『ミシェル・セール』五

 清水高志ミシェル・セール  普遍学からアクター・ネットワークまで』白水社2013年初版、「第4章 『干渉』」を読んだ。

《 十七世紀から十九世紀までに発展した物理学は、もっぱら「光と音と熱の世界」、「磁気と電気の世界」であったと、セールは述べている。 》 170頁

《 また、物質の扱われ方に即して、科学的認識の進展自体が、段階的に分類されるとも主張している。大きく言ってそれらは、三つの段階に区分される── 「主体-主体的段階」、「主体-対象(客体)的段階」、「対象(客体)-対象(客体)的段階」である。 》 171頁

《 第1章や第2章で分析した準-客体は、最初期のセールにおいてはこの固体という概念で語られている。第三段階とは、複数の準-客体が登場する知の段階 なのである。 》 178頁

《 主体が対象にみずからを刻印したり、それによってみずからを拡張したりするわけではない。むしろ対象が持っている構造や情報を通じて、さまざまな 対象同士のあいだを結びつけたり、関係を見出したりすることが、主体の行動や認識の実態なのである。第三段階は知にまつわるこうした状況をあらためて 露わにする。 》 178-179頁

《 第三段階においては、複数の固体、準-客体が描き出すネットワークが問題となるが、対象=固体は、もはや時代の科学のなかでも物質観といったものを超えて、 一つの世界像を浮かび上がらせるものになっている。複数の関係のうちで相対化される一方で、結節点としての固体、準-客体は、他の結節点とのあいだで情報や 構造がやり取りされるにあたって、なかば能動的な役割を果たしている。知的主体が「全域的主体」となるに応じて、知もまた非人称的なものとなっている。 》  179-180頁

 グレアム・ハーマン『四方対象』へつながっていくような。

 そんなに寒いとは気づかなかった今朝は、五時五十九分−5.3℃。午前八時で−2.5℃。新聞を取りに外へ出た時はひえ〜寒かった。
 ずっと呆れられてきたけど、賞賛はされてみたいな、と思う朝、東京新聞を開く。きょうの運勢は”蟻の思いも天に届く。微小なりとも大を成す事あり”。 おお、私(たち)のことか、と勝手に思う。

 ネット、いろいろ。

《 フーコー「性の歴史」最終巻、ついに出版へ 死後34年 》 AFP
《 未完のまま残されていた同著では、「同意」をめぐる繊細な問題についても論じられており、遺著管理者らはフーコーの考えを世に出す機が熟したと判断。 》
 http://www.afpbb.com/articles/-/3161404

 第三巻の翻訳が出て三十年。第四巻があるとは。翻訳の三冊は本棚にひっそりと。何事も機が熟するということがあるなあ。そろそろ読む時か。

《 細胞が音を聴く? −音により細胞に遺伝子応答が起こる可能性を示す−  》 京都大学
 http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2017/180201_1.html

 イアーホンではなく、スピーカーから発する音を全身で受け止めて聴きたい。その理由がこんなところにあるのかも。

《 いま原発問題を経済学的に研究している極めて優秀な元教え子から、『中動態の世界』を読みながらずっと自分は「自主避難者」のことを考えていたと聞き、 眼が覚めるような思い。選択の事実が自発性・能動性へと自動的に連絡されてしまう思考回路の問題。 》 國分功一郎
 https://twitter.com/lethal_notion/status/960840297939791872

《 自然科学研究は日々進歩して役に立つのに文系は進歩がないじゃないか、という意見があるが、文系の研究と教育を継続しないと人類は退歩するのだと 知っておくべきだ。 》 森岡正博
 https://twitter.com/Sukuitohananika/status/960429707312340992

《 うちの学校の先生が作った自作PCが面白すぎるwwwwwww 》 塩鮭@ファンミ千葉1日目
 https://twitter.com/amano0222/status/960384254659014656