDz7g
 週刊読書人ウェブ「2017年の収穫 41人へのアンケート」にはじつに多彩で、未知の本がずらり。が、これを参考にして今、本を買うことなないだろう。 数年経ってから気になる本を買う。昨日の清水高志ミシェル・セール白水社2013年のように。古本でも、興味を覚えたときが私の新刊。
 http://dokushojin.com/article.html?i=2563

 ネット、いろいろ。

《 日本人研究者、特に基礎科学の研究者は謙虚であるから「一見役に立たない研究も重要である」という言い方をするが、この「一見役に立たない」は 言う必要がないな。というか言わない方がいいな。普通の人には役に立たないと思われてしまう。「役に立たない研究はない」と、自負とともに言うべきですね。 》  Koichi Kawakami
 https://twitter.com/koichi_kawakami/status/943910527041880064

《  チャップリン主演映画「独裁者」の椅子の高さを競い合うシーンさながら
  「常識ある普通の人が恥ずかしいから到底出来ないことを平然とやって恬として恥じず、なんとも思わないのが安倍晋三という男だろう。 それがこの男の最大の強みだ」というコメントが全てを物語っています 》 盛田隆二『焼け跡のハイヒール』祥伝社
 https://twitter.com/product1954/status/944028850354192384

《 bioに「普通の日本人」って書いてる人は信用できないので、準急の日本人とか急行の日本人って書いてある人を信用する 》 えちにゃ
 https://twitter.com/seaside334/status/943410305144467456

《 民具と民藝との関係について質問があった。「柳宗悦という人が、彼の嗜好で民具から選び出したものが民藝で、そこに後付けで『用の美』 というコンセプトが生まれました」と応える。 》 中島 智
 https://twitter.com/nakashima001/status/943316601763381248

《 みなさん回文作成の際は、どうぞ都合の良い「タニタ」をご活用下さい 》 株式会社タニタ
 https://twitter.com/TANITAofficial/status/943681730946285568

《  天はときどき煮物、じゃない、二物を与える。
  お前は荷物。 》