『ヴァレリー文学論』再読

 ポール・ヴァレリーヴァレリー文学論』角川文庫1989年8刷を再読。わからないものもあれば、不同意もある。ふむふむと頷く章句からいくつか。

《 語、調、比喩、思想の転換、調子の転換なぞが何たるかをしらず、また、作品の永続性の組織も、作品の存在理由も何ら心得ず、わずかになぜ書くかということを 知るのみで、いかにして書くかについては何も知らずに書くということは、なんという恥ずかしいことだ! 》 「声─ポエジー」 16頁

《 作品は、その作者が作り上げたものとは別個なものらしく見える能力があるかないかで存続するのである。 》 「作品とその存続期間」 36頁

《  最高の作品はその秘密を最も長く持ち続ける作品。
  長い間、だれもそれに秘密があろうとさえ気づかない。 》 「作品とその存続期間」 37頁

《 どれほどの人は自らを知らずにいるか、自分の書いたものを読みかえして初めてきづく。 》 「第二部」 53頁

《 僕に興味のあるのは、──もちろん、興味のある時に限るのだが、──作品ではない、──作者でもない、──作品になっているものだ。 》 「第二部」 60頁

《 個性(オリジナリテ)以上に尊いものがある。それは世界性(ユニヴェルサリテ)である。 》 「第二部」 62頁

《 一つの機械は低圧力でも動くが、機械のない圧力は何も牽引することができない。 》 「第二部」 96頁

《 僕はまた言っておく、自分は、言葉の世界に進歩を持ち来たす質と力との備わらない作家の行動には、価値を認めない者だ、と。 》 「第二部」 100頁

《 最も偉大な人物は、自分の判断を思い切り信頼し得た人々だ、最もばかな奴も同じ。 》 「付録」 112頁

 昨日は沼津市の風の子造形教室の主宰者池谷さんご夫妻の家で、午後一時から八時半までゆるゆる忘年会。 池谷さんの手作り料理に、デザイナーの内野まゆみさんが 絶品チョコレートケーキと手作りサラダ、造形作家の白砂勝敏さんが自家製燻製、昆虫写真家の細田裕紀さんがシャンパンや燻製そして私が白ワインなど、 美味しいものを持ち寄り、まったり歓談。細田さんは展示会の焼きものが好評で、思いの外売れてゴキゲン。白砂さんは来月27日からの静岡市での展覧会を前に、 焼きものの新たなカップを製作中。細田、白砂さんの焼きものを見ると、焼きもの造形にはまだ相当な可能性があることを実感。内野まゆみさんが気の向いたときに 描いている数センチ四方の板絵は、簡にして潔い絵。すっと惹きつけられる。三者とも掌に乗る、収まる小ささだが、もうひとつの美術の方向を示唆していると思う。 そういえば、池谷さんは、しばらく減少していた生徒がここにきて増えてきた、と。やはりなあ、まともなところに人は引き寄せられる。
 http://www.at-s.com/facilities/article/culture/art/135000.html
 http://shirasuna-k.com/
 http://paipu.eshizuoka.jp/e1344524.html

 昼前、所用で自転車で出かける。すごい強風。車が激しく往来する抜け道の道路はあまりに危険で、横道へ。帰りも脇道をゆっくり走る。遠出をあきらめる。
 先だってガスコンロを照らす蛍光灯が不調になったのでLED照明に替えた。こんなに明るいとは。流しの上の照明を交換し、午後、作業場の古い蛍光灯や 階段上の高所の蛍光灯も交換してもらう。人生明るくなくちゃ。いい年を迎えられる。酔うときは暗くてよい。

 ネット、いろいろ。

《 実際に今起こっているのは、構造主義の時代のような諸学問やアートの構造的な連帯であり、近代を超え、古今東西をまたいで繋がっていくという感触がある。 アカデミズムも、一つ一つの分野が縮小するなか複数の分野が共通の地盤を持たなければ今後存続し得ない。 》 清水高志
 https://twitter.com/omnivalence/status/945872412343640066

《 言語や芸術や社会という汎人類的欲動について考えるには、それらが〈人間が人間になる以前〉からわれわれの基底をなしていることを認識しなければならない。 言語や芸術や社会を〈高度な知性〉のたまものと捉えることは甚だしい倒錯であり、むしろ〈高度な本能〉として認知する必要がある。 》 中島 智
 https://twitter.com/nakashima001/status/945331472176594944

《 第57回規制委員会を傍聴後、ビル前の抗議行動も「傍聴」した。皆さん熱心だったが、的外れな抗議スピーチが多いのには辟易した。 再稼働は規制委員会が行うのではない。規制委員会の定めた基準・審査方法が違法か否かは、裁判所が決めること。規制委員会を任命したのは首相。 人事に同意したのは国会。 》 春橋哲史
 https://twitter.com/haruhasiSF/status/945890348311617536

《 色々ちゃんと整理すると、面白い発見があるものですね。そんなことがありながら、二時間ほどまたもや馬車馬の如く働き、表がすっかり暗くなった頃、 ついに風呂場が美しい倉庫として完成にいたる。 》 古本屋ツアー・イン・ジャパン
 http://furuhonya-tour.seesaa.net/article/455807466.html