閑人亭日録

 『運命論を哲学する』一

 入不二基義森岡正博『運命論を哲学する』明石書店2019年初版、「第1章 すべては運命なのか、そうでないのか?」を読んだ。

《 まず「相対現実」とは、「他でもないこの現実の内容が、現にあること」である。(中略)これに対して、「絶対現実」とは、「どんな内容であれ、あるものがある」 ことである。 》 40頁

《 「現実」はこの二つの側面のせめぎ合いの運動として成立している。それを表現するためには「このようなものがある」と「あるものがある」を同時に言い表す 表現が必要になる。入不二はそのような日本語表現として「あるようにある」という言い方を発明した。 》 41頁

《 「ある」が存在にかかわるものだとすれば、「なる」は時間にかかわるものである。 》 42頁

《 実は、「なる」と「ある」は同じような性質を共有している。それは、「なる」にもまた「絶対的」な側面と「相対的」な側面の二つがあるということである。 》  43頁

《 この議論から分かるのは、私たちが「運命」としてとらえているものをその反対側から見ると、それを「自由」としてとらえることができるということである。 左から見たら「運命」であり、右から見たら「自由」であるのだ。 》 50-51頁

 抜き書きではなんのこっちゃ、だが、なんとダイナミックな論考だろう。驚いた。ここでただ驚いていては後がもたない予感。

 初夏と思ったら雨の初春に逆戻り。なんとまあ。
 午後三時前昼寝から覚めて、源兵衛川中流部の、昨日人を案内していて見つけてしまったヒメツルソバを抜く。三石神社の石垣のも抜き終えたところで石垣の上から 年配の女性から声をかけられる。「源兵衛川はどこですか?」。下向きに指さす。ご夫婦と娘さんを上流へ案内。娘さんは、スマホの画面と同じ風景に喜ぶ。 ひろせ橋で別れて帰宅。

 ネット、うろうろ。

《 鼓(直)先生の訳業といえばガブリエル・ガルシア=マルケス百年の孤独』(新潮社、1972)だが、《幻想文学》誌59号(2000)のインタビューによれば、 当時はガルシア=マルケスの作品は読んだこともなく、所謂マジック・リアリズムに戸惑いながら無我夢中で訳したという。70年安保の騒然たる時代。 》 藤原編集室
  https://twitter.com/fujiwara_ed/status/1122319518900973569

《 初版は5000部。それも非常に思い切った部数で「3年ぐらいはずっと初版のままだった」というのは、今から見ると意外な話。(新潮クレスト・ブックスも良いけれど、 70年代の《新潮・現代世界の文学》の存在感は圧倒的だった) 》 藤原編集室
  https://twitter.com/fujiwara_ed/status/1122320876194500609

 私の持っている(新刊で購入)本は「2刷 1977.5.10 」。挟み込まれた切り抜き『「一杯目と二杯目の合間に」川村二郎(朝日新聞社・1800円)』。

《 その記者のほうの川村二郎が二年にわたって朝日紙上に連載したコラム「きょう」が、一書にまとめられた。(中略)その一例、十月二十一日の項についていえば こんなふうだ。一九八二年のその日は『百年の孤独』の作者ガルシア=マルケスノーベル文学賞にきまった日だが、川村二郎は宮崎に「百年の孤独」という銘柄の 麦焼酎があると聞き、その取材記でコラムの大半を埋めたのである。 (敏) 》

 麦焼酎百年の孤独」は見ただけで飲んだことはない。『百年の孤独』は既読。『全面改訳 新装版』はもっているが未読。

《 《幻想文学》インタビューでもうひとつ驚いたのは、『百年の孤独』は翻訳に二年かかったが、ドノソ『夜のみだらな鳥』(集英社、1976)は 「ぴったり来た感じで、神懸かり的に、二ヶ月ほどで片づけました」というところ。 》 藤原編集室
  https://twitter.com/fujiwara_ed/status/1122494780359897088

 『夜のみだらな鳥』は一気読みの面白さ。再読しようと思って幾星霜。

《 おぼろげな記憶では、『キマイラ』の初版はたしか1500部と聞いたような……。 》 大森望
  https://twitter.com/nzm/status/263202728384274432

 ジョン・バース『キマイラ』新潮社1980年初版帯付は未読のまま。翻訳は國重純ニ。バースも『酔いどれ草の仲買人』『山羊少年ジャイルズ』『旅路の果て』がある。 いつ読めるか。

《 昭和の日に考えたい、昭和天皇「元旦詔書」が投げかける重要な問い /辻田 真佐憲 》 現代ビジネス
  https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64393

《 アベノミクスは「過去の失敗の集大成」、平成の終わりの“既知感”の正体 /金子勝 》 DIAMOND online
  https://diamond.jp/articles/-/201098

《 「消費税延期」は野党の政策。安倍政権は選挙対策だけの姑息な甘言を弄するな /菅野完 》 ハーバー・ビジネス・オンライン
  https://hbol.jp/190895

《 見出しだけ見たらクーデター 》 清新明朗な加賀内閣
  https://twitter.com/hirataitaisho/status/1122518586960990208

《  on the 労働
  誰も旅の途中~♪  》 ドンガメ六号
  https://twitter.com/dongame6/status/1122644008088399873