閑人亭日録

『運命論を哲学する』五

 入不二基義森岡正博『運命論を哲学する』明石書店2019年初版、「第2章 現代哲学ラボ 運命論を哲学する」後半を少し読んだ。入不二と森岡の質疑応答。 これがじつに難解かつじつに知的刺激に満ちていて、ビンビン来る。しかし誤字も。236頁、スライドD・3の「機能棄捨」と「機能喜捨」。喜捨が誤字。

 先月30日に”ネット、うろうろ”で紹介した 《 窯でセラミック彫刻を焼成する際、炎の中で作品に生じる変化を彫刻家はほぼコントロールできない。 》 について”無知だなあ。北一明の前で言ってごらん。”と記したが、北一明『炎の造型 焼きもの新入門』山海堂1985年初版から北の言葉。

《 焼きものの重要なポイントは、炎の主導権を握るということです。自分がこう焼きたい、このように求めたい方向に焼成技術によって、 その目的を達するという姿勢です。このような態度によって、私は、たとえば黒系統の釉調でいいますと、陶芸史上もっとも神秘的で美しいといわれていました 中国の曜変という色調を多様な耀変につくりかえ、その結果として色彩学的に今日まで歴史上存在しなかった色の新概念を想像し開発しました。 》  43-44頁

 侘び寂びについて。

《 つまり視覚が硬直化し動脈硬化現象をきたしてきますと、美の多様性の中のすぐれた代表的美意識の一つとしての「侘び」「寂び」という発想がなくなり、「侘び」 「寂び」以外は美ではないという短絡的視点が生じます。今日の目で客観的に焼きものの美しさというものを考えた場合に、侘び寂びの系譜からくる美しさは、 閉ざされた美意識といってよいのではないでしょうか。 》 20頁上段

《 つまり、焼きものの美的価値という純粋な焼きものの評価の側面と、茶道の道具としての、いわば侘び茶としての道具の使用価値の側面をもっているのが現実です。  》 20頁下段

 朝、令和最初の茶碗のカケラ、ガラス片拾いを、我が家のそばの源兵衛川で行う。重くなったので作業終了。帰宅。汗~。コーヒーが美味い。
 ブックオフ長泉店で文庫本を五冊。井上ひさし『あてになる国のつくり方』光文社文庫2008年初版、岡崎武志『女子の古本屋』ちくま文庫2011年初版帯付、村上春樹 『若い読者のための短編小説案内』文春文庫、ブラッドフォード・モロー『古書贋作師) 創元推理文庫2016年初版、岸本佐和子 編『変愛小説集 日本作家 編』 講談社文庫2018年初版、計ニ割引432円。
 昼過ぎ、友だちと三島の街歩き。なんか若い女性たちが目につく。家族連れも。どちらも地元民ではない雰囲気。平日だと熟年高齢者しか!歩いてない。 それにしても、この広小路駅から三嶋大社までの七百メートル、飲食店が次々に開店。今年だけで甘味処、クレープ店、パンケーキ店からハンバーグ店、串焼き店まで。 なんだろう、これは。自説は、源兵衛川の魅力に惹かれて。

 ネット、うろうろ。

《  日本の大化から令和までの歴代元号を時刻表っぽくしてみました。 》 ナポリタン(端山の人)   https://twitter.com/Y_Hashiyama01/status/1123769141347926020/photo/1

  朝日新聞 読書面掲載の 荒川洋治さんが選ぶ平成ベスト本 5冊です。

  (1)吉行淳之介著『目玉』
  (2)荒俣宏著『プロレタリア文学はものすごい』
  (3)耕治人著『一条の光・天井から降る哀しい音』
  (4)小山田浩子著『庭』
  (5)マーサ・ナカムラ著『狸の匣』  》 四ツ谷書房
  https://yotsuya-shobo.hatenablog.com/entry/2019/05/03/085648

 耕治人『そうかもしれない』晶文社2007年初版を開く。胸を打つ哀しい話だった。「天上から降る哀しい音」を収録。
 本棚から吉行淳之介著『目玉』新潮社を取りだす。1989年9月25日の発行。平成元年か。

《 あらためて平成をふりかえると、最大の災禍として、原発事故と安倍政権成立が挙げられる。いずれもいまだ収束してはいない。 》 中島 智
  https://twitter.com/nakashima001/status/1124179046579834880

《  ざっくり言うね。
  消費税で得られる税収は、約14兆円。
  で、法人税を減税してマイナス9兆円。
  所得税累進課税を減税してマイナス4兆円。
  消費税って、お金持ちの減税の穴埋めをしてるだけ。
  【税と社会保障の一体改革】の約束はおろか、現政権はそもそも社会保障に回す気がないって話。
  おかしくね。  》 umekichi
  https://twitter.com/umekichkun/status/1123968236494651393