『死者の木霊』

 内田康夫のデビュー作『死者の木霊講談社文庫1991年20刷を読んだ。元本は栄光出版社から1980年刊行。内田康夫は初めて。

《 青森の街は一種独特のたたずまいである。潮の香と魚臭の漂う長い海岸線に面した地域は、漁港、集積港の面影があるが、それを陸側に一段入り込むと、 豪華な商店街が連なっている。さらにその奥は官公署、放送局、スポーツ施設など公共機関が軒を並べ、国道を境としてその奥一帯が住宅地、そしてその先には 県営団地などの新開地が展(ひろ)がり、やがて青森平野の農作地帯とオーバーラップしてゆく。海岸線と平行して走る幾条(すじ)かの道路ごとに、街の特徴が 色分けされた。それはまさに、港町から近代都市への変遷の過程を、そのまま地表に画していった象(すがた)だ。 》 184頁

 最初から旅情作家の面目躍如。

《 謎のひとつひとつは、ごくささいな疑惑には違いない。取るに足らぬ末梢的な事柄かもしれない。しかし、それらは線路の継ぎ目のように連綿と繋がって、 究極にある隠された真実への道を示しているのではないだろうか。 》 181頁

 若い巡査部長が逆境の中、粘り強い捜査で蟻の一穴を見出す。鮎川哲也の鬼貫警部を彷彿させる。中島河太郎の解説から。

《 熱烈な読者が多いにもかかわらず、本格派の精鋭に恵まれなかった時期だけに、著者はまさに待望の作家であった。 》

 『死者の木霊』は、飯田市の山奥のダムで事件が発生。飯田市といえば北一明の生没地。二年半前東京新聞で大きく報道された記念館設立運動はどうなっているのか。

 小原古邨をヤフーで検索。約165,000件。ohara koson で検索。約415,000件。すごいね。画像検索では私の所蔵する木版画はロクに出ない。季刊『版画芸術』135号 阿部出版2007年、特集「知られざる木版画絵師 小原古邨/小林かいち」には七点を貸し出し。泉鏡花賞作家寮美千子さんの寄稿「古邨・その静寂に満ちる『動』」 から。

《 K美術館にお伺いして見せていただいたとたん、心を鷲づかみにされた。 》

《 古邨には、若冲のような強さやアクはない。騒がしさもない。それは静止している。動きの一瞬を凍結させた静けさだ。 》

《 職人的な意識を持って、淡々と制作していたように見える古邨。もしかしたらそれは、ただ見ることに静かな歓びを覚え、黙々と制作をしていた画家の控えめな、 欲のない性格に由来しているのかもしれない。 》

 そこに掲載の二点は、ネットにはない。小原古邨の木版画に出合って二十年余。MOA美術館で見た、と先だって知人は興奮気味に伝えてきた。来たか〜。 古邨を収蔵している千葉市美術館の目録には惹かれる作品はなかった。図録『日本の版画1 1900-1910 版のかたち百相』千葉市美術館1997年には小原古邨への言及も ない。また、私一押しの審美書院への言及は数行あるだけ。

《 また審美書院から東京美術学校日本画科出身の川面義雄の監修により『浮世絵派画集』が明治39年(1906)に出版、ここでは木版摺以外の手法、厚薄和紙貼合せの コロタイプ刷に下絵色分けするという方法などが用いられ複製されている。 》 小池満紀子「近代版画と浮世絵」20-21頁

 まだ気づかれないお宝が、いろいろなところに埋もれている。新鋭もいいが、故人も面白い。

 ネット、いろいろ。

《 田圃にいるやつを食べるのか、と思ってしまった。 》 KOHNO Katsuyuki
 https://twitter.com/Ohr_wurm/status/975347816464707584

《 魅力的な引用文を見つけて興味を持ち、その引用元の本を読んでみると、思ったよりも面白くないということは、けっこう頻繁にある。この事実ほど、 「引用の創造性」ということを明らかにするものはないだろう。絶妙な引用は、単なる反復ではなく、引用される言葉に新たな輝きを付与する創造的行為なのだ 》  山本芳久
 https://twitter.com/201yos1/status/974984859406942208

《 上田・信濃デッサン館 39年の歴史に幕 思い受け継ぐ無言館 》 信毎Web
 http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180316/KT180315FTI090011000.php

《 太陽の塔・秘蔵フィルム:岡本太郎vs石原裕次郎 1975年製作 》 毎日新聞
 https://mainichi.jp/movie/video/?id=5753590309001

《 世界が注目!日本の絶滅鳥が復活 》 NHK NEWS WEB
 https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_0316.html

《 森友疑惑、国交省も芋づる?「ごみの撤去費用で大幅値引き案」は大阪航空局が自ら提案!しかも値引き額の算定まで自らで。
  なぜ土地の管理者である航空局が、わざわざ叩き売るためのアイデアを出し、更に「計算」までしたのか?
  国交大臣。ご説明頂きたい。 》 清水 潔
 https://twitter.com/NOSUKE0607/status/975867421423689728

《 公文書改竄問題というか、公文書改竄にも政権として責任取らない問題って、「自分の会社ならどうするか」と考えてみたら、もうこれは明確に、 「全サラリーマン激おこぷんぷん丸案件」ですよ。どう考えても。 》 菅野完
 https://twitter.com/SUGANOTAMO2/status/975662606538199041

《 森友 “ごみ撤去費用として大幅値引き” 大阪航空局が提案 》 NHK NEWS WEB
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180320/k10011371661000.html

《  凄まじいニュースだな…で、これが安倍政権じゃなくて旧民主党時代なら売国売国の大合唱だろう…

  マイナンバーや配偶者の年間所得額など 500万人分の個人情報が中国業者に 》 とみ
 https://twitter.com/meow164/status/975708118045937665

《 これもNHKのすごいスクープだな。公的なセクターのガバナンスの底が抜けた年として2018年は記憶されるのだろう。 》 津田大介
 https://twitter.com/tsuda/status/975678186624253952

《 雨の中、洗濯物を持たずにコインランドリーまでダッシュしたマヌケがいるらしいな。 》 ジョー猫
 https://twitter.com/korenkan/status/975954523477884930

《 無能な味方ほど怖いものはないな 》