『詩歌の待ち伏せ2』

 その一文を確かめたくて、昨日買った北村薫『詩歌の待ち伏せ2』文春文庫2006年初版の最後の章「ニ十章」を開く。

   二十、「衆視のなか」中城ふみ子
       「書簡」中井英夫中城ふみ子

《 今度の『中井英夫全集[10]』が、今までの版にない格別の輝きを発しているのは、この時点から始まる、中井・中城往復書簡が、初めて収録されているところに あります。 》 195頁

《 こういう機会に、全集に活字として入っていない、一般の方の眼に入らない部分について、お伝えすることを許していただきたいと思います。 》 195-196頁

《  葉書は実家の呉服店から、病院へと転送されています。
  そして、中井の連絡の脇に、中城の実家で書き添えられた一言があるのです。これは、二人のどちらの言葉でもありません。当然のことながら、全集には載って いません。
  葉書の裏には一行、こう書かれているのです。 》 196頁

《   ◎大イニ感心ス(父より)  》 197頁

 この一行を単行本で見た時、胸深く衝かれた。父の限りなき情愛…。
 その一行に再び見(まみ)えることができた幸運。・・・それにしても、「ヨカッタネ」と記憶していたなんて、言えない。

 「十六、『狐物語』」にレオポルド・ショヴォーが取りあげられている。本棚から久しぶりに横長の本の出口裕弘・訳『年をとったワニの話』福音館書店1986年初版を 取り出す。絵の印象が記憶に鮮やか。栞の堀内誠一「画文一致のショヴォーの「絵」のほう」から。

《  フランスの空気感がそうなのですが、近くを濃く(太く)、遠くを淡く(細く)描きます。中間トーンを線でうめるときは線の方向が面のパースペクティヴを 説明します。空間は感傷性のない立体写真のように確立され、そこに独特の墨ベタのシルエットが投入されます。
  大胆な省略(手の指などない)の一方、細心のディテール(墨ベタの中の白線)があって、仮借なさと暖かさの混った表情が生まれ、高質のユーモリストと律儀な ナイーヴ・アーチストが一心同体の世界が現れます。 》

 日本の絵には見られない感覚に驚いた。

《 ショヴォーが戦前から、一部の熱心な読者にとって忘れられない作家だったのは、山本夏彦氏の訳になる『年を歴(へ)た鰐の話』という、幻の訳書があった からです。 》 161頁

 ネット、いろいろ。

《 戦前の下手なジャズ演奏ばかりを集めた「へたジャズ!」誕生秘話 》 MAG2NEWS
 https://www.mag2.com/p/news/366770

《 ネット経由で中高生に“発見”される盆踊りの今 》 音楽ナタリー
 https://natalie.mu/music/column/292723

《 日本の文化は、啓蒙によって大衆に古今の良き文化をかみ砕いて伝えましょうとか、大衆のサブカルチャーの価値を認めてあげましょうとかいうところでは、 もうお陀仏だと思う。日本に新たな生き方を提示する新興階級がこれから生まれ(むろん、それはブルジョワジーとかそういうありきたりな 》 清水高志
 https://twitter.com/omnivalence/status/1027926302886514688

《 意味ではない)、彼らが自分たちの文化を持とうとするとき、伝統的な日本の文化かから何かを摂取したり、その意味を大きく変えて行ったりしながら 発展させるなら、やっと繋がっていくのだろうと思う。これまでももちろん、そんな風だったのだ。 》 清水高志
 https://twitter.com/omnivalence/status/1027926463264112641

《 論理階梯の飛躍も、創造性も、既存の慣習的方法では解決できない「障害」が現れ/見えてこそ生まれる。そして、そこで生まれた新たな方法は、 別の「障害」群にたいする対処法としても間接的に役だつ。誰かの処方箋は、間接的に別の誰かにとってヒントをもたらす。 》 中島 智
 https://twitter.com/nakashima001/status/1027770922504138752

《 今日は辺野古に行って、船に乗って政府が新基地を造ろうとしている現場を見てきました。とにかく海がキレイだった。こんな美しい海を、自国の防衛に寄与しない 外国の軍隊(海兵隊は日本への侵略の抑止力にはならない)の基地のために埋め立てて破壊する国がどこにあるんだ、と思います。 》 布施祐仁
 https://twitter.com/yujinfuse/status/1027867572719341568

《 被爆者、首相に真意を迫ったが 答えはまるでコピー 》 朝日新聞
 https://www.asahi.com/articles/ASL89443GL89TIPE01L.html

《 勉誠出版ネトウヨ化しているという悲報に接したあと自省した夜 》 日比嘉高研究室
 http://hibi.hatenadiary.jp/entry/2018/08/10/224242

《 東京五輪には様々な意見がある。「秋にやれ」「サマータイムやめろ」「1000円億払って返上だ」「そのカネはクラウドファンディングで集めろ」 「すべて室内でやれ」「ルームランナーを活かせ」「マラソンは地下鉄を走れ」等、反対派が多いが、この意見にはウケた。「2年前倒しにして済んだことにしろ」 》  立川談四楼
 https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1027755765937844224

《 ツイッターに救いはない 》 繁殖牝馬
 https://twitter.com/uraka5/status/1027854103550996482

《 コミケでは開幕直後に1万円札を出す行為は大変嫌われますが、 「釣りはいらねぇ!」 の一言を付け加えるだけで大変喜ばれます。間違いありません。  》