『ヘンな日本美術史』つづき

 山口晃『ヘンな日本美術史』祥伝社2012年初版を読了。何気なく気宇壮大な野心作であり、かつ名著の可能性。「第四章 日本のヘンな絵」より。

《 空間で云えば、「彦根屏風」はこの線だからこそ、背景が金一色で持つのだろうと思います。 》 169頁

《 要は、人間などが実空間にあるような形態に近づけば近づくほど、背景は実空間と違う単なる平面(しかも金色)ですから、そこから乖離してしまいます。 》  169-170頁

《 円山応挙と言えば写実で鳴らした人物ですが、不思議なのは、あれだけ写実の応挙でもこれができている。逆に言うと、応挙の写実は、近代的な透視図法、 写真的写実とは全く違う所にあるのです。 》 170頁

《 そういう「型」に実をのせてくる絵は、絵が内面にまで届いているような気がする一方、単なる写実と云うのは、たとえ上手くても画面の上っ面で終っている ように見えます。 》 172頁

《 しかし、近代の日本画は、いわゆる西洋的な写実を取り入れる事で、「型」を捨て、写真の方に足を踏み入れてしまいました。すると、これまで保たれていた 絵画空間と云うものが次第に崩れてきます。 》 173頁

《 けれども、日本は特にそれが顕著なのかもしれませんが、こうした不遇の芸術家を必要以上に持ち上げてしまう傾向があります。 》 191頁

《 正直、絵を物語で見られると非常に迷惑と云いますか、勿論、作品に作家の人生が反映される部分はありますが、そういうきらいが余りにも大きすぎるのです。  》 191頁

 「第五章 やがてかなしき明治画壇」より。

《 近代の日本画は、私などには天心の危機意識と同志フェロノサの理想の押し付けが生み出した外発性の高い人工的な代物に見えるのです。先述した旧来技藝の 再編入以上に近代日本画に見られるのは、バルールの重視と透視図法の導入です。 》 229頁

 引用したい箇所はワンサカあるが、ここまで。興味ある方は、読んで損はしない。ワクワク心踊るから。いや、ある人には不快極まる著作かも。

 気持ちよい晴天。だけど暑い。絨毯などを天日干し。これで梅雨〜夏を迎えられる。
 昼過ぎ、友だちの車に同乗。ブックオフ沼津リコー通り店へ。吉田篤弘『百鼠』筑摩書房2005年初版、室生犀星『庭をつくる人』ウェッジ文庫2011年2刷、計216円。
 午後、皆川博子皆川博子の辺境薔薇(そうび)館』河出書房新社2018年初版帯付を本屋で受け取る。間違いない。

 ネット、いろいろ。

《 古本は入手できてから、探していた、欲しかったと言わないと、それまで探してなかった人まで探究レースに呼び込むんで、 ライヴァルを増やすだけなんですよ。 》 猟奇の鉄人
 https://twitter.com/kashibaTIM/status/1003258539773579264

《  ホワイト企業に勤めて気付いたこと

  ・上司が優秀で気配り上手
  ・不必要な飲み会が無い
  ・仕事より家族が大切という共通認識
  ・社員の目が生き生きしてる
  ・残業1時間=働きすぎだと心配される
  ・みな礼儀正しい
  ・自分の将来を考えられる
  ・仕事に誇りを持てる
  ・毎朝明るい気持ちで目覚められる 》 ふきちゃん
 https://twitter.com/cloeclala/status/1002901942912237568

《 安室奈美恵さんの件にからんで、われながら人生を空費してきたものよのうと呆れているが、貴重なものを無駄遣いするのは、最大の快楽の一つなので、 ま、いいか、と思い直している。 》 赤城毅
 https://twitter.com/akagitsuyoshi/status/1003644176603332608

《 あー!!!そうか!!! 新潟知事選挙で自民党公明党が推す花角候補は、辺野古移転で揺れる沖縄で、市民を暴力的に弾圧してた海保の責任者だったのか。 あの沖縄の暴力的な海上での弾圧を指揮した過去を隠したいわけですね。なるほどー。 》 菅野完事務所
 https://twitter.com/officeSugano/status/1003429138995150848

《 虚構に嵌るのは容易く、現実を直視するのは難しいね。 》 大野左紀子
 https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/1003527337604861952