『人間の建設』

 岡潔小林秀雄『人間の建設』新潮文庫2011年7刷、前半を読んだ。岡に小林が質問するというかたちで会話が進む。

《  小林 無明をかく達人である、その達人というものはどうお考えですか。
  岡 それほど私はピカソを高く評価しておりません。ああいう人がいてくれたら、無明のあることがよくわかって、倫理的効果があるから有意義だとしか 思っておりません。ピカソ自身は、無明を美だと思い違いしてかいているのだろうと思います。人間の欠点が目につくということで、長所がわかるというものでは ありませんね。(中略)ピカソの絵は、とうてい長く見ていられない。あれを高い値で買って居間に掛けようというのは、妙な心理です。 》 15-16頁

《 岡 そうなんですよ。芸術はくたびれをなおすもので、くたびれさせるものではないのです。 》 18頁

《 岡 物を生かすということを忘れて、自分がつくり出そうというほうだけをやりだしたのですね。 》 23頁

《 岡 それは内容がなくなって、単なる概念になるということなのです。どうせ数学は抽象的な観念しかありませんが、内容のない抽象的な観念になりつつあるという ことです。 》 25頁

《 岡 世界の知力はどんどん低下している。それは音楽とか絵画とか小説とか、そんなところにいちばん敏感にあらわれているのじゃなかろうかと思うのです。 》  33頁

《 岡 裏打ちのないのを抽象的。しばらくはできても、足が大地をはなれて飛び上がっているようなもので、第二歩を出すことができない。そういうのを抽象的と いったのです。 》 44頁

 ネット、いろいろ。

《 高山先生の蔵書の件、たくさんの方に反応いただき、感謝しています。想像を遥かに超える閲覧数で(普段の当店の一ヶ月分以上)、 うれしいとともに、ちょっとビビってもいます。他の買い取りも重なっており、すべてを出し終えるにはまだ少し時間がかかります。ご承知おきください。 》  古書ほうろう
 https://twitter.com/legrandsnes/status/995867173007515648

《 もっと言っておくと「世界を変えるのは「大きな仕事」だけなんだから「大きな仕事」を俺はする」というネオ・ロマン主義もやばいんですけど、 こういう「大きな仕事」待望論は「小さな仕事」に耐え切れなくなった人の退廃的形態として生まれることも言っておこうと思う。「小さな仕事」を抱え続けたい。  》 永瀬恭一
 https://twitter.com/nagasek/status/996205465456427008

《 「一点の曇りもない」という本来なら美しいはずの日本語が、これだけメタクソに毀損される時代もないように思う 》 140B中島
 https://twitter.com/maido140b/status/996172824602591232

《 フクイチ事故によって発生した国民負担(税金+電気料金)は、11〜18年度の8年間で、公開資料を基に調べただけで、16兆円を超えている。 それに比べれば、もんじゅなんか、可愛いもの。無駄遣いは「たかだか」1兆円。(特定の個人に向けたツイートではありません)。 》 春橋哲史
 https://twitter.com/haruhasiSF/status/995963636261634049

《  これまで「日本三大架空の大学」は
  バカ田大学
  長洲産業大学
  東淀川大学

  だったが、国際信州学院大学の登場で四大架空の大学が誕生した。 》 こぞ(風塔夕子@星空文庫)
 https://twitter.com/edewsn/status/995874935695331329

 新潮文庫谷俊彦『東京都大学の人びと』(ひがしきょうとだいがく)。