『しゃれのめす』再び

 体調が恢復したらまず読んでみたい本が、洲之内徹『しゃれのめす』世界文化社だった。数ある美術関係の著者で最も気になる著者が洲之内徹。理由は不明。 彼の人生の追跡には殆ど興味がない。彼の美術関係の文章が、やけに気になる。何だろう。ま、こうして読めるのは幸甚。四年前の日録から。

《 ボナールは謙虚だ。あまり自己を主張しない。ピカソでもルオーでも マチスでも、絵に先立ってそれぞれの強烈な自己の世界があり、それに従って 表現があるが、 ボナールはつとめて平凡な見方をして、平凡な描き方をして、 しかも、いま挙げた巨匠たちと同じ、あるいはそれ以上の高さに達している。 絵の具が完全に手に入っていて、絵の具を知り尽くしている。むしろ、彼こそは 巨匠中の巨匠といえるのではあるまいか。 》 149頁

《 安藤信哉がボナールを好んでいた、とかすかな記憶。それでボナールの 展覧会へ行ったような。あるいは逆か。 》

 「根っからの絵かき松田正平」からだが、今回も同じ箇所で立ち止まった。引用した文の続き。

《  彼はただテーブルの上にある物の美しさに魅せられて、自分の意図を加えずに描き上げる。何かひねり出してやろうというような気持ちは、彼にはない。 だから、彼の画面は誰からも親しみ易い。そして、いかにも美しい。ところが、そんな風に描かれた画面が、誰にも思い付けない不思議な構図と、完璧なバランスを 持っているのだ。
  これはもう考え出された構成や効果ではない。それがこうなるというところが彼の気質である。だから何もかも自然で、ちっとも不思議でないことが不思議 といえば不思議なのだが、本当に自分の眼を持った画家のみの自由さといえるのかもしれない。 》 149頁

 安藤信哉の晩年の作品を指しているよう。
 http://web.thn.jp/kbi/ando.htm
 http://web.thn.jp/kbi/ando10.htm

 午前、強い風の中、自転車で外出。用事を済ませ、直帰。この強い風、寄り道する気が起きない。富士山くっきり。箱根スカイウォークからはいい眺めだろうが、 吊橋は渡れるかな。
 昼、晴天強風なので洗濯物の乾きが早い。飛ばされる前に取り込む。
 午後、知人たちのグループ展へ。白砂勝敏さんと四方山話。本屋で新刊の森田真生『数学する身体』新潮文庫2018年初版帯付を購入。

 ネット、いろいろ。

《 ゲラン「夜間飛行」といえば、魔夜峰央『ラシャーヌ!』か中井英夫『夜翔ぶ女』。 》 藍川蘭
 https://twitter.com/ran_aikawa/status/991973737753862144

 西島三重子『夜間非行』。
 https://www.youtube.com/watch?v=Fh3UWa6DdPs

《 書評 : 1969 新宿西口地下広場 [編著]大木晴子・鈴木一誌 》
 http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2014081000016.html

 昔、知人女性から恵まれたビデオテープ、大内田圭弥/製作・監督『新宿西口 地下広場』が手元にある。ビデオデッキが無いので見られない。DVDにするか。

《 ロダンも挑んだ「ヌード」という「芸術」 》 フォーサイト編集部
 http://www.fsight.jp/articles/-/43461

《 #名画で学ぶ小説家 》
 https://twitter.com/hashtag/%E5%90%8D%E7%94%BB%E3%81%A7%E5%AD%A6%E3%81%B6%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E5%AE%B6?src=hash

《 昭和の終わりが東西冷戦の終結とほぼ重なっていたように、平成の終わりが東アジアの「冷戦」の終結と重なることはあるのだろうか。 》 原武史
 https://twitter.com/haratetchan/status/990781890343809024