『道元の言語宇宙』六

 寺田透道元の言語宇宙』岩波書店1974年初版、「VIII 正法眼蔵都機(つき)講読」を少し読んだ。玉城康四郎・本の原文。

《 月のときはかならず夜にあらず、夜かならずしも暗(あん)にあらず。ひとへに人間の小量にかかはることなかれ。 》 『正法眼蔵3』 408頁

 玉城康四郎の訳。

《 月のときが必ずしも夜というわけでもないし、夜が必ずしも暗いというわけでもない。このような人間の小さな料簡にとらわれてはいけない。 》 『正法眼蔵3』  409頁

 寺田透の解釈。

《 問題は前にもあって、「月のときはかならず夜にあらず」、この「月のとき」の「の」、これは所有を表す格助詞の「の」で、月が持っているとき月が管掌するとき、 あるいは、月の占有しているものであるところのとき、そいういう意味で言っている「の」でしょう。月が出ているときというんじゃないだろうと思います。》 379頁

《  しかし次は違います。単に「かならずしも」と「しも」が入っているせいばかりでなく、「暗」が「夜」と違って形容詞だからです。ここの「にあらず」は、 さきのように、「(夜にある)にはあらず」かも知れないなどと考える余地はないのです。
  「夜かならずしも暗にあらず。」これは比較的簡単で上から、月というのはかならず夜出るものじゃないんだ、しかし夜も、これを暗いものと決めてかかっちゃ いけないんだ、そういうことでしょう。簡単と今言いましたけれど、これは反自然的なことで、簡単なのは文章だけです。意味は一筋縄では行きません。だから 「ひとへに人間の小量にかかはることなかれ。」そう言わなければならなくなるわけです。一途に人間の小さなものの考え方ばかりひきとめられていてはならない。 》 379頁

 玉城康四郎の解説。

《 この巻も、文章としてはさほどむずかしいものではなく、むしろ分かりやすい方であろう。ただ肝心のところになると、同じようにきびしい注意が必要となる。 さもないと、うっかり大切なところをとりにがしてしまう。 》 『正法眼蔵3』 405頁

《  ただ、「月がまだ円(まど)かでない時(仏道が十分納得されないこと)と、「円かになった後(仏道が納得されたこと)とを分け、前者を天地全体を呑みほす、 といい、後者を、天地全体を吐き出す、という。この呑吐の区別はどういうことか。これは、もはや言葉では説明不可能であると思う。
  坐禅弁道における身心専注のおのずからなる具象化から理解をつけていくほかはあるまい。 》 『正法眼蔵3』 407頁

 寺田透の発言。

《 最初に「さもあらばあれ」ということが、道元の基本的態度の一つだと申しましたが文字に書き残しはしたけれども、それはそれとして、本来不立文字であるべき 世界の消息なんだ。文章のひとところにとどまって、それが正しいとか正しくないとか、分るとか分らないとかいうのはとるべき態度ではない、さもあらばあれと言って つねに先へ進まなきゃならない。こういうことは『眼蔵』の読み方についても言えるんだと思います。ただしそれは修行者のとるべき態度で、われわれはあくまで 言葉にこだわって、道元の思想の核心に逼るというやり方をする他ありません。 》 383頁

 二つの訳、解釈・解説を対照して読むことになるとは。

 朝、グラウンドワーク三島の車に同乗、静岡地方裁判所へ。十時半、三島市長への訴状を提出。その後、県庁の記者クラブで記者会見に臨む。テレビ新聞各社勢揃い。 私は付き添い。けっこう長い質疑応答。気分晴れ晴れ。七人揃って昼食を摂り、午後三時帰宅。

 ネット、いろいろ。

《 サマータイムの件、「完全に同期された時計に従って動いている世界」を一切知らない人たちがその辺の時計をみんなが二時間ずらすだけぐらいの気持ちで 思いつきをしゃべってるんだろうけど、そのレベルの視野しかない人達が重要な決定をする立場にいる怖さはもうちょっと認識しないとまずいかも 》 元茸
 https://twitter.com/AkiTakeyama/status/1026271677108252673

《  もう笑うしかないね
  ○新元号は一ヶ月前に公表
  ○改修間に合わない納税や年金システムでは改元後も「平成」利用可
  ○19年、20年限定で2時間サマータイム限定導入
  ○新元号は即位後にと申し入れ
  とくると、本当に政治家含めて国政に関わる人間は世の中を分かっていない。IT テロリストだな 》 Hiroaki Asai
 https://twitter.com/integra/status/1026681694529548288

《 「山根首相これは失礼安倍首相」いや今朝の朝日川柳には吹いたなあ。茨城県はO氏の作だが、違うのは外見だけで、一強、独裁、友達優遇、 ○×団との繋がり等やることなすことが酷似していて、だからつい間違えてしまったという皮肉が見事に効いてるんです。じっくり味わってください。 何度でも笑えます。 》 立川談四楼
 https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1027037175110463489