閑人亭日録

岡崎乾二郎『抽象の力』七

 岡崎乾二郎『抽象の力』亜紀書房2018年初版、「第III部 メタボリズム - 自然弁証法」より「名を葬る場所」を読んだ。イサム・ノグチの仕事と思想。

《 死者はいかなる生者の秩序からも解放されている。いかなる地上のアイデンティティも属性もばらばらに解体され、ゆえに世界の再生が可能になる。 》 272頁

 イサム・ノグチの日の目を見なかった『ヒロシマ・モニュメント』の地下空間を思い、昨日話題のマル・ウォルドン『TOKYO BOUND』を再びかけ、手許に北一明の 黒・耀変茶碗。その強震する三極構造。漆黒の深い深い深遠。ピカドンに向き合う三者の息を呑む響縁。くらくらする。

 曇天の寒い昼前、家にこもってCD、マル・ウォルドロン山下洋輔『ピアノ・デュオ・ライヴ』1985年9月17日録音を聞く。ウェブサイトに記事。

《 個々の展開や内容については解説不要かつ不能、これはもう聴いていただくのが一番だ。予想される丁々発止、剣豪師弟の火花を散らす対決の趣きはない。 師弟になぞらえれば、巨大なモニュメントを彫り上げるべく手を携えて巨石に立ち向かう二人といったところ。/ 林建紀 》 AERA.dot
 https://dot.asahi.com/musicstreet/column/jlive/2015060800024.html

 午後、一昨日三石神社の下流の石垣に見てしまったヒメツルソバを抜く。ついでに川辺のカラーも抜く。対岸の石垣上部のヒメツルソバを、家の狭い隙間を抜け出て 腹ばいになって抜く。ふう。土のう袋にぎゅう詰め。乾けば軽くなる。軽く汗。

 ネット、うろうろ。

《 黒川名誉教授緊急寄稿。疑惑の被ばく線量論文著者、早野氏による「見解」の嘘と作為を正す 》 ハーバー・ビジネス・オンライン
 https://hbol.jp/185193

《 官邸が東京新聞の望月衣塑子記者の質問を遮るのも、官邸記者クラブを使ってまで退けようとするのも、この政権に対するファクトチェックをされるのがとんでもなく 嫌だから。だとしたら私たちがやるべきことは決まりだ。市民がこぞってファクトチェックに参加すること。民主主義の勉強にもなるよね。 》 池田幸代
 https://twitter.com/sachiiketomato/status/1094596041771347968

《 「美術家に非理性/狂気を薦めるとはいかがなものか」とのリプをいただいた。かねてより知的か、さもなくば感覚か、といった知性や理性の一元化は誤りであって、 理性にも複数の形態があることを述べてきた。だから言語的思考のほかに音楽的思考や美術的思考が「理性」としてあることを知る必要がある。 》 中島 智
 https://twitter.com/nakashima001/status/1094629963427241984

《 「カサノヴァがいつベアトリーチェを好きになったかわからない」という感想を聞いたけど、実はわたしはそこが好きなところである。彼女が他の人より美しいから、 他の人より清らかな心を持ってるからではなく、「多くの人を愛する人生」から「ひとりを愛する人生」に変わっただけ、という。 》 近藤史恵
 https://twitter.com/kondofumie/status/1094673543776718848