閑人亭日録

 『運命論を哲学する』六

 入不二基義森岡正博『運命論を哲学する』明石書店2019年初版、「第2章 現代哲学ラボ 運命論を哲学する」後半を読んだ。オツム覚醒。

《 入不二 非常におおざっぱな言葉使いをすれば、相関主義は認識論的なんですね。その認識は人間の認識であり、あるいは概念枠組みによる 認識であり、その認識と相関的にしか存在は可能ではないという考え方です。それに対する批判としてSRと略記されるような思弁的実在論が今、一つの潮流として あるわけです。私は別に、SRをフォローしているわけではないので、ちゃんとしたことを言うことはできません。いくつか読んでいるだけですが、その感触から言うと、 私の論も、やっぱり人間の認識との相関から離脱しようとしているという方向性をもっています。その点では、つまり非人間的な方向を志向している点では、 共通していると言ってもいいので、「イエス」と答えたわけです。 》 149頁

《 入不二 ただ森岡さんが指摘してくれていますが、カントとの接触点もないわけじゃないので一点だけ確認をしておきます。物自体は認識には 引っかからないけれども、思弁的な思考によって思考はできる、っていう点は重要だと思います。つまり認識と思考を分けるのです。 》 150頁

《 入不二 先ほど西田(幾多郎)の話が出ましたけれども、私は現象根源論的な考え方に反対です。現実の現実性には一切、認識も体験も実感も 関係がないので。まったく認識論的ではない、というところを強調していて、認識論的であることと現に現実であることをかなり強く引き離そうと、私の方はしている つもりです。要するに、超越論的領野の「外」を強調しているつもりです。 》 151頁

《 入不二 自由というのをそういう場面で、つまり他行為可能性ではなく、他人生不可能性の方が自由である、というふうに考えてみたいのが その段階です。 》 168頁

 昨夜知人の車に同乗してブックオフ巡り。車はラクチンだねえ。函南店では何もなし。北上して三島徳倉店では単行本三冊、文庫本四冊。小川洋子『猫を抱いて象と 泳ぐ』文藝春秋2009年2刷帯付、津原泰水『猫ノ眼時計』筑摩書房2012年初版、宮脇俊三『殺意の風景』新潮社1985年初版、大原富枝『婉という女 正妻』講談社文芸文庫 2008年2刷、幸田文『番茶菓子』講談社文芸文庫2013年24刷、田中啓文『地獄八景(ばっけい)』河出文庫2016年初版帯付、『米原万里ベストエッセイ II』角川文庫 2016年初版、計二割引604円。

 去年の夏、雑誌『版画芸術』の編集者に雑誌『古今畫林』の合本を貸したがその出版社金港堂の研究書が出ていた。稲岡勝『明治出版史上の金港堂 社史のない出版社 「史」の試み 』皓星社
  http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/kinkodo/

 朝ちょっと作業をすると、もう一日の作業が済んだ気分になる。今朝も年配の知人男性から「無理しないように」と言われた。はたから見ると頑張っているように 見えるらしい。ま、作業を終えた後にそれに気づくが。
 午後昼寝から覚めた午後三時前、暗くなったな、と思ったら雷鳴そして土砂降りの雨。

 ネット、うろうろ。

《 五月四日。寺山修司忌。三十六年前、そうか心酔している作家が死ぬってこういうことなんだな、と、はじめての体験から来る感情を、路傍に転がる珍しいかたちの 石を眺めるように眺めていた。心身から何か大事な気体が漏れてゆくのを感じた。全てが終った気がしていたけど、結局、そこがはじまりだった。 》 荻原裕幸
  https://twitter.com/ogiharahiroyuki/status/1124576955808894978

 中井英夫氏から恵まれた『月蝕領崩壊』立風書房1985年初版、152頁「五月十三日 昨夜風強、きょうも雨催い」より。

《 寺山の弔辞を清書。 》

 153頁の「五月二十日 金 ハレ」より。

《 あと三島のK君、これはいつもタイミングよく、おれがシケこんでいるとき慰めてくれる青年なれど、いきなりテワして来訪。庭でと思うもハエ多く閉口。 》

 手元には寺山修司生前最後の本、『寺山修司全歌集』沖積舎1982年初版サイン入り。往事茫々。

《 昔わたしはサンリオ文庫を悼む人であったが今はもうサンリオを拾う人たちがいるのでとりたてて悼まない。本気で悼むのは福武文庫である。本気で悼む。 誰か出してほしい。ホーニヒベルガーとたるのなかの話とスティーブンスンだけでいいので拾ってほしい。 》 佐々宝砂
  https://twitter.com/pakiene/status/1124322413150216192

 本棚にはエリアーデ『ホーニヒベルガー博士の秘密』1990年初版とスティーヴンソン『自殺クラブ』1990年2刷がある。シュトルム『たるの中から生まれた話』は 未所持。

《 即位後朝見の儀では国民の幸せも世界の平和も「希望する」だったのが、今日の「おことば」では国民の幸せを「祈り」、世界の平和を「願う」に変わった。 この変化は自発的なものなのか、それともどこかから圧力がかかったのか。 》 原武史
  https://twitter.com/haratetchan/status/1124484196531965952

《 自民党ホームページ上に、国民に剣先をむけた宣戦布告の図。この「戦争画」に動員された天野喜孝を皮切りに、今後も迂闊なアーティストたちが、 世論操作に動員され/加担していくことであろう。 》 中島 智
  https://twitter.com/nakashima001/status/1124387325432090624

《 自民党天野喜孝起用に対抗して、野党のどれかがクリスチャン・ラッセンと組んだら死ぬほど可笑しいのだが。 》 津原泰水
  https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1124331624907206662

《 安倍政権が終わったら「あの時は仕方がなかった…」とか「ダメだとは思っていたが苦渋の思いで…」とか議員や役人、メディアマスコミ関係、現在 沈黙してる表現者たち等、すべてを安倍政権の圧力のせいにする輩が続出するだろうけど、あなたたちのほとぼりはそんな簡単に冷めるほどぬるくないんだよ。 》  星田 英利
  https://twitter.com/hosshiyan/status/1124185128882720769

《  まともな総理大臣
  「今日は憲法記念日。国民の皆さんは憲法について、一体どう考えてるんだろう。賛成、反対いろんな集会に出かけて、真摯に生の声を聞いてみよう」

  安倍総理
  「極右集団の改憲集会にビデオをサクッと送ったし、あとは別荘でゴルフ、温泉、ご馳走三昧。楽しんでますわ」 》 Dr.ナイフ
  https://twitter.com/knife9000/status/1124556807806959616