『 Lexicon 現代人類学 』ニ

 奥野克巳・石倉敏明 編『 Lexicon 現代人類学 』以文社2018年初版をあちこち読む。
 http://www.ibunsha.co.jp/0344.html

《 デスコラによればアニミズムは、近代西洋の人間の世界観をあらわすナチュラリズムと、とりわけ対照的な性格を持つものだという。ナチュラリズムが人間の 精神や諸文化を多種多様なものと考え、いっぽうで自然界そのものを客観的な法則に貫かれた一つの存在と捉えるのに対し、アニミズムの世界観では人類だけでなく、 あらゆる生物や非-人間がそれぞれに世界を価値づけるパースペクティヴの中心とみなされ、その意味で《人間》と同じであるとされている。またその反面、そこでは 世界そのものはさまざまなパースペクティヴの数だけあり、複数的にあると考えられているのだ。 》 「24.岩田慶治アニミズム論」清水高志

 小原古邨(後の祥邨、豊邨ではない)の花鳥画を想起させる。(昨日のコピー&ペースト)。
 http://web.thn.jp/kbi/koson.htm

《 ありふれたモノや自然との対面の瞬間に、その場面そのものを包摂するさらに大きな《原風景》を直接感じること。その驚きとともに、近代の二元論を転倒し、 あるいは呑み込むアニミズムの思考の本源に立ち戻り、さらには全一体としての世界の懐にふたたび抱かれること。岩田が目指したのは、まさにそうした意味における アニミズム思想の蘇生であった。 》 同上

《 ただ、こうした「指示語(シニフィアン)なき指示対象(シニフィエ)」が、その当事者以外の人々に「指示対象(シニフィエ)なき指示語(シニフィアン)」を 生起させる働きというのは、なにも未知の異文化に踏み込まずとも、他者(アーティスト)が制作した芸術作品に触れることにおいても認められるものであることは、 あらかじめここで述べておかなければなりません。 》 「42.芸術制作の人類学」中島智

《 これらをまとめるとブリコラージュとは、ありあわせの道具材料を用いて、その場その場で本来予定されていなかったものを偶然生み出すことをさす。 》 「06.今日のブリコラージュ」出口顯

《 ブリコラージュする人がブリコール( bricoleur )である。 》 同上

《 ブリコール、資材性つまり「まだ何かの役に立つ」という潜在的有用性を「もの」の中に見出すのだが、それは、「もの」(素材)が、明確に限定された 用途のためにとっておかれたのではなく、同じようにとっておかれた他の「もの」や周囲の環境との具体的な関係の中で、あらたな役割が発見されるということである。 そしてあらたな役割が発見されるためには、細かな点に至るまで「もの」の特徴に気づいていることが大切である。それを可能にするのが、ブリコールのあくなき 知的探究心である。それが具体の科学、野生の思考の特徴なのである。 》 同上

 これなんぞ、白砂勝敏さんの作品論に援用できる。というか、そのまんまだな。
 http://shirasuna-k.com/
 二十世紀初頭の小原古邨〜二十一世紀の白砂勝敏というアニミズムのラインが浮かぶ。